ニュースレター(機関紙)
健康コラム―中国人の生活の知恵(12) 炎暑を乗りきる健康法―“四清”
NL10060106
健康、中国
健康コラム―中国人の生活の知恵(12) 炎暑を乗りきる健康法―“四清” 北京グローリークリニック院長 朴順子 この季節、旧暦太陰太陽暦(二十四節気七十二候)では夏至にあたります。今年は太陽暦の6月21日が夏至の入りで、終わりは7月6日です。日本の大部分の地域ではまだ梅雨のさなかですが、昼の時間が一年のうちで一番長く、夜の時間は最も短くなります。旧暦では夏至に続く小暑(7月7日から7月22日)と大暑(7月23日から8月6日)までが夏とされ、8月7日の立秋から秋を迎えることになります。 炎天が続く夏はとくに次の“四清”に気をつけましょう。 1) 心を静かに落ち着かせる(清静)。
2) 飲食はあっさりした脂っこくないもの(清淡)。
3) 室内は換気をよくして涼しく(清涼)。
4) オフタイムは騒がしさを避け静かに過ごす(清幽)。
この季節は果物も野菜も豊富に出まわりますが、そのなかでも漢方医学からみておすすめしたい食品をいくつかご紹介します。 果物にはビタミンや植物繊維、水分、ミネラルなど健康に良い栄養分が豊富に含まれています。しかし、どんな果物を食べるのがよいかは人によって異なります。漢方栄養学の角度からは、果物は“涼性”“温性”“平性”の三種類に分けられます。あくまでも自分の体質に合った果物を食べることが大事で、体に合わなかったり食べ過ぎたりすると悪い影響があります。 一般的には、体質が涼性の強い人は温性の果物を多く食べるようにし、反対に温性が強い人は涼性の果物を多く食べるようにします。 梨やリンゴ、バナナ、スイカ、各種のメロンなど夏の果物は、その多くが涼性ですから、温性体質の人は多めに食べてかまいませんが、食べ過ぎはよくありません。涼性体質の人はできるだけ避けた方がよいのですが、どうしてもというときは時間帯を選び午後か夕食前に少量を食べるようにし、アンズやライチなどの温性の果物を多めに食べてください。ただし食べ過ぎるとのぼせやすいので適量にしておきます。発熱や炎症があるときは食べてはいけません。 パイナップルやブドウ、マンゴーなど涼性でも温性でもない平性の果物は、どちらの体質の人でも食べられます。果物は丸ごと新鮮なものを食べるようにします。ジュースにするとせっかくの植物繊維が多く失われます。冷えすぎた果物も胃腸によくないので、せいぜい冷蔵庫で30分ほど冷やして食べるようにしてください。 夏場にいちばん気をつけたいのは、蒸し暑さが体内に入りこむことです。そうなると体中の毛穴が開き、大量に発汗して、体内の気が弱まり、胃腸機能が低下し、消化不良を起こしやすくなります。肉類の食べ過ぎは体を酸性にし体内に熱をこもらせますが、涼性の野菜を一緒に食べることで、体液の分泌を促し、体内の熱を冷まして、便通をよくすることができます。きゅうりやトマト、セロリ、レンコン、もやし、白菜、大根、冬瓜、ヘチマ、ゴーヤ、なす、ほうれん草、海草、海苔などは涼性の野菜です。ただし、病気で体力が弱っている人や虚弱体質の人は食べ過ぎないようにしましょう。 きゅうりやヘチマ、ゴーヤ、カボチャ、冬瓜などの瓜科の野菜は水分が多く、カリウムが豊富でナトリウムが少ないという特徴があるので、大量に汗をかいたあとに水分を補い、失った無機塩を補給するのに適しています。なかでもゴーヤは、熱を冷まし疲労回復によい上に食欲を増し、脳の働きも活性化させるすぐれた食品です。 また、ニンニクやタマネギ、ニラ、ネギなどは強い殺菌作用がありますから、夏場にかかりやすい食中毒などを予防するのにも効果的です。 ◇編集部より◇2009年7月よりコラム「中国人の生活の知恵」を開始しました。中国四千年とも五千年とも言われる長い歴史の中で培われた先人の深い知恵と最新の医学情報に基づいた、日々を健康に過ごすためのアドバイスをお届けします。読後の感想、意見、質問および今後取り上げて欲しい話題のリクエストなどを受け付けます。 ニュースレター連絡コーナーhttp://www.jomf.or.jp/ninq/index.htmlからご連絡お願い申し上げます。 ●「健康コラム―中国人の生活の知恵」索引コーナー http://www.jomf.or.jp/jyouhou/jigyou_iryou2/jigyou_iryou2_4.html#chie |