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ニュースレター(機関紙)

悩める海外歯科事情(2)  ―ご存知ですか?年齢でこんなに違う!お口の健康法―
NL12020106
海外赴任者、歯科 / / / / / / / / / / /



悩める海外歯科事情(2)
 ―ご存知ですか?年齢でこんなに違う!お口の健康法―

                      

東京大学医学部国際地域保健学教室
三上ゆう子

JOMFへの歯科に関するいろいろなご質問、いつもありがとうございます。お寄せ下さる質問内容からは、みなさまの、むし歯や歯周病などのお口の健康についての高い関心が感じられます。国内に住んでいれば、たとえお口のトラブルがあっても近所の歯医者さんに電話1本で気軽に予約が取れ、お悩み解決といったところですが、海外にお住まいのみなさまはそうもいきません。お口の健康には気を使われることでしょう。歯科では、「悪いところを治す」という治療はとても大切なのですが、私からは予防歯科、つまり歯を悪くしないための習慣や方法を発信していきたいと思います。いつもの歯みがきのやり方をちょっと変えるだけでお口の中がとても健康になることも!また、人は年齢によってむし歯や歯周病の予防するポイントは変わってくるというのはご存知ですか。たとえばむし歯は、小学生と中・高生ではむし歯になりやすい歯が違います。高齢の方に気をつけて欲しいむし歯というのもあります。そこでこのシリーズでは、年齢によってお口の中のどんなことをケアしたらよいのかご説明します。

40歳を過ぎたら、歯ブラシ+( ? )=歯周病予防
日本人の歯みがき習慣に関する調査によると、約70%の人が1日に2回以上歯みがきをしているそうです。厚生労働省が行うような全国規模の調査でも、少人数の調査であっても、日本人は歯みがきをマメにするという結果が出ます。そういえば日本では、ランチタイムの女性トイレで歯みがきをしている人をよく目にしませんか?海外では外出先で歯をみがいている人って、まず見かけないですよね。日本人の歯みがき習慣はとても優秀なんです。そこで40歳を過ぎた方には、歯をみがく時に増やして欲しいアイテムがあります。デンタルフロスまたは歯間ブラシという口腔ケア用品です。この年代の方では、甘いものをしょっちゅう食べるなど不規則な食生活をなさっていなければ、新しくむし歯になる人はあまりいらっしゃいません。注意したいのは歯周病(歯槽膿漏)です。40歳というのは、ちょうど歯周病にかかりやすくなる「入り口」です。この年齢でケアを始めると、年齢を重ねても歯周病が悪くなるのを予防できます。

歯周病の予防には歯と歯肉(歯ぐき)の境目をきれいにするのが大切なのですが、歯と歯の間の歯肉は歯ブラシの毛先が届きにくいところで、歯ブラシをどんなに器用に使えたとしても掃除できません。歯ブラシは歯の表や裏側をきれいにする道具なのです。デンタルフロスや歯間ブラシは、歯ブラシが届かない歯と歯の間をきれいにしやすくするため、形や材質がいろいろと工夫されています。歯肉はとてもデリケートで、強くこすったり力が加わったりすると簡単に傷めてしまうので、できるだけ軽い刺激で汚れを落とすことがポイントです。そのためには、40歳を超えた方には歯ブラシ・フロス・歯間ブラシを適材適所に使い分けた歯みがきをお願いしています。

海外の歯科医院を"衛生指導"でトライしてみては
デンタルフロスや歯間ブラシは、スーパー・ドラッグストアなどで買えますが、できるだけ歯科医師や歯科衛生士の指導を受けてから使用して下さい。歯ならびや手先の器用さは個人差があるので、フロスや歯間ブラシを自己流で使用するとデリケートな歯肉を傷めることがあります。特に男性は、力を入れすぎて使用する方が多くいらっしゃいますので、プロの指導をぜひお受け下さい。歯を削るなど"本格的な"治療を受けることは、国外の歯科医院では不安もあるでしょう。実際、JOMFにも歯科治療に関する質問が多数寄せられます。でも、フロスの使い方といった「口腔の衛生指導」であれば現地の歯科医院でも気負いなくトライできるかもしれません。今まで現地の歯科医院には行ったことのない方も、「治療」ではなく「指導」の予約を取ってみてはいかがでしょう。どこの国であっても、衛生指導に熱心なクリニックは間違いなく「お勧めできる歯科医院」です。

恐るべし!歯周病の病原菌パワー
歯肉炎・歯周炎といった歯周疾患は、軽い症状も含めると多くの日本人の成人に見られると言われています。最近、歯周疾患が悪化すると、症状がお口の中にとどまらず全身の健康に影響を与えることが明らかになってきました。歯周病と関係の深い全身的な症状は多くありますが、糖尿病や動脈系疾患(心筋梗塞や脳梗塞)は特に海外でご活躍中のみなさん世代に気をつけてほしい病気です。歯周病の病原菌に対する体の免疫反応が、なんと糖尿病になるきっかけになることがあるんです。何で口の中の細菌が糖尿病にかかわってくるのか?と意外に感じますよね。また、歯周病の病原菌をやっつけようとする体の仕組みが、血管を狭くしてしまい、心筋梗塞や脳梗塞を起こすこともあります。歯周病の病原菌は恐るべき負の力を秘めているのです。

歯周病のリスクは様々ありますが‥
歯周病を悪くする原因には不十分なお口のケアだけではありません。喫煙、ストレス、そして歯ならびなどいろいろなリスクが明らかにされています。でも、歯みがきのついでにデンタルフロスや歯間ブラシを使うのは、どなたにもやって欲しい習慣です。あなたのお年は40歳以上でしょうか?YESの方はぜひフロス・歯間ブラシをお忘れなく!




=執筆者略歴=
三上ゆう子  
歯科医師。東京大学医学部国際地域保健学教室所属。
英国留学(エジンバラ大学)および赴任の経験有、現在はJOMF会員用掲示板相談の歯科を担当中。


=編集部より=
三上先生はJOMF会員用歯科掲示板相談の担当医で、相談の中でも矯正についてのお悩みが多いことから今回ご寄稿をいただきました。過去にもニュースレターに、2003年にロンドンで行った在住邦人の小児対象の歯科相談についての報告を頂いております。下記からリンクしています。
英国ロンドンで実施した歯科医療相談会について(1)
英国ロンドンで実施した歯科医療相談会について(2)
英国ロンドンで実施した歯科医療相談会について(3)
今後は、思春期、妊娠中、中高年などライフステージごとの注意事項などの話題を季節ごとに提供して頂きますのでお楽しみに。また、ご質問やご要望、ご感想はニュースレター連絡コーナーhttp://www.jomf.or.jp/ninq/index.html
からどうぞ。

前回の記事 ―さあ海外へお引越し!でも子供の矯正はどうする?― はこちらから
http://www.jomf.or.jp/include/disp_text.php?type=n100&file=2011120106