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ニュースレター(機関紙)

健康相談レポート~マニラ健康相談会
NL09110109
歯科、小児科、相談

「健康相談レポート~マニラ健康相談会」

当基金では、帯同家族として海外に渡航されたお子さん達に対するご両親の医療不安の解消、低減を目的として2001年にジャカルタでの小児相談を開始しました。その後、現地からの強い要望に基づき実施都市を拡大しました。また、小児に限らず一般も対象とした歯科、皮膚科等相談科目を拡大し、今年度は小児医療講演会を含めて8都市での相談会の実施を予定しています。マニラでは2003年から相談会が実施され、今年で6回目となりました。今回は小児科と歯科の相談を行いました(期間:2009年5月15日-17日、3日間)。ここに参加された先生のレポート(1.小児科、2.歯科)をご紹介いたします。

 
1.小児科健康相談

東京小児療育病院小児科
武智信幸

《全体》
相談概要 相談件数27件 相談延べ件数:33件


概ね上記内容で幅広い小児科領域の相談をお受けしました。1名で複数の相談をいただいたケースもあったため、延べ人数を記載いたしました。
相談33件中、医療機関への受診および精査をお勧めした割合が7/33(=21%)でした。これはやや高い割合だと感じました。理由として、今回は健康面への心配が強いご家族の方が多く相談にいらしたためではないかと思いました。たとえば「現地の医療機関で○○のような症状で診察を受けたのですが、今後のフォローはどうしたら良いでしょうか。経過をみているだけで良いでしょうか。」などでした。緊急性は高くありませんでしたが、今後現地の医療機関もしくは日本の医療機関どちらへの受診がより適切であるかなどを含め専門的立場からご相談させていただきました。

また乳児・幼児など小さいお子さんを子育てしている保護者の中には育児不安や健康面への不安を抱えた方もおり、そのような皆様に対しても育児アドバイスをさせていただいて健康確認をする良い機会になったのではないかと思いました。

相談にいらしたのは例年通り「ママとお子さん」のご家庭が多かったのが気になりました。せっかく相談日を土日に設定しておりますので、これからは「パパも付き添って」いただいて子育てをもう少しご夫婦で共同していければ良いのではないかと思いました(中にはたいへん熱心なパパもいらっしゃいました)。

《まとめ》
3日間充実した健診が実施できたと思います。相談人数と時間も適当だったと思います(もう少しいらしていただいても時間的には大丈夫だと思います)。
診療所にある広い「たたみの部屋」を使って実施できたのは好評でした。日本人会診療所スタッフの皆様も新しく着任されたと伺いましたが、とてもスムーズに準備進行していただいたと思います。

またボランティアの皆様、日本人会の皆様、JOMFの皆様のご協力のおかげをもって無事実施できたことに感謝いたします。  


2.歯科医療相談

デンタルオフィス日本橋
村瀬玲奈 

平成21年5月15日から5月17日、マニラ日本人会診療所にて在比邦人の歯科相談を行いました。
人数は66名(成人女性19名/男性14名・12歳以下の女児13名/男児20名)に歯科相談業務を実施しました。
以下に今回の具体的な活動内容、口腔状態の所見・総括、活動から感じた今後の課題を記します。

《活動内容》

歯科検診・相談
う蝕チェック・歯周病検診、歯磨き指導、間食のとり方、口腔衛生状態を良好に保つための方法などを説明、同様の内容を問診表に記入し、帰宅時にお渡しした。
日本人以外(邦人の家族の方など)には英語にて説明・記入を実施。
成人には、歯周病予防に効果的なブラッシング方法を別紙(※画面一番下をご覧下さい)にまとめて指導、帰宅時に配布。
小児は、歯の生え変わり・噛み合わせが正常かを注意深くチェック。
特に相談の多かった、矯正治療など専門性の高い治療の受診を希望する方には、日本におけるおおよその治療開始時期・費用・期間・治療しなかった場合のリスクなどを説明。
フッ素塗付
希望者(主に小児)とう蝕リスクの高い成人に実施
講演会―歯周病が全身に及ぼす影響について


