ニュースレター(機関紙)
北京の街角から~中国医療現場からの報告~第26章「露骨な序列主義」
NL10090104
医療情報、中国
北京の街角から~中国医療現場からの報告~ 第26章「露骨な序列主義」 北京天衛診所顧問歯科医 中華人民共和国 歯科認定医 田中健一 いつも鋭い質問をする中国人スタッフである王看護師が、ある時「日本で最もレベルの高い大学はどこですか?」と私に聞いてきました。(最近の入学試験状況は不案内でありますが) 私は東京大学だと思うよ、と答えたのです。以下彼女とのこの件をめぐるやり取りです。
では中国ではレベルを評価することにおいて明確な基準を有しているのですか? と逆に私が聞いたのです。 王看護師は、私も基準はわからないけどあるはずです、と答えました。私はこの点が気になったので、実際のところを調べてみました。その結果たるや「唖然!」そのものです。 中国では医学校のレベルは、きれいに序列化され国家によっ上位50位までの大学(病院は176)が公表されます。その基準は国家が定める重点学科の有無、実験室、教官のうち博士号・修士号を有するものの人数、国家が認定する著明学者の数、論文数量、博士過程の学生を指導する教官数、国家の人材計画に取り入れられているか否か、附属病院のレベル、など11項目にわたります。 そして順位付けされた結果が評価を受け、研究費や器材費という形で配分されるのです。高い評価の医学院には多くのお金を、低い評価のところには少しのお金を、です。それにより、より良い結果を出すため猛烈な競争がはじまるのです。 アメとムチを使い分けることによって全体のレベルのアップを中国ははかっていることがわかったきたのです。これって共産主義の考えと齟齬をきたさないのだろうか?と考えざるをえないのですが、それはさておき、ここから言えることは日中の間において基準の取り方が大きく異なっていることです。 日本でも(財)医療評価機構が認定を出していますが、それはあくまでも合否であり、順位までは出ません。こうしてみると、どちらが良いかは一目瞭然と私は思います。 中国が、科挙の例を引き出すまでもなく、学歴社会になっているのも、このような制度のもとではある面致し方ないかと思うようになりました。 以下、中国の上位10医学校です。特徴は北京、上海にある医学院はレベルが高いのは理解できますが、8,9,10位に軍医大学(日本でいえば防衛医科大学)が入っているのも中国の特徴といえるやもしれません。
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