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ニュースレター(機関紙)

渡航医学のABC その16 乗り物酔い
NL09110105
医療情報、海外渡航

渡航医学のABC その16 乗り物酔い

渡航医学センター 西新橋クリニック 院長
日本渡航医学会 副理事長
元日本航空インターナショナル 主席医師
大越裕文

海外に出張、赴任する場合は、長時間いろいろな乗り物に乗らなければなりません。そこで、問題となるのが、乗り物酔いです。特に、海外赴任で小さいお子様連れの場合は、乗り物酔い対策は欠かせません。

乗り物酔いのメカ二ズム
私たちは、自分の体がどのような位置にいるのかを目からの情報、内耳(耳の内部)の前庭と三半規管からの情報(重力や加速度など)、筋肉からの情報(筋肉の伸び縮み)で判断しています。これを空間識と呼んでいます。
しかし、乗り物に乗っている間に、あまり慣れていない揺れや加速度を体験すると、この空間識が崩れて、自律神経の働きに乱れが生じます。自律神経は胃や心臓などの臓器の動きや汗などを調整していますから、自律神経の乱れによって、胃の不快感などの症状が出てしまいます。揺れや加速度によって気分が悪くなることから、乗り物酔いは別名、動揺病または加速度病とも呼ばれています。また、乗り物の種類によって、空酔い(飛行機)、船酔い、車酔いなどとも言われます。
乗り物ではありませんが、同じような状態が宇宙などの無重力状態や3Dゲームをやっている最中に起こります。それぞれ、宇宙酔い、3D酔いと呼ばれており、新しい新時代の動揺病といえます。

生あくびがでたら要注意
乗り物酔いになると、最初はめまいや生あくびから始まります。次第に冷や汗、動悸、頭痛、吐き気が出現します。さらに悪化した場合は嘔吐してしまいます。吐くだけではなく、下痢を起こす場合もあります。症状は、乗り物から降りてしばらくすると、回復し、特に後遺症は残しません。

若い女性と船に注意
乗り物酔いになりやすい乗り物は、船 が一番多く、ついで、 飛行機 、 車 、 列車の順番です。しかし、自動車には全く酔わない人が船だけは駄目と言う人や、列車や飛行機には全く酔わないのに自動車には酔いやすいという人もいます。
一般的に、乗り物酔いになりやすい人は、女性、若い人、乗客です。10代の女性が最も乗り物酔いになりやすいといわれています。一方、乗り物酔いになりにくい人は、シニア世代、運転手や乗務員です。
余談ですが、ペットや家畜なども乗り物酔いを起こすようです。人間と同様の対策が必要だそうです。

発生しやすい状況
*自動車の中では、運転手が乱暴な運転をしたり、渋滞して動いたり止まったり繰り返しているときや、上り勾配、日光や箱根などの山道でカーブが多いところは酔い易くなります。また、車内の暖房が利きすぎていたり、逆に、冷房が利いていなかったりすると、酔い易くなります。
*また、体を強く締め付ける服装も酔いやすくなります。
*乗り物の中での読書や携帯メール、ゲームも酔い易くなります。逆に、遠くを眺めていると酔いにくくなります。
*睡眠不足や、空腹、食べすぎ、酒や乳製品、炭酸飲料の飲み過ぎも酔い易くなります。


予防が大切
*前日は良く寝ておくことです。
*食べ過ぎ、飲み過ぎ、空腹を避けましょう。特に、脂肪分の多い食事は避けましょう。
*乗り物に乗る前に、トイレに行って排便を済ませて置くことも大切です。便秘は禁物です。
*厚着はさけ、ゆったりとした服装で乗りましょう。
*乗り物に乗っているときは、新聞や雑誌を長時間読まないようにしましょう。
*頭をあまり動かさないでください。
*できるだけ遠くを見るようにしましょう。
*特に乗り物酔いしやすい人の注意
可能であれば、座席を選んでください。飛行機は翼付近、バスは一番前、空いていなかったら、前輪と後輪の間の席を選びましょう。タイヤの上は微妙な振動で酔いやすくなります。タクシーや車は助手席が一番安全です。進行方向と逆を向いている座席は、最も酔い易くなります。
搭乗前に薬(トラベルミン)を内服してください。
念のため、ビニール袋は用意しておきましょう。


もし酔ってしまったら
*座席を後ろに倒して眼をつぶってください。目からの刺激をシャットアウトすることが重要です。
*ゆっくり深呼吸してください。
*衣服や下着を緩めましょう。
*酔い止めの薬(トラベルミンなど)を内服してください。酔ってから内服してもある程度の効果があります。
*もし吐いてしまったら、吐物はすぐに捨てて、口の中をゆすいでください。吐物が衣類についてしまったら、着替えてください。吐物の臭いで、また吐き気が出るからです。

乗り物酔いは、移動中の健康トラブルの中で最も頻度の高いものです。海外渡航を快適にするために、乗り物酔い対策は忘れずに行っておきましょう。



◇編集部より◇ 昨年8月より渡航医学の専門家によるシリーズを開始しました。ご執筆頂く大越裕文先生は航空医学の専門家でもあります。読後の感想、意見、質問および今後取り上げて欲しい話題のリクエストなどを受け付けます。
ニュースレター連絡コーナーhttp://www.jomf.or.jp/ninq/index.htmlからご連絡お願い申し上げます。

著者のサイト:渡航医学センター 西新橋クリニック
http://www.tramedic.com
「渡航医学のABC」索引コーナー
http://www.jomf.or.jp/jyouhou/jigyou_iryou2/jigyou_iryou2_4.html#abc