《口腔状態の所見・考察》

日本と比較して、マニラにおける日本人の口腔衛生状態は成人・小児共に良好ではありませんでした。
成人は、う蝕や歯周病に罹患している方が多く、処置がなされていない、または処置が施されていてもその周りからう蝕になっているケースが成人で51.5%、12歳以下の小児で26.5%にみられ、滞在期間が長いほど、その傾向が強いようです。

小児は、う蝕がない子・ある子の差が大きく、う蝕がある子は日本の小児の目標う蝕罹患歯数1本を上回り、2~4本のう蝕が存在。(年齢により歯数が異なるので、%算出不可)
その理由として、マニラの日本人幼稚園は間食の時間が決まっていない上、フィリピンはキリスト教国なのでイベント(ハロウィン・クリスマスなど)が近づいてくるとパーティーが催され、間食の機会が増えるから、との文化の違いを指摘する意見が保護者の方から上がりました。またお菓子に含まれる糖質も、日本ではう蝕予防に気を配られている場合が多いですが、フィリピンでは味が甘く、蔗糖の量が多いのでよりう蝕になりやすい傾向があるのではと考察します。

《総括》

受診が容易ではない環境下で最も大切なのは、『自分の健康は自分で守る』という予防の意識です。
今後、フッ素塗付以外にも、個人のう蝕や歯周病リスクを判定したり、予防に対するモチベーション上げるような企画を実施して、在外邦人に貢献するとともに、この活動の意義を高める必要があります。
さらに、小児のう蝕罹患状況に対して現状を改善するために、母親教室や幼稚園・小学校における予防活動の必要性を強く感じました。

また、今回相談者との会話の中で、どこの医院を受診したらいいかわからないとの声が多く寄せられ、歯に関して不安があっても帰国時のみに受診している、ローカルクリニックを受診しても施された治療に不安がある、との意見がとても多かったです。
実際に相談会で、日本では考えにくい治療をされている方を拝見する機会がありましたが、逆にレベルの高い治療を受けている方もいました。治療内容を一見で判断するのは難しいですが、日本以上にドクターの技術レベルに差があることは事実と言えそうです。

《今後の課題》

帰国後、日本人会ボランティアスタッフの方と連絡を取り、この活動に期待することを伺いました。マニラ巡回医療相談を支えていただいているスタッフの方とのコミュニケーションの中で、以下の提案が寄せられました。


現地歯科医院の評価
歯科相談会で歯科疾患が発見されても、日本に帰国できない場合治療を受けることが出来ない。治療レベル、設備、衛生面について評価して欲しい。
新しい企画の実施
この場合、かかる費用が問題。
巡回医療相談の拡大
家族連れ優先で予約が埋まってしまい、相談を希望する人全員がサービスを受けられない、派遣歯科医師の人数を増やして欲しい。


などの意見があり、私が相談会の中で感じたことと共通する部分がありました。フィリピンは他の東南アジア諸国(シンガポール・マレーシアなど)と比較して日本人歯科医師が少なく、より受診しづらい環境にありそうとの感想を持ちました。それゆえに、年に1回の巡回歯科医療相談に寄せる期待も大きいようです。
今後、現地のニーズに答え、この活動の意義を高めるためにも、医療相談以外の機会で現地と活発なコミュニケーションをとっていくことが必要不可欠であると考えます。


 (配布したブラッシングの資料)
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歯周病予防 ブラッシングのポイント


プラークは歯に、強力に付着しています。

特に歯のみぞ、歯と歯のあいだ、歯と歯ぐきの境目に磨き残しが多く、虫歯や歯周病の原因となります。しっかりと歯磨きをして、健康増進を心がけましょう!


① 歯を磨く順番を決め、磨き残しがないようにします。
ひとふで書きのようなイメージでブラッシングをしましょう。
② 歯ブラシはペンのように持つと、細かく磨けます。
にぎる持ち方は余計な力が入り歯や歯ぐきを痛めるのでおすすめできません。
③ 歯ブラシは歯と歯ぐきの境目をねらい、45度の角度でブラシを当てます。
毛先を細かく横に振動させ、歯1本につき10回を目指して磨きます。
④ 歯の裏側は上下とも磨きづらいので、ブラシを立てて毛先でかき出すように磨きます。

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