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ニュースレター(機関紙)

健康コラム―中国人の生活の知恵(8) 「気(き)」と「血(けつ)」の流れを良くして健康な体に
NL10020106
健康、中国


健康コラム―中国人の生活の知恵(8) 「気(き)」と「血(けつ)」の流れを良くして健康な体に

北京グローリークリニック院長
朴順子

皆さんは一日のうち、どのくらいの時間を椅子に座って過ごしていますか?
オフィスのパソコンを長時間操作し続けていると、背筋(肩や腰)に大きな負荷がかかって、気づかないうちに姿勢が崩れ、肩や腰が痛くなってきたりしませんか。これは漢方医学から見ると「気」や「血」が滞ることによって起きる症状で、「不通則痛」(ふつうそくつう/気のめぐりが悪くなるために痛みが生ずる)の状態です。そうなると良いアイディアがなかなか浮かばず、集中力も持続できなくなってしまいます。
皆さんはその様な経験がありませんか?

ここでいう「気」と「血」は、私たちの健康な体を支える大本です。漢方医学の理論では、「気」は人間の体の中をめぐっている仮想的な「生命エネルギー」のようなものであり、「血」は体内をめぐって組織に栄養を与えるもので、血液がそれに近いとされています。私たちの体は「気」と「血」で養われ、「気」が流れることで「血」が流れ、「気」が滞ると臓器や組織が鬱血します。「気」と「血」が充分に足りてスムーズに体を流れていれば健康で長生きできますが、その逆であれば病気になりやすくなるのです。

「気」と「血」を補うのは二つの面があります。ひとつは睡眠や薬、食物などから「気」と「血」を体に補うことであり、もうひとつは体内の「気」と「血」を全身に行きわたらせることです。ただ「気」と「血」を充分に補うだけで、これを体の隅々にまで送り届けなければ、骨折り損のくたびれもうけになります。工場に例えれば、最初に投資(薬や食物の購入)し、つぎに製品(胃腸で消化されて「気」や「血」になる)をつくり、さらに必要な各所へ配送(「気」と「血」の流れ)します。この最後の工程が実際の収益(健康な体)を生みだすキーポイントです。

「気」や「血」などと言うと、何か捉えどころがないもののように聞こえるかもしれませんが、漢方医学では人間の健康を測る基準は「気」と「血」が充分に足りているかどうかだとされています。人の臓器は人間と同様に、お腹がいっぱいになってこそ、元気よく仕事をすることができます。「気」と「血」は臓器にとっての“ご飯”なのです。心臓がお腹を空かす(血液の供給不足)と、動悸や息切れがしたり、脈が乱れ心拍も遅くなったりして、心臓が痛みを感じるようになります。これは、心臓が「お腹が空いた、疲れた」と訴えているのですが、何もせず放っておいたり、ただ血管拡張剤を与えたりするだけでは少しも改善されません。血液の欠乏状態がひどくなり、血管に十分行きわたらなくなると、心臓の閉塞や梗塞を引き起こし、しまいには生命を危機にさらすことになります。

大脳がお腹を空かすと、軽い場合はめまいや記憶力の減退が起こり、重ければ末梢血管の枯縮や閉塞、さらには脳血液欠乏や脳梗塞になり、その状態が長く続けば脳萎縮や認知症を引き起こします。“人体の化学プラント”と呼ばれる肝臓も同様で、それまでは一斤の肉を食べれば成人が必要とするエネルギーに転化できたのに、一斤の肉を食べてもその七割しか転化できず、残りの三割は脂肪となって肝臓に貯められ、脂肪肝に変わったり、高脂血となって血管内に堆積したりするのです。腎臓は解毒機能が質量ともにダウンし、体内のさまざまな毒素がタイミングよく体外に排出されなくなります。膵臓も同じで、それまでは充分なインスリンを出してくれていたのに、糖の代謝が正常でなくなり、余分な糖が血管内に溜まって高血糖になります。

体内のさまざまな臓器は、毎日"ご飯"をたっぷり食べてさえいれば、力をみなぎらせ仕事も立派にこなしてくれますが、体全体の総血液量が十分でないと、つまり臓器に与えられる“ご飯”の量が減らされると、臓器の機能自体は残っているものの、私たちの体は疲労や脱力を感じやすくなり、抵抗力も低下してきます。これが、よく言われる“未病”の状態です。これを放っておくと、各種の臓器は血液の供給が不足して、私たちはさまざまな疾病に悩まされることになるのです。

少し理屈っぽい話になってしまいましたが、ここで冒頭の話題に戻しましょう。
普段の生活で生ずる「気」と「血」の滞りを解消するのはそれ程難しいことではありません。手軽な方法としては、定期的に(例えば1時間に1回でも)軽く手足が伸ばせる場所に移動し、滞った「気」や「血」が再び流れ出すのをイメージしながら呼吸と合わせて屈伸をすることです。その際に、関節や筋肉ごとに一つ一つ伸ばすことができるようにし、ゆっくりと無理のない力加減で痛くない程度に行なうのがコツといえるでしょう。それだけでリフレッシュ効果がありますし、その後は心機一転して新しい気分で物事に取り組むことができるようになります。そうなれば新しいアイディアも浮かんでこようというものですね。ぜひ試してみてください。




◇編集部より◇2009年8月よりコラム「中国人の生活の知恵」を開始しました。中国四千年とも五千年とも言われる長い歴史の中で培われた先人の深い知恵と最新の医学情報に基づいた、日々を健康に過ごすためのアドバイスをお届けします。読後の感想、意見、質問および今後取り上げて欲しい話題のリクエストなどを受け付けます。
ニュースレター連絡コーナーhttp://www.jomf.or.jp/ninq/index.htmlからご連絡お願い申し上げます。

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