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ニュースレター(機関紙)

駐在員メンタル不調は経営リスク(5)  海外ビジネス成功の鍵を握る「先行適応=赴任前適応」- その2-
NL11090102
海外派遣、メンタルヘルス / / / / / / / / / / /

駐在員のメンタルヘルス不調は経営リスク
(5)海外ビジネス成功の鍵を握る「先行適応=赴任前適応」- その2-


株式会社MD.ネット代表取締役社長
医学博士 精神保健指定医 精神科専門医 
佐野秀典


前回(7月)からの「海外ビジネス成功の鍵を握る『先行適応=赴任前適応』」の続きをお届けします。

●先行適応とメンタルヘルス不調の関係

先行適応が低いと、本人が持つ潜在的な能力が十分に発揮されないばかりか、メンタルヘルス不調を引き起こしやすくします。
先行適応が低い人は赴任前からメンタルヘルス不調であることも珍しくありません。
以下の図は、過去5年間、海外でメンタルヘルス不調を起こした方を分析した結果です。赴任後に不調を訴えるケースを、適応能力と先行適応(いずれも弊社の渡航前検査)の2つの軸で整理してみました。

ご覧いただいておわかりのように、先行適応がマイナスの人ほど、海外でメンタルヘルス不調を起こすケースが多いことがわかります。

特に注目すべきは、

A:能力が高いが、先行適応(特に本人の意思/行きたくない)が低い
B:能力はそれほど高くないが先行適応は高い

この2つのケースでは適応能力よりも先行適応がメンタルヘルス不調に強く関係していることです。



このメンタルヘルス不調は精神症状だけでなく、身体症状、精神不安定さや意欲喪失なども含めた広い範囲の意味での不調を指します。我々は健康状態をブラック、グレー、ホワイトの3つのゾーンで捉えていますが、下図のように、グレーゾーンの状態は先行適応と多いに関係があると考えられます。



●適応には家族の意思が強く影響

海外で長期間滞在するケースは配偶者、子供の先行適応が非常に重要な要素となります。
本人がいくら海外でがんばってみたいと思っても、家族の理解なくしてはその気持ちも生かされません。
家族の反対、あるいは海外赴任への抵抗感の背景には、

* 妻の仕事(共働き世代の増加/キャリアを中断できない)
* 夫の反対(家事、子育ての問題)
* 教育
* 両親の反対
* 介護の問題(兄弟や親類縁者から海外赴任を引き止められるケース)
など、現代社会の様々な問題が海外赴任にも現れていることを感じます。



最近では、国内に残した親についての相談が年々増えております。介護は複数の人の手が必要となるため、本人は申し訳なさがつのり、深く悩む傾向にあります。
また、先ほど述べましたように、事業部間で人事が決まったり、短期間で決定されるケースでは、本人の意思はもちろんですが、家族の反対の声が届きにくい傾向にあります。赴任期間が短いために、否応無しに赴任準備が進み、家族内で話し合いが進まず、互いの溝が広がってしまい、赴任後一層顕著になるというケースもあります。それが、結果的に赴任後の適応の悪さを引き起こすケースは少なくありません。
これは、赴任後の家族自身の適応にも影響します。



引き続き、次号以降は「先行適応をいかにマネジメントするか」を述べていきます。