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ニュースレター(機関紙)

小児科医からのアドバイス 5 トラベラーズワクチン(2)
NL11100103
医療情報、小児科、海外渡航 / / / / / / / / / / /



小児科医からのアドバイス5 ~トラベラーズワクチン(2)~


東京医科大学病院
渡航者医療センター
小児科医師 福島慎二

7月に記載したコラムから3カ月がたちました。夏の猛暑・残暑から一変、すっかり涼しくなりましたが、皆様、いかがお過ごしでしょうか?
今月のテーマもトラベラーズワクチンですが、今回取り上げるワクチンは日本では未承認のワクチンであり、日本では本来接種できないワクチンです。そのため、海外から個人輸入している医療機関でしか接種できません。

【トラベラーズワクチン(2)】
1) 腸チフスワクチン
腸チフスの症状は、何だと思いますか?下痢?嘔吐? 答えは、発熱です。発熱だけの例も、あります。そのため、他の感染症との鑑別が難しい病気です。
サルモネラ・チフスという菌が腸チフスの原因菌であり、この菌に汚染された飲食物から感染します。途上国どこにでも存在しますが、とくにインドなど南アジアや東南アジアで流行しています。

さて、腸チフスワクチンには、弱毒生ワクチン(飲むタイプ)と不活化ワクチン(注射タイプ)の2種類あります。使いやすさから、不活化ワクチンが個人輸入されている場合が多く、2歳以上に0.5ml、1回注射します。主な副反応は、注射部位の疼痛、発赤であり、重篤なものは認められません。
でも腸チフスワクチンを接種しても、予防できるのは腸チフスだけであり、飲食物への注意は、やはり必要です。
 
2) 髄膜炎菌ワクチン
髄膜炎という名前は、脊髄に炎症がおこる病気の名前です。髄膜炎の原因は、細菌、ウイルス、真菌などがあります。たとえば、ウイルスでは、おたふくかぜによる髄膜炎が有名ですが、細菌では、Hib(インフルエンザ桿菌b型)、肺炎球菌、髄膜炎菌、結核などがあるのです。とくに日本では、子どもの髄膜炎の原因として、Hibと肺炎球菌が多いため、Hibワクチンと肺炎球菌ワクチンが導入されたのです。

さて、髄膜炎菌も、髄膜炎をおこす細菌の種類の一つですが、この髄膜炎菌による感染症はA, B, C, Y, W-135というタイプでおこります。日本では年間20人ほどと多くはありません。しかし、2011年5月に宮崎県で寮生活をしていた高校生が髄膜炎菌感染症を発症したことは記憶に新しいと思います。
一方、世界的には、アフリカで毎年流行しており、髄膜炎ベルトと言われるほどです。また、先進国でも寮生活やホームステイをする学生、軍隊の隊員などの間で流行することがあります。
このように、海外では多くの事例が存在するため、一般的にワクチンが使用されています。輸入されているワクチンは、主にA, C, Y, W-135のタイプを予防できる4価のワクチンであり、2歳以上に0.5ml、1回注射します。

【でも、でも、やっぱりルーチンワクチンが大事】
海外渡航に向けたトラベラーズワクチンも大事ですが、やっぱりルーチンのワクチンが子どもには重要です。すなわち、母子手帳に記載された各種のワクチンです。
でも、最近は子どもたちに接種するワクチンの種類が増えて、何のワクチンを何回接種すればよいか分からないなんてことも。そんな時、役に立つのが、日本小児科学会の下記のサイトです。
このスケジュールは、定期接種・任意接種を区別せず、年齢・月齢に応じて接種順に記載されていること、同時接種を前提に記載されています。
接種記録日を記載できるシートもありますので、産業保健スタッフの方も、保護者の方も参考になると思います。
http://www.jpeds.or.jp/saisin-j.html

【新しいルーチンワクチン・・・】
ルーチンワクチンとして、日本でもロタウイルスが導入されます。また近い将来、不活化ポリオワクチン(IPV)が導入される日が近いと期待されます。とくに不活化ポリオワクチンは皆さんの関心も高いと思いますので、いつかお話をしましょう。
 
【新しいといえば・・・】
最近、新規にデジタルカメラを購入しました。パソコンに取り込むと、カレンダに自動的にアルバムを作成してくれるなど、ものぐさな僕にとって、いたれりつくせりの機能が付いています。さて、10月下旬、この時期の楽しみは、オリオン座流星群です。この原稿を書いている本日10月21日は雨ですが、晴れたら、ぜひとも流星群を見上げ、写真に収めたいと思っています。



では、次回12月にお会いしましょう。次回もお楽しみに。




◇編集部より◇ 新年号より新たに渡航医学に詳しい小児科の先生からご寄稿をいただいております。昨年9月より東京医科大学病院に開設された渡航者医療センターでご活躍中の福島慎二先生が隔月で登場です。(次回は12月掲載の予定です。)子ども帯同の海外渡航者には心強い専門家です。読後の感想、意見、質問および今後取り上げて欲しい話題のリクエストなどを受け付けます。
ニュースレター連絡コーナーhttp://www.jomf.or.jp/ninq/index.htmlからご連絡お願い申し上げます。
●「小児科医からのアドバイス」索引コーナー
http://www.jomf.or.jp/jyouhou/jigyou_iryou2/jigyou_iryou2_4.html#v


著者の所属先サイト:東京医科大学病院渡航者医療センターはこちらから
http://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/tokou/index.html