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ニュースレター(機関紙)

渡航医学のABC その14 新型インフルエンザ 最新情報
NL09090105
医療情報、海外渡航


渡航医学のABC その14 新型インフルエンザ 最新情報

渡航医学センター 西新橋クリニック 院長
日本渡航医学会 副理事長
元日本航空インターナショナル 主席医師
大越裕文

現在、新型インフルエンザの流行が拡大し続けています。現在流行しているウイルスは病原性が低く、日本でも流行が拡大していることから、海外渡航を自粛する必要はありません。
しかし、感染力は季節性インフルエンザよりも強く、一部感染者から重症ケースが発生していることから、海外渡航される方々は、正しい情報と渡航者の健康リスクを勘案した上で、対策を立ててください。
今回は、予定していた話題を急遽変更して、海外渡航における新型インフルエンザ関連情報を提供いたします。

機内では感染は起こりにくい ―機内検疫の結果ー
新型インフルエンザが流行し始めた4月から日本では、機内検疫が行われました。その結果の報告書が成田検疫所から報告されましたので、ご紹介いたします。

成田空港検疫所における新型インフルエンザ対応報告書
http://www.forth.go.jp/keneki/narita/pdf/20090805_NQ_H1N1%20flu_Report.pdf

まず、機内検疫で新型インフルエンザが発見されたのは、わずか10人です。NIKKEI NETによりますと、機内検疫の対象となった乗客数は20万人で、機内検疫を実施していた期間中、国内で発生した新型インフルエンザ患者は500人にのぼり、水際作戦に限界があることが判明しました。

なお、感染者の近くに着席していた濃厚接触者として停留措置を受けた乗客からは、感染者と同一日程で旅行した方を除き、新型インフルエンザの感染者はありませんでした。この結果から、たまたま感染者と乗り合わせた乗客の方々は、濃厚接触者としては、取扱わなくなりました。

新型インフルエンザ渡航医学のABCその4において、機内においては感染症が広がりにくいという事実を紹介いたしました。今回の新型インフルエンザでも同様に機内での感染リスクは低いようです。

渡航医学のABC 航空機と新型インフルエンザ
http://jomf.or.jp//include/disp_text.php?type=n100&file=2008110105

企業向けの新型インフルエンザ対策ガイドライン改定版
海外勤務健康管理センター(JOHAC)から発行されている海外派遣者に対する新型インフルエンザ対策ガイドラインの改定版が2009年8月12日に発行されました。現在流行している新型インフルエンザの病原性、感染性などにあわせて修正された対策となっています。

海外派遣企業での新型インフルエンザ対策ガイドライン(A/H1N1型版)
http://www.johac.rofuku.go.jp/information/news/061001.html

海外へ渡航される方の新型インフルエンザ対策 Q&A
JOHACのガイドラインを観光、留学、出張などの短期渡航者にもご利用できるようなガイドを私とJOHACの濱田篤郎先生で作成しましたので紹介いたします。
詳しくは>>>http://www.travelmed.gr.jp/link_inflenza/H1N1_Q&A_090907.pdf

渡航前の注意
1)あなたの健康チェック
慢性疾患などを有している方や妊娠されている方が新型インフルエンザに感染すると、重症化することがあります(表1 ハイリスク者)。あなたがこのハイリスク者に該当する場合は、かかりつけの先生に海外渡航の可否や注意点についてご相談してください。



