• ホーム
  • 基金について
  • 海外医療情報
  • お勧めリンク集
  • よくある質問

ホーム > 海外医療情報 > ニュースレター(機関紙)

ニュースレター(機関紙)

渡航医学のABC その10 海外渡航と新型インフルエンザ
NL09050105
医療情報、海外渡航



渡航医学のABC その10 海外渡航と新型インフルエンザ

渡航医学センター 西新橋クリニック 院長
日本渡航医学会 副理事長
元日本航空インターナショナル 主席医師
大越裕文

今、海外渡航の際に最も気になるのが新型インフルエンザでしょう。現在流行している新型インフルエンザは、季節性インフルエンザ程度あるいはそれ以下の病原性との見解が出されていますが、再燃する可能性が高いとされています。また、病原性が変化する可能性も否定できません。したがって、流行中だけではなく、たとえ一時流行が収束したとしても、渡航前に新型インフルエンザ対策が必要となってきます。そこで、今回は新型インフルエンザと海外渡航、特に長期滞在に焦点を当て、アドバイスをさせていただきます。ニュースレター作成にあたり、海外勤務健康管理センター濱田篤郎先生に御助言をいただきました。

海外勤務健康管理センター「海外勤務者のための新型インフルエンザ対策Q&A」
http://www.johac.rofuku.go.jp/influenza/influenza.html

まずは情報の入手
新型インフルエンザに関する情報は刻々と変化します。海外でも、確実に情報が入手できるサイトを確認しておいてください。流行全般や基本的知識は感染症情報センターホームページ、渡航先の危険度は外務省海外安全ホームページ、さらに、発症した時に受診可能な医療機関や渡航国の新型インフルエンザ対策は在外公館のホームページなどから入手してください。

感染症情報センターホームページ http://idsc.nih.go.jp/index-j.html
外務省海外安全ホームページ http://www.pubanzen.mofa.go.jp/
在外公館のホームページ http://www.mofa.go.jp/mofaj/link/zaigai/index.html

基本予防策
新型インフルエンザの主な感染経路は飛沫感染や接触感染です。この2つの感染経路に対する予防対策を行ってください。
1)飛沫感染対策
飛沫物を浴びて感染する危険があるため、流行時は人ごみに出ないなど「対人距離の保持」に心がけてください。また症状のある人は咳エチケットを実践し、周囲に自分の飛沫物を撒き散らさないようにしましょう。マスク(不織布製)の着用もある程度は飛沫感染を予防する効果があります。
2)接触感染対策
接触感染を予防するためには、手洗いの励行が最も効果的です。また、ドアノブや電気のスイッチなど多くの人が接触する部分は、アルコールなどの消毒剤で頻繁に消毒しましょう。

必要な物品の備蓄
感染防御対策に必要な物品(石鹸、消毒薬、マスク、手袋など)は、充分な量を早めに用意しておきましょう。消毒薬としては消毒用アルコールや次亜塩素酸ナトリウムが有効です。渡航地でこれらの物品が手に入らない場合は、日本から持参しましょう。また、渡航後に水や食料等の日常生活物資を少なくとも2週間分は備蓄しておきましょう。

渡航先から退避か残留か
今後、渡航先で新型インフルエンザの流行が発生あるいは再燃した場合、国外に退避するのか?残留するのかをあらかじめ決めておく必要があります。海外に残留する場合は、物品の備蓄に加え、発病した時に適切な医療が受けられるように、自分の滞在する地域の医療機関情報を事前に調べておきましょう。適切な医療を受けるのが難しい地域に残留する場合は、流行が拡大する前に医療が受けられる地域へ移動するか、抗インフルエンザ薬による自己治療を行うことを検討してください。日本政府は在外公館を通じて残留する日本人への医療面での支援を行う方針を明らかにしています。

抗インフルエンザ薬による自己治療
適切な医療が望めない状況で、新型インフルエンザを発病した時の緊急的な対処方法で、あらかじめ処方された抗インフルエンザ薬を、インフルエンザの症状が出現した場合に服用することです。予防的な内服ではありません。
自己治療については、「水際対策に関するガイドライン」の中で次のように述べています。
「厚生労働省は、企業の社員等が、新型インフルエンザの発生が予想される国・地域に赴任・出張をする場合は、あらかじめ国内の医療機関で医師の処方を受けた上で、抗インフルエンザウイルス薬を海外に持参し、服用する方法等について広報・周知する。」

自己治療に用いる抗インフルエンザ薬にはオセルタミビル(商品名タミフル)とザナミビル(商品名リレンザ)があります。いずれも医師の処方が必要であり、あらかじめ自己治療方法の指導を受けておいてください。
海外勤務健康管理センターのガイドラインでは、次の条件を満たした場合に服用可能としています。

1.滞在場所が新型インフルエンザの発生国にあたる。
2.適切な治療を受けるのが困難な地域に滞在している。
3.新型インフルエンザを疑う症状(発熱、咳、咽頭痛など)がある。

注意として、服用前および服用後は可能な限り、電話や電子メールなどで医師(処方を受けた医師など)の指示を仰いでください。

今後の検疫体制
国内に感染が広まったことより、政府の対策は検疫強化による水際対策から国内の感染拡大阻止に移行しています。しかし、今年の秋あるいは冬に流行が再燃した場合、再び空港での検疫が強化され、隔離、自宅待機などの対策が講じられるる可能性があります。

新型インフルエンザの流行状況だけではなく、政府の対応も考慮したうえで冷静に海外への渡航を決めてください。



編集部より:昨年8月より渡航医学の専門家によるシリーズを開始しました。ご執筆頂く大越裕文先生は航空医学の専門家でもあります。読後の感想、意見、質問および今後取り上げて欲しい話題のリクエストなどを受け付けます。
ニュースレター連絡コーナーhttp://www.jomf.or.jp/ninq/index.htmlからご連絡お願い申し上げます。

著者のサイト:渡航医学センター 西新橋クリニック
http://www.tramedic.com
「渡航医学のABC」索引コーナー
http://www.jomf.or.jp/jyouhou/jigyou_iryou2/jigyou_iryou2_4.html#abc