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ニュースレター(機関紙)

渡航医学のABC その15 高所での健康トラブル
NL09100105
医療情報、海外渡航



渡航医学のABC その15 高所での健康トラブル

渡航医学センター 西新橋クリニック 院長
日本渡航医学会 副理事長
元日本航空インターナショナル 主席医師
大越裕文

高所というと観光で行くところというイメージかもしれません。しかし、意外に多くの都市が高所にあるのです。海外出張で高山病なんてことも・・・。知らない土地へ行く際は、気候だけではなく、標高も確認し、高山病予防の基本的な注意事項を守ってください。
まずは、高山の特徴と高山病を理解してください。

高所の4つのH
高所の環境の特徴は、4つのHと表現されます。
    
1.Hypoxia低酸素
2.Hypothermia低温
3.Hydration(de-hydration)脱水
4.Hypoglycemia低血糖

すなわち、気圧が下がる為に酸素が少なくなり、気温が下がり、空気が乾燥しているために脱水になりやすく、エネルギーを消耗する為に血液中の糖分が少なくなります。高所でのトラブルの予防するには、この4つのHに上手く対処することです。また、高所は紫外線が強くなりますので、紫外線対策も忘れずに。

高山病のリスクは高度1000mから



急性高山病は、一般的には海抜2500m以上の高地に急速に到達した際に、低圧・低酸素によって引き起こされるとされています。図1は、高山病のリスクと高度の関係ですが、ご覧のように、MILD(軽症高山病)は1000m付近から起こる危険があります。特に、ご高齢の方や心臓病や呼吸器系の疾患を持っている方はリスクが高くなります。高度1000m以上の都市は表1のように、世界中にたくさんあります。皆さんが訪れたことのある都市もふくまれているのではないでしょうか。



高山病は二日酔い?
高山病の予防には、まず、症状を理解してください。急性高山病で必ず起こる症状は、頭痛です。頭痛にくわえて、食欲不振、眩暈、胸焼け、嘔気・嘔吐があると急性高山病ということになります。 あれ、このような症状は、どこかで経験したことが・・と気付かれた方もいるでしょう。そうです。二日酔いの症状にそっくりなのです。

高山病は、まず安静にしてください。半日あるいは1日たつと殆どの場合は治まります。しかし、頭痛薬の内服しても頭痛が良くならない、吐いてしまう、うまく動けない、周囲に無関心になってきたら、これは危険な兆候です。すぐに下山が必要です。

高山病の予防
・最善の予防法はゆっくりと登ることです。とはいうものの、出張の場合は、いきなり高所に行くことが多いでしょう。そのような場合は、高山病の予防薬の内服も検討してください。
・出来るだけ,ゆっくり動きましょう。休養を取ることを心がけましょう。
・水分の補給に心がけましょう。高所は非常に乾燥しています。
・炭水化物を多く含んだ食事をこまめに取りましょう。
・アルコールや喫煙も控えましょう。 低酸素を悪化させます。
・睡眠薬、鎮静薬の使用は控えましょう。 これらの薬は、呼吸を抑制させる作用があるため、低酸素状態を悪化させます。
・短時間で高所に移動する場合は、高山病の予防薬について検討してください。は、商品名ダイアモックスR(一般名アセタゾラマイド Acetazolamide)です。高所に到着する24時間前から内服を開始し、高所に到着後最低2日間内服します。
 -トラベルクリニックで処方してもらえます。
 -http://jomf.or.jp//include/disp_text.php?type=n100&file=2008080105

・日本登山医学会ホームページ参照
 http://www016.upp.so-net.ne.jp/JSMM2006/JSMM/index.htm


持病に対する注意
高所環境で悪化しやすい病気として、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)があります。低酸素環境では、心拍数が上昇し、心臓の筋肉を養っている動脈の血流が低下してしまいます。発作を起しやすくなるわけです。高所に行く際には必ず,かかりつけの医師に相談しましょう。
また、高血圧や不整脈などでβ―ブロッカーと言う種類の薬を内服している人は、心拍数があまりあがりませんので、高山病になりやすくなります。要注意です。
多くの生活習慣病は、脱水で悪化します。高所は乾燥しています。しっかり水分を補給することも忘れずに。



編集部より:昨年8月より渡航医学の専門家によるシリーズを開始しました。ご執筆頂く大越裕文先生は航空医学の専門家でもあります。読後の感想、意見、質問および今後取り上げて欲しい話題のリクエストなどを受け付けます。
ニュースレター連絡コーナーhttp://www.jomf.or.jp/ninq/index.htmlからご連絡お願い申し上げます。

著者のサイト:渡航医学センター 西新橋クリニック
http://www.tramedic.com
「渡航医学のABC」索引コーナー
http://www.jomf.or.jp/jyouhou/jigyou_iryou2/jigyou_iryou2_4.html#abc