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ニュースレター(機関紙)

渡航医学のABC その12 飲む点滴 ORS
NL09070105
医療情報、海外渡航



渡航医学のABC その12 飲む点滴 ORS

渡航医学センター 西新橋クリニック 院長
日本渡航医学会 副理事長
元日本航空インターナショナル 主席医師
大越裕文

ORSの粉末製剤
JOMFニュースレター“渡航医学のABC その5 海外渡航と下痢“において、下痢を起こした時の飲料として経口補水液(Oral Rehydration Solution;ORS)を紹介させていただきました。その当時の日本には、ORS製剤は液体製剤とゼリー製剤しかありませんでしたが、この度、海外渡航時の携帯に便利な粉末製剤が発売されましたので、もう一度ORSについて紹介したいと思います。


下痢・熱中症にORS
海外渡航中に最も多い健康トラブルは下痢です。この下痢対策をきちんと行うかどうかが海外で、快適に過ごせるかどうかのポイントになります。下痢が起こった時に最も大切なことは、体の外に出ていった水分をしっかり補給することです。水分を我慢してはいけません。そこで、問題なのは、どのような水分が適しているかということです。

きたない話で恐縮ですが、多量の下痢をした時の便には、多くの塩分が含まれています。理由は、下痢をした時は、便が早い速度で大腸を通過するために、塩分を吸収する時間が十分にないためです。また、下痢で脱水を起こしているときは、緊急事態ですので、できるだけ体内に早く吸収してくれる飲み物が必要となります。そこで、開発されたのがORSです。通称スポーツドリンクといわれている糖電解質飲料の3倍くらいの塩分と吸収を早くさせるために糖分が含まれています。効果は、点滴注射とほぼ同じくらいあります。ORSの開発により、途上国における子供のコレラによる死亡が減少したといわれており、最近では、ORSは発熱、熱中症などによる脱水にも効果が認められています。

発売までの経緯
既に、欧米では、ORSを使った下痢の自己治療はごく一般的となっています。渡航者はORSの粉末製剤を各自携帯し、下痢が発生した際に粉末製剤を水に溶解して治療を行っています。しかし、日本でもORS製剤は、液体・ゼリー製品として市販されていますが、海外渡航に便利な粉末製剤が存在していなかったため、ORSを日本から持参する方はほとんどいらっしゃいません。また、ORS自体を知らない方も多いので、日本人渡航者が現地でORSを購入することもほとんどないようです。そのため、日本人渡航者は、下痢による脱水で苦労しているようです。サッカーの日本代表選手が海外でひどい下痢になり、試合に出場できなかったこともあります。

近年の傾向として、衛生状態の悪い地域への渡航がふえていること、脱水に弱い高齢渡航者が増加していることから、渡航医学関係者から日本でもORS粉末製剤の開発を望む声が高まってきました。
そこで、筆者らが中心となって、海外渡航の医療に詳しい日本渡航医学会の理事・評議員にお願いして、粉末製剤が必要かどうかについてアンケート調査を行いました。

ORS粉末製剤は海外渡航の必需品
アンケート調査の結果、大多数の回答者がORSの粉末製剤は必要であり、途上国に行かれる渡航者に対して携帯を推奨すると回答していました。また、意外なことに、3分の2の回答者が先進国においてもOS-1の粉末製剤の携帯を推奨したいと考えていることがアンケート調査で明らかになりました。これは、ORSの用途が下痢だけではなく、脱水治療としての広くその有用性が認知されているからでしょう。例えば、発熱や熱中症といった原因による脱水にもORSが有効であるということです。ORSは、海外渡航時の必需品といえるでしょう。

また、最近話題の新型インフルエンザの脱水対策にも有用です。新型インフルエンザは、発熱だけではなく、下痢も30%くらいの方に起こしますので、脱水になりやすくなります。ORSを早めに補給することにより新型インフルエンザの重症化を防止してください。


このように、ORSの粉末製剤は下痢だけではなく、色々な状況であるととても便利です。薬箱の中に入れておきたい家庭薬品の一つとなるでしょう。

ORS粉末製剤の購入はこちらから
http://www.otsuka-plus1.com/product/medicalfoods/os1powder/




編集部より:昨年8月より渡航医学の専門家によるシリーズを開始しました。ご執筆頂く大越裕文先生は航空医学の専門家でもあります。読後の感想、意見、質問および今後取り上げて欲しい話題のリクエストなどを受け付けます。
ニュースレター連絡コーナーhttp://www.jomf.or.jp/ninq/index.htmlからご連絡お願い申し上げます。

著者のサイト:渡航医学センター 西新橋クリニック
http://www.tramedic.com
「渡航医学のABC」索引コーナー
http://www.jomf.or.jp/jyouhou/jigyou_iryou2/jigyou_iryou2_4.html#abc