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ニュースレター(機関紙)

小児科医からのアドバイス 4 トラベラーズワクチン(1)
NL11070103
医療情報、小児科、海外渡航 / / / / / / / / / / /

小児科医からのアドバイス4 ~トラベラーズワクチン(1)~

東京医科大学病院
渡航者医療センター
小児科医師 福島慎二


日本も毎日暑い日が続いていますが、いかがお過ごしでしょうか。皆さん、くれぐれも、熱中症にならないように注意しておきましょう。
個人的にはビールを美味しく飲める暑い夏も大好きです。

【予防接種の優先順位】
前回は、小児が海外渡航する場合に選択する予防接種を、3つの「R」(Routine、Required、Recommend)として、お示ししました。
Routineとは、渡航に関わらず、すべての小児が受けておくべきワクチンであり、RequiredとRecommendは、海外に渡航する際に選択するトラベラーズワクチンです。小児の場合には、Routineのスケジュールを基本として、トラベラーズワクチンの接種を組み入れていきます。

【トラベラーズワクチン(1)】
黄熱、A型肝炎、狂犬病など、トラベラーズワクチンといわれる各ワクチンの話は、いろいろなコラムで取り上げられていますので、今回は小児にまつわる話題をピックアップしていこうと思います。
 
1) 黄熱
国際保健規則(International Health Regulation, IHR)に基づき、熱帯アフリカや南米などの国によっては、入国時に黄熱ワクチンの接種証明の提示が要求されることは、成人も小児も同じです。
弱毒生ワクチンであり、接種回数は1回(0.5ml)です。副反応として、脳炎と多臓器不全の報告が稀にありますが、とくに乳児では脳炎が問題となります。そのため、接種対象は、一般的に生後9か月以上の小児となっています。
日本では、検疫所など接種できる医療機関が限られていますので、早めに予約しておくことをお勧めします。
 
2) B型肝炎
B型肝炎は、小児期に感染すると持続感染、慢性化しやすく、将来的に肝硬変や肝癌に進行します。日本では主に任意接種とされていますが、世界的にはUniversal vaccinationという概念で、出生後、すべての乳児へワクチン接種が推奨されています。先進国、途上国を問わず、海外に渡航する小児が接種しておきたいワクチンです。日本のB型肝炎ワクチンは、10歳以上0.5ml、10歳未満0.25mlとなっています。

3) A型肝炎
乳幼児では感染しても症状が出ない場合や軽症の場合も多いとされていますが、年長児では典型的な症状がでることもあります。そのため、年長児が途上国に渡航する場合にはワクチン接種を勧めています。
現時点、日本のA型肝炎ワクチンは16歳未満には接種が認可されていません。しかし16歳未満に関しても、すでに臨床試験は行われており、成人と同様の接種量0.5mlで十分な効果が得られています。
 
4) 狂犬病
ワクチンの接種スケジュールには「曝露前接種(咬まれる前)」と「曝露後接種(咬まれた後)」があります。暴露前接種をしていても、犬など哺乳動物に咬まれた場合などは、曝露後接種が必要です。そのため、生活環境(とくに動物との接触頻度)や現地の医療事情により曝露前接種をするかどうか検討します。
成人と小児では、見知らぬ動物に近寄っていく頻度や、頭頸部を咬まれる頻度が小児の方が高いため、小児の方がワクチン接種の優先順位が高いという医師もいます。
日本の狂犬病ワクチンの接種量は、成人と同じく1.0mLです。副反応として、接種部位の腫脹や発熱が時折みられます。また、ゼラチンを含有するため、ゼラチンアレルギーの小児へのワクチン接種は、注意が必要です。

【最近の感動した出来事】
勤務者の方に帯同する小児は、現地に長期滞在することが多く、現地が第二の故郷ともなりえます。ぜひ、多くの新しい友達と交流を深めたり、感動する経験をしたりしてほしいと思います。
僕は、子どもの頃や大学時代に、野球のトレーニングを兼ねて、夜にジョギングや素振りをしていました。その時見えた夜空に輝く星を思い出し、最近ふと仕事帰りに夜空を見上げてみると(千鳥足ではなく)、東京からでも、星が輝いて見えることに感動。とくに今月の満月は、綺麗に輝き、最高でした。皆様も暑い夜には、ぜひ夜空を見上げて、気分を変えてみてください。
 
次回は、トラベラーズワクチンの続きをお話しします。



◇編集部より◇ 新年号より新たに渡航医学に詳しい小児科の先生からご寄稿をいただいております。昨年9月より東京医科大学病院に開設された渡航者医療センターでご活躍中の福島慎二先生が隔月で登場です。(次回は7月掲載の予定です。)子ども帯同の海外渡航者には心強い専門家です。読後の感想、意見、質問および今後取り上げて欲しい話題のリクエストなどを受け付けます。
ニュースレター連絡コーナーhttp://www.jomf.or.jp/ninq/index.htmlからご連絡お願い申し上げます。
●「小児科医からのアドバイス」索引コーナー
http://www.jomf.or.jp/jyouhou/jigyou_iryou2/jigyou_iryou2_4.html#v


著者の所属先サイト:東京医科大学病院渡航者医療センターはこちらから
http://hospinfo.tokyo-med.ac.jp/shinryo/tokou/index.html