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ニュースレター(機関紙)

海外メンタルヘルスの現場から(92)海外赴任者のストレス~バンコク小児相談会
NL11020102
メンタルヘルス、海外赴任、ストレス

海外赴任者のストレス~バンコク小児相談会

シンガポール日本人会クリニック
小川原 純子

2011年2月に行われたバンコク小児健康相談()に同行いたしました。主に、バンコクで子育てに関するお母さん・お父さん方の相談を受けましたが、皆さんとてもご聡明な親御さんで、大変に驚きました。
私が担当させていただいたのは17家族の相談でしたが、皆さん、相談内容をしっかりとまとめていらっしゃり、50分という相談時間を有効に使うことができました。

相談内容は、子供の強い予期不安に対して投薬が必要と感じられたケースが2例・集中力の問題から日常生活で著しい自信の低下が認められたケースが1例・登校しぶりが4例・身体的問題の相談が3例・育児相談4例・お母さん自身の精神状態の相談3例などでした。
投薬が必要なケースは、地元の小児精神科医への引継ぎ・連携が大切ですが、残念ながら、バンコクの医療に詳しくない私には、今回は英文の紹介状を用意する程度しか出来ませんでした。「誰に」連携するか、というネットワークはとても大切です。こんな時に役立つのが、その土地で生活する赴任者の口コミ情報。「あの先生に、こんな対応をしてもらったよ」「このアドバイスがよかった」「こんな投薬を受けた」ということから、地元の腕の良い先生に辿り着けば、それはかなり確かな情報となります。現地の情報収集は今後の課題です。

海外で登校に問題がある場合は、シンガポールでもバンコクでも、お母さんへの精神的付加が増大することは同じでした。
海外生活では、子ども達が幼稚園や学校に行っている時のみ、安心して母親が子供から離れることができます。それ以外の時間帯は、治安や安全性の問題から、小学校中~高学年でも、子供の遊びに親が同行することが少なくありません。コンドミニアム内の遊具やプール周辺でも、安全対策よりも美的設計が優先されているため、子供から目を離すことは難しいのです。ボール遊びをしていたら、プールに落ちてしまったなどということは、時々あります。自転車ごとプールに落ちてしまったという話もありました。
習い事も親が同行することがほとんどです。自転車で書道に行く、歩いて公文にいく、電車で塾に行くなど、日本では普通に小学生がやっていることが、「親と一緒にタクシーで移動」ですから、親子の生活密接度は必然的に上昇します。
平日、お父さんは多忙でこういった育児の分担は期待できないですし、日常的な子供の面倒はお母さん担当となります。もし、不登校や登園拒否があれば、お母さんが子供と24時間密着となり、精神的圧迫を感じてしまうのです。

海外の日本人小・中学校では、かなり丁寧な個別相談に応じてもらえるようですが、相談口が一つというのもつらいものです。場合によっては、企業のカウンセラーなどを通して、当該児童のみならず親御さんを支えることはとても大切です。

海外在留邦人を支えるには、安全で衛生的な環境や心身ともに健康を保ち易い環境を提供することが、必須条件だと思います。私見ですが、当基金のこういった活動がより周知され、会員企業の皆様の支えとなったり、企業カウンセラー・人事の方々と連携して同一症例に介入できるようになったりすることを考えています。そのために、国内では、会員企業の皆様とコミュニケーションをとり易いようなネットワーク作りをしておきたいものです。



編集部より
2011年2月11~13日 にJOMF専門科目医療相談のバンコク相談会が開催されました。内容は、小川原純子先生(心療内科)による相談、榊原洋一先生(小児科)の相談と講演会です。バンコクの相談会は10年目ですが小川原先生による心療内科相談は初めてで、現地からは好評をいただき次のリクエストも来ています。


 講演会の様子