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ニュースレター(機関紙)

渡航医学のABC その8 マラリア
NL09030105
医療情報、海外渡航



渡航医学のABC その8 マラリア

渡航医学センター 西新橋クリニック 院長
日本渡航医学会 副理事長
元日本航空インターナショナル 主席医師
大越裕文

日本もかつては国内でマラリアが流行した時代がありました。あの平清盛もマラリアに感染していたのではないかと推測されています。
今日、マラリアは日本国内での感染がなくなってしまったため、つい軽視してしまう傾向がありますが、海外に目を向ければ、現在でもマラリアは最も広範囲に流行している重症熱帯病であり、年間200万人から300万人の方々が死亡しています。日本でも、海外で感染した患者が毎年100名前後報告されています。
今回はマラリアの予防方法と帰国後の注意のポイントについて紹介いたします。

最も危険なのは熱帯熱マラリア
マラリアは、マラリア原虫を持つ蚊(ハマダラカ)に吸血されることで感染します。 マラリアの原虫は、熱帯熱マラリア(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア、四日熱マラリア、卵型マラリアの4種類あります。その中でも、最も危険なのが熱帯熱マラリアです。早期に治療を開始しないと生命の危険があります。特に、注意すべき地域はサハラ以南のアフリカ、インド、東南アジア、南太平洋です。事前にチェックしてください。

厚生労働省検疫所ホームページ
http://www.forth.go.jp/tourist/kansen/07_mala.html

急な発熱はマラリアを疑う
マラリアの潜伏期は通常2,3週間から2,3か月です。発症すると、インフルエンザのように、悪寒、震えを伴った高熱がでます。熱帯熱マラリアの場合は、他のマラリアと異なり高熱が持続する傾向があり、平熱まで下がることはほとんどありません。マラリアの流行地域に滞在中あるいは帰国後に、急な発熱があったら、まずマラリアを疑い医療機関を受診してください。

夜間の蚊の対策 
マラリア予防の第一歩は、蚊に刺されないようにすることです。できるだけ、蚊が発生するような水たまりがあるような場所に滞在しないようにしましょう。また、屋内に蚊を入れないように、窓には網戸を設け、睡眠時には蚊帳を使用しましょう。蚊取線香も有用です。マラリアを感染させるハマダラカは夜間活動しますので、夜間の外出時には、殺虫剤や虫よけを使用してください。原則として、衣服には殺虫剤処理、皮膚には虫よけを使用します。虫よけスプレー防虫剤(DEETという成分が30%くらいの外国製がベター)を4~6時間ごと(濃度により異なります)に使用してください。

防虫剤が付着した防虫ウエア
http://morita.b-smile.jp/

予防薬の注意点
日本でマラリアの予防薬として認可されているのはメフロキン(商品名メファキン)のみです。メフロキンを使用する際の注意として2点あります。

まず、メフロキンは、胃腸障害(悪心、嘔吐、腹痛など)、めまいなどの副作用が起こりやすいため、初めて使用する際は、渡航の2,3週間前から内服を開始して副作用の有無を確認することをお勧めします。副作用が出た場合は、すぐに処方を受けた医師に相談してください。

2番目の注意は、メフロキンが効果のない熱帯熱マラリアがタイ・ミャンマー国境地帯、タイ・カンボジア国境地帯に流行しています。このような地域に行く場合は、海外では、メフロキン耐性マラリアにも効果があり、より副作用の少ないアトバコン/プログアニル合剤(商品名マラロン)が推奨されています。一部のトラベルクリニックに扱っていますので、ご相談ください。いずれの薬剤を用いても、予防薬だけでは完全に予防することはできません。予防薬を内服していても、蚊の対策は行ってください。

帰国後に発熱したら専門医療機関へ
マラリアは、国内では発生がないため、医師もマラリアの診療に不慣れです。風邪などと間違われることもあります。帰国後に急に発熱をしたら、まず感染症専門の病院を受診して、マラリア流行地域からの帰国であることを伝えてください。
適切な医療機関がわからない場合は、トラベルクリニックあるいは検疫所にお問い合わせください。

マラリアは最も警戒しなければいけない感染症であることを忘れないようにしてください。

検疫所電話相談
http://www.forth.go.jp/tourist/tel.html



編集部より:昨年8月より渡航医学の専門家によるシリーズを開始しました。ご執筆頂く大越裕文先生は航空医学の専門家でもあります。読後の感想、意見、質問および今後取り上げて欲しい話題のリクエストなどを受け付けます。
ニュースレター連絡コーナーhttp://www.jomf.or.jp/ninq/index.htmlからご連絡お願い申し上げます。

著者のサイト:渡航医学センター 西新橋クリニック
http://www.tramedic.com
「渡航医学のABC」索引コーナー
http://www.jomf.or.jp/jyouhou/jigyou_iryou2/jigyou_iryou2_4.html#abc