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ホーム > 海外医療情報 > 海外医療(機関紙) > 2.皮膚真菌症(水虫を中心に)と環境・生活習慣

「海外生活と皮膚の健康」

海外における主な皮膚のトラブル

2.皮膚真菌症(水虫を中心に)と環境・生活習慣

順天堂大学医学部皮膚科講師 比留間 政太郎

 皮膚真菌症とは、いわゆる「かび(真菌)」による皮膚の病気です。ヒトに病気を生じる真菌はこれまでに約100種あるといわれていますが、足の指の間にできる水虫はその代表的なものです。真菌症は、ウイルスや細菌の感染症などと異なり、治療に急を要することはありませんが、こじらせると日常生活に支障を来します。
海外へ赴任されるに際して、特に熱帯地へ行く場合は、環境・生活習慣の変化に伴って、もともとあった水虫が悪化したり、また、その地方特有な風土病としての真菌症にも注意が必要です。

■白癬(水虫)

 白癬の原因菌は、皮膚糸状菌と呼ばれ、皮膚の角層、毛、爪などが好きで侵入して病気を作ります。足白癬(水虫)が最も多いのですが、頭部白癬(シラクモ)、体部白癬(ゼニダムシ)、股部白癬(インキンタムシ)、手白癬、爪白癬などがあります。頭部白癬は、被髪頭部に円形の細かいフケと脱毛ができ、発赤などの炎症症状を伴います。猫や犬などのペットから感染することもあります。体部白癬は皮膚に湿疹類似の環状の皮疹を作り、股部白癬は青年男子の陰股部に同様の皮疹を作ります。特に集団生活、高温・多湿の環境下では、感染し易くまた再発も多くなります。また、外用ステロイド剤を誤って使用するとかえって病変は拡大します。足白癬(水虫)の症状は、趾間が白くふやけるもの、土踏まずに丘疹(ブツブツ)、小水疱が多発するもの、慢性のものでは、足底全体が厚くなり皮膚がポロポロ剥がれるようになります。爪にも菌が侵入すると爪がもろく黄色に変色し、肥厚してきて靴に当たったりして痛むなどの症状がでます。
 白癬の治療は、塗り薬(外用抗真菌剤)が主体ですが、難治例では飲み薬を使用します。塗り薬の種類は、イミダゾール系、アリルアミン系など多数あります。外用方法は、[1]1日1回、[2]入浴時に患部を石鹸でよく洗い、[3]患部より少なくとも2.5cm以上広めに、[4]薄く擦り込むように塗布します。生活指導としては、、[1]患部を清潔に保ち、高温多湿を避ける、、[2]家族内に白癬患者がいる場合には同時に全員が治療を行う、、[3]感染源として可能性が高い共用するスリッパ,サンダル,浴場の足拭きマットを頻回に取り替え滅菌(日光,熱湯)する、、[4]飼育しているネコ,イヌが居る場合は、必要により診察・治療を行うなどが必要です。
 海外赴任に当たって、少しでも水虫の可能性がある場合には、正しい診断を受け治療方針を立てておくことが大切です。トルナフタート系やイミダゾール系の市販の水虫薬は、上手に使用すれば十分な効果が得られます。

■皮膚カンジダ症

 カンジダ症は、カンジダ菌による皮膚、粘膜の病気です。カンジダはもともと糞便中、膣などに常在しており、ヒトの免疫が低下したときに発症します。白癬と同様にさまざまな湿疹類似の病変を起こし、陰股部、乳房下、腋窩ではカンジタ性間擦疹を起こします。白苔を生じる口腔や膣のカンジダ症もよくあります。皮膚カンジダ症にはイミダゾール系外用抗真菌剤が有効です。カンジダ症では、抗生剤使用、糖尿病合併、ピル使用などが誘因となりますので原因や誘因を捜すことが大切です。

■癜風

 癜風は癜風菌が原因で、体幹に多数の脱色素斑を生じ軽い痒みのでる病気です。日本の気候は温暖であるため、ほとんど問題にはなっていませんが、熱帯地では発汗に伴い悪化する可能性が十分にあります。イミダゾール系外用抗真菌剤で治療します。

■深在性皮膚真菌症

 深在性皮膚真菌症は比較的まれな病気で、日本では、スポロトリコーシス、クロモミコーシスが代表的なものです。菌は土壌中に存在し、小さな外傷が原因で皮膚内に菌が侵入して病変をつくります。症状は、顔、上肢などに慢性のかさぶたを付着した結節性病変を作ります。
海外赴任者にとって大切なことは、赴任先によって風土病として深在性皮膚真菌症があることです。日本人は、[1]風土病に免疫が無いこと、[2]現地人と異なり十分な風土病に対する知識が無いこと、[3]海外生活の種々のストレスで抵抗力が低下していることなどの理由で十分な注意が必要です。普通、菌の汚染地域を旅行することにより、枯れ木、土壌中の菌が、肺に吸入されそこで病変を作り、2次的に皮膚を含めた全身に病変を作ります。原因真菌、汚染地域および特徴的な症状を表1にまとめました。

■おわりに

 皮膚真菌症は、急いで治療を始める必要のあるものは少なく、多くは慢性に経過し、診断がつかないと治療にもなかなか反応しません。海外赴任に際して診療を受ける際には、正確な診断を受け、長期的な治療計画を指導してもらっておくことが大切です。

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