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ニュースレター(機関紙)

北京の街角から~中国医療現場からの報告~第19章「新型インフルエンザ模様」
NL09090104
医療情報、中国


北京の街角から~中国医療現場からの報告~第19章「新型インフルエンザ模様」

北京天衛診所顧問歯科医
中華人民共和国 歯科認定医
田中健一

新型インフルエンザの流行については中国においても連日、新聞報道で大きく取り上げられています。中国語で新型インフルエンザは甲型H1N1と言われますが、今回は9月10日現在の北京の様子と私のいる病院の取組みについて紹介します。

9月7日に国務院(内閣に相当)常務会議において温家宝首相は甲型H1N1の感染防御において以下の5点の充実を担当部局に指示しました。

1). 鉄道や航空など人が密集する場所において防御体制の充実および応急物資の徴用を行うこと。

2). 学校など感染がおこりやすい場所で発症が確認された際は速やかに学校閉鎖の処置を行うこと。

3). 治療部門の訓練を充実し大規模な感染時の重症症例にも対応できるよう準備すること。

4). ワクチンの備蓄数を増やすこと、接種の普及に努めること、基礎および臨床研究の充実を図ること。

5). 公衆の疾病に対する知識と理解を深めるべく透明で科学的な現状を公開しする他、国際交流と協力を推進すること。


北京国際空港の模様(不要不急の出迎えは控えるようにという当局の要請にもかかわらず空港は相変わらずの混みようです。2009年9月撮影)

このように日本の内閣に相当する国務院が、ある特定の疾病に関して議論し具体的な指示を出すのは、私の知る限りSARS(重症急性呼吸器症候群)以来であり、新型インフルエンザに対する関心の高さがうかがえました。さらに、4). において漢方薬の作用を重視するという表現に、日本とは異なったアプローチを感じました。

さて、この決定をもとに、3名の甲型H1N1患者がでた北京科技大学では新入生の軍事訓練を中止する他、新学期初日の授業を全て取りやめ、教職員に体温測定を実施したのです。この分野で私のような門外漢は、全学中たった3名で(軍事訓練を中止するのはわかるのですが)全校授業を中止する必要があるのだろうかと感じてしまうのですが、SARSで苦い教訓を得たこの国では未然に予防するということは当たり前のことなのかもしれません。

この流れで考えると、流行性のインフルエンザ(新型インフルエンザではない)に対するワクチンを小中学生および60歳以上の人に対して無料で接種するというのも合点がいきます。9月10日より本年3度目の無料接種が市内の衛生服務中心(日本でいえば、保健センターに相当)で開始されました。10月31日までは無料で、約180万人が恩恵を受けると見積もられています。その後は有料で来年3月まで継続されます(料金は中国産か輸入物かで異なり、40-80元)。同じ接種であっても価格が異なっているというのも、なかなか日本では理解しにくいです。
 
医療機関においては入り口で必ず体温がチェックされます。私が昨日、様子を見に行った天壇医院(首都医科大学付属病院)でも病院の入り口で検温していました。ただし、検温は日本なら医療スタッフが行いますが、北京のこの病院では駐車場の警備員が実施していました。いくら機械を手やおでこにあてるだけとはいえ、医療スタッフのほうが良いのでは、と思う私のような人間は古い考えなのかもしれません。

最後に、私のいる病院では入り口で体温がチェックされ、発熱があると病院の裏口に急遽作られた発熱外来に送られ、一般の病院利用者とは接触がないようになっています。電話で予約をした場合などで熱がある場合は直接、裏手にまわってもらう仕組みになっています。




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●「北京の街角から~中国医療現場からの報告」索引コーナーhttp://www.jomf.or.jp/jyouhou/jigyou_iryou2/jigyou_iryou2_4.html#t