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ニュースレター(機関紙)

駐在員メンタル不調は経営リスク(6)  海外ビジネス成功の鍵を握る「先行適応=赴任前適応」- その3-
NL11100102
海外派遣、メンタルヘルス / / / / / / / / / / /



駐在員のメンタルヘルス不調は経営リスク
(6)海外ビジネス成功の鍵を握る「先行適応=赴任前適応」- その3-


株式会社MD.ネット代表取締役社長
医学博士 精神保健指定医 精神科専門医 
佐野秀典

前回(9月)からの「海外ビジネス成功の鍵を握る『先行適応=赴任前適応』」の続きをお届けします。

●先行適応をいかにマネジメントするか

こうした、赴任に先行しておこる「先行適応」を、人事担当者はいかにマネジメントすればよいのでしょうか。
ここには2つのアプローチ(下図)があると考えます。


まず、ひとつが、

1.先行適応(海外で働きたい気持)を高める
という継続的な社風づくり、環境づくりが必要と考えます。
改めて詳しく述べたいと思いますが、最近削減傾向にある海外勤務手当の見直しや、海外勤務者の存在を社内に積極的に示していくこと、海外事業のビジョン、重要性の社内へのアピール等、社員が海外で試してみたい、と積極的に思わせるような環境づくり、仕掛けづくりが今まで以上に必要だと考えます。
短期の海外研修も増えていますが、それだけでは不十分です。
我が社にとって海外がいかに重要か、その理念を示していくことが重要です。

もうひとつが、

2.先行適応(海外で働きたい気持)を確認する
ことです。1の環境作りは時間がかかりますが、この「確認」は今日からでもできることで、是非実践していただきたい思います。

ステップ1:本人の意思確認は念入りに

皆さんは本人の意思確認をどのように行っていますか。
もちろん、面接を行うなど、一定の手続きをされているはずですが、
* いつ
* 誰が
* 誰に
という3つの側面から意思確認を多面的に行う事も効果的です。
そうすると、意外な姿が見えてきます。
参考まで下にまとめてみました。念入りすぎると思われるかもしれませんが、取り入れていただくことで、より本人の心が見えてくるのではないかと考えます。

(表をクリックすると拡大します。)

ステップ2:不安要素を棚卸し

海外に「行きたい」という情熱もさることながら、
確認すべきことは、「不安要素」です。
本人、本人の周囲等、誰が、どのような不安を持っているかを棚卸しすることが重要です。不安を不安のままにしておかないことです(下図)。
海外に行くと、その不安は様々な場面で顕在化し、適応の障害になります。
不安を具体的に捉え、具体的に解決することで、適応能力は一層開花します。


ステップ3:具体的に全体で解決する

不安を可視化したら、具体的な解決方法を考えます。
解決できるものとそうでないもの。時間の問題、コストの問題、本人の問題等、具体的にしておきます。また誰が解決するのかということも大事で、場合によってはアウトソーシングによって解決できることもあるでしょう。
不安をざっと見てみると、多くは「情報の少なさ」に起因しているということに気がつくはずです。
情報はたくさんあるものの、海外勤務者が必要な、知りたい情報の体系的な蓄積がそれぞれの企業でまだまだ不足しているように思います。
不安を解決することへの取り組み自体が、海外で働きたいという気持ちを組織に醸成することにつながるのを、担当者は実感されるはずです。

ステップ4:最後に確認して送り出す

精神医学には「不安在住」という言葉がありますが、不安は常になくなりません。赴任直前あるは赴任直後は、どんなにタフな人でも不安が大きくなります。とはいえ、不安が何で、何によって解決できるか、客観的に把握するというプロセスによって、先行適応はかなり高まります
それは、結果的に赴任後の適応を高めます。
また、赴任直後に人事担当者、あるいは上司の方等が確認することで、ご本人、ご家族には強い安心となるでしょう。

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先行適応は上に述べたように、「漠然とした不安感」が支配します。
この不安感は企業の「マネジメント」によってコントロールが可能です。

 つづく