2)新型インフルエンザ関連情報の入手
新型インフルエンザに関する情報は刻々と変化しています。海外でも、確実に情報が入手できるサイトを確認しておいてください。


厚生労働省のホームページ感染症情報センターホームページ外務省海外安全ホームページ在外公館のホームページ
3)衛生用品や薬剤の準備
旅先では手洗いをする場所が少ないので、ウエット・テイッシュやゲル状の消毒液を持参しましょう。また紙マスクも旅行日数分を準備しておきます。さらに現地で症状が出た時のために、体温計、解熱剤や経口補水液なども持参することをお奨めします。
4)海外旅行保険への加入
5)ワクチン接種
新型インフルエンザのワクチンを任意で接種できる状況になれば、渡航前に受けておくことをお奨めします。また、季節性インフルエンザや渡航先の衛生状態に応じた予防接種(A型肝炎など)も受けておきましょう。
6)ハイリスク者の対応
ハイリスク者に該当する方々が海外渡航される場合は、渡航先の流行状況と新型インフルエンザに対する医療体制の情報をチェックしてください。適切な医療を受けられない可能性が高い地域への渡航は、流行が沈静化するまで延期することをお勧めします。やむをえず、渡航される場合には、前述の対策に加え、英文の医療情報を準備し、抗インフルエンザ薬の自己治療について検討 してください。

渡航中の注意
1)感染予防策の実施
手洗い・うがいなどの感染予防にこころがけ、観光地の人ごみには、できるだけ立ち入らない方が無難です。海外でのマスクの着用はなかなか困難なことが多いようですが、どうしても人ごみに入らなければならない時は着用をお奨めします。
2)発病時の対応
旅先で新型インフルエンザを疑う症状(発熱など)が出現したら、まずはホテルで安静にしましょう。翌日になっても症状が改善しなければ医療機関を受診してください。
3)抗インフルエンザ薬による自己治療
適切な医療が受けられない国で、新型インフルエンザを発病した時に応急処置として自己治療があります。あらかじめ処方された抗インフルエンザ薬をインフルエンザの症状が出現した場合に服用します。医師の処方が必要です。

新型インフルエンザに関するQ&A
海外渡航に関する部分のみ紹介いたします。

質問7)海外渡航は制限されるべきでしょうか?
回答7)WHOは、新型インフルエンザ流行のために、旅行の制限をすべきではないとしています。今日、多くの人々が仕事や観光で世界中を移動していることから、旅行を制限してもウイルスの感染拡大を抑制する効果は極めて小さく、世界中に不利益な影響がでるからです。対策として重要なのは、感染例を迅速に同定することによって影響を最小限にすることと、患者に適切な医療を提供する事としています。日本の外務省は、海外では「自分の身は自分で守る」との心構えをもって、渡航・滞在の目的に合わせた情報収集や安全対策に努めるように注意喚起を行っています。

質問8)飛行機の中は新型インフルエンザに感染するリスクが高いのでしょうか。
回答8)WHOは、「航空機旅行は特にリスクが高くない」としています。その理由は、近年の航空機には、すぐれた換気システムが装備されており、狭い空間ながら、機内の空気は高い品質に保たれているからです。機内の空気は、ウイルスや細菌が機内に広がらないように上から下に向かって流れ、約3分毎に入れ替わっています。これは、普通のオフィスや乗り物に比べると2倍から数倍高い換気率です。さらに、機内には高性能のHEPAフィルターが使用されていることも感染防御に大きな役割を果たしています。

質問11)機内で新型インフルエンザを疑う症状の方がいたら、どのような対応がとられるのですか?
回答11)IATAのガイドラインでは、疑いのある乗客の方にマスクを着用してもらい、席に余裕があれば移動してもらうことを推奨しています。

質問12)海外で新型インフルエンザにかかった疑いがある場合、どうすればよいですか?
回答12)管轄地域の在外公館に連絡し、早急に最寄りの信頼できる医療機関を受診してください。医療機関情報は、予め下記サイトで確認しておくようにしてください。

在外公館のホームページ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/link/zaigai/index.html




編集部より:昨年8月より渡航医学の専門家によるシリーズを開始しました。ご執筆頂く大越裕文先生は航空医学の専門家でもあります。読後の感想、意見、質問および今後取り上げて欲しい話題のリクエストなどを受け付けます。
ニュースレター連絡コーナーhttp://www.jomf.or.jp/ninq/index.htmlからご連絡お願い申し上げます。

著者のサイト:渡航医学センター 西新橋クリニック
http://www.tramedic.com
「渡航医学のABC」索引コーナー
http://www.jomf.or.jp/jyouhou/jigyou_iryou2/jigyou_iryou2_4.html#abc