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ニュースレター(機関紙)

海外勤務者のための渡航医学 その9 海外出張と予防接種
NL10090105
医療情報、海外渡航

海外勤務者のための渡航医学 その9 海外出張と予防接種

渡航医学センター 西新橋クリニック 院長
株式会社 渡航医学センター 代表取締役
日本渡航医学会 副理事長
大越裕文

最近、海外出張者に対する予防接種はどうしたらよいかとの問い合わせが多く寄せられます。赴任者の予防接種に関してはかなり注意するようになってきたものの、出張者に関しては手をつけていない企業も多いようです。海外勤務健康管理センターが行った調査によると、65%の海外派遣企業が出張者に対して健康対策をとっていないと回答しています。海外出張は、突然決まることが多く、時間的余裕がないため、対策が取りにくいのでしょう。

いま、長期に出張される方や頻回に出張される方が増えています。
たとえ明日出発するという場合でも、あきらめる必要はありません。有効な予防接種はあります。

長期出張者や出張を繰り返す人は海外赴任と同じ予防接種
予防接種は、渡航地の流行状況と滞在期間により推奨ワクチンが異なります。短期滞在の場合は、A型肝炎ワクチンが推奨されますが、長期出張する場合や頻回に出張を繰り返す方の場合は、海外赴任と同じレベルの予防接種を行うべきです。
なお短期滞在者でも、 特に推奨される人(ハイリスクグループ)に該当する場合は、追加で予防接種を受けるべきです。

表1 出張者の予防接種



表1はその大まかな目安です。例えば、A型肝炎ワクチンは、1950年以降に生まれた方に必要です。衛生状態が改善されたために、幼少期に自然感染をしなくなり、免疫を持っている人が少ないからです。狂犬病ワクチンは、野外で活動される方あるいは医療レベルに低い地域に長期滞在者される方に接種が推奨されます。日本脳炎はアジアの田舎に滞在される方、腸チフスは南アジアに滞在される方に推奨されます。また、糖尿病、循環器疾患などの持病を持った方々は、持病の重症化を防止するために、積極的に予防接種を受けるべきです。なお、実際に接種する場合は、出発までの時間、滞在期間を考慮して医師と相談の上で決めてください。

ケガや犬に噛まれたらワクチン接種
日本人が最も知識が不足しているのは、発症を予防するためのワクチン接種に関する知識です。たとえば、動物に噛まれたら、傷を消毒してすぐに医療機関でワクチンやガンマグロブリンの接種などの処置をしてもらうことが必要になります。事前にワクチンを接種している場合でも必要になります。怪我をした時、破傷風予防にワクチンあるいは免疫グロブリンを接種してもらうことが必要になります。
また、ワクチンではありませんが、マラリア流行地域に滞在中あるいは帰国後に高熱が出た際には、マラリアを疑い医療機関を受診することが大切です。ここで注意していただきたいことは、日本人医師はマラリアの診療に慣れていないため、必ずマラリア流行地から帰国したことを伝えることです。可能であれば、感染症専門の病院を受診すべきです。

予防接種以外の感染症対策
予防接種だけで、感染症をすべて予防することはできません。水や食べ物、蚊、動物に注意し、下痢などによる脱水対策として、経口補水塩(吸収が早く、点滴とほぼ同じ効果)の粉末製剤の携帯をお勧めします。また、マラリアなどの流行地に出張する場合は、予防薬の内服についてトラベルクリニックで相談してください。



◇編集部より◇ 昨年までの連載「渡航医学のABC」は、1月より新シリーズ「海外勤務者のための渡航医学」として引き続き大越先生にご執筆いただいております。読後の感想、意見、質問および今後取り上げて欲しい話題のリクエストなどを受け付けます。
ニュースレター連絡コーナーhttp://www.jomf.or.jp/ninq/index.htmlからご連絡お願い申し上げます。

著者のサイト:渡航医学センター 西新橋クリニック
http://www.tramedic.com
「渡航医学のABC」索引コーナー
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「海外勤務者のための渡航医学」索引コーナー
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