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ニュースレター(機関紙)

海外メンタルヘルスの現場から(71)「海外赴任者のストレス~海外人員削減の波」
NL09030102
メンタルヘルス、海外赴任、ストレス

海外赴任者のストレス~海外人員削減の波

シンガポール日本人会クリニック
小川原 純子

シンガポールでも、毎年3月は別れの季節。多くの海外赴任者とその家族が日本に帰国する時期です。例年は、日本帰国者と交代に、後任者が来星し、その引継ぎや挨拶に忙しい季節でもあります。ところが、今年は少し様子がちがいます。後任者が来ないポジションが、非常に多いのです。

「今年は、日本人赴任者の数が減るので、私が、シンガポールとマレーシアの責任者を兼務することになりました。」
「4月から、自分はタイとシンガポールを担当することになりました。1週間ごとにシンガポールとタイそれぞれに滞在することになりそうです。」
「今まで、日本人5名で分担していたところを、3名で分担することになりました。」
「シンガポールの仕事は継続するのですが、経費削減のため、自分は日本に帰国することになりました。日本の仕事をしながら、1~2ヶ月ごとにシンガポールに来て、1ヶ月滞在します。」

日本に急遽帰国が決まった人も大変ですが、シンガポールに残って、二人分の仕事を一人でこなすことになった人も本当に大変です。仕事の過負荷が、数ヶ月続くと、持続的疲労感と精神的空虚感を生むこともあります。
特に、不採算部門や数字としてその存在意義が証明しづらい立場にあるケースは、精神的な居場所を失いつつあります。

「日本の本社は、今、アジアの事業を縮小しようとしています。自分は、10年もアジアに赴任して、アジアの専門家。今までの自分の専門性や自信を失くしたまま、日本に戻るのは怖いです。でも、転職は、もっとリスクがあるし・・・」
「日本の本社は、シンガポールの事業所の処遇を巡ってもめています。5人の日本人スタッフが、この四月で2人に減ります。残ることになった私たちの滞在コストをどこの部署も負担したくないようです。自分の出身部署は、すでに閉鎖になっていて、戻る場所がない。これって、自分は『余剰人員』??流れに任せていますが、時々、虚しさを覚えます。」

日本から物理的にも遠方にあるということで、海外赴任者には、本社の空気が読めなかったり、本社の決定が唐突に感じられたりし、強い不安を感じてしまうことは確かでしょう。

現在起きている変化の影響が、海外に残された赴任者の「精神的疲労」として現れるのは、4~6ヵ月後ではないのでしょうか。2009年秋以降、受診者動向がどのように変化するのか・・・皆さんにもまた、何かの機会にご報告できればと思います。