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ニュースレター(機関紙)

続・話題の感染症20「コレラ」
NL08120103
感染症

続・話題の感染症20「コレラ」

海外邦人医療基金(顧問)
長崎大学熱帯医学研究所(客員教授)
日本医師会(感染症危機管理対策委員)
おおり医院 院長(神奈川県)
大利昌久

はじめに

アフリカのジンバブエで、都市部を中心にコレラが大流行。2008年8月から、すでに約13,000人が感染し、約600人が死亡したという。これから雨季を迎える地域なので、恐らく、ジンバブエから南アフリカへの流行が予想される。
現地では、コレラに有効と言えるドキシサイクリンが、薬局から姿を消したとのこと。

ジンバブエはビクトリアの滝で有名な観光地なので、検疫が強化され、入国時にコレラワクチン接種証明書を要求されることがあり、コレラ情報に目が離せなくなった。
突然の下痢と嘔吐ではじまるコレラについて記した。

平成19年4月施行の感染症新法では、細菌性赤痢、腸チフス、パラチフスとともに3類感染症に指定されている。日本では食中毒の原因菌とされているが、一般には東南アジア、アフリカからの輸入感染症としても重要である。
経口的に摂取されたコレラ菌は小腸に達すると、腸管に付着して増殖し、エンテロトキシン(腸毒素)を産生することにより腸粘膜を傷害して下痢を発症させる。O1とO139血清型菌がいる。
 O1血清型菌には古典型とエルトール型があり、さらにその抗原の性格から稲葉型と小川型に分類されている。
アルカリ性や塩分を好むコレラ菌は、河川が海に注ぐ河口に生息しているエビ、貝の中にいることが多い。有名なリゾート地でも、河口付近では泳がないこと。

1)主要症状
下痢が主要症状で嘔吐を伴う。飲料水、食物などを介して経口感染する。潜伏期間は1~3日で、急激な水様性下痢で発症することが多く、重症では“米のとぎ汁”様な下痢になる。
通常、発熱、腹痛は伴わない。大量の下痢による脱水症状、アシドーシス、急性腎不全、ショックを起こすことがある。下痢がひどいため、感染者は動けず、コレラベッドで過ごすことになる。
コレラ菌は正常の胃酸によってかなり死滅する。そのため、胃切除者や胃酸低下者は感染しやすく、重症化する。抗胃潰瘍剤服用者は要注意。

2)診断
頻回の無臭の白色水様性下痢で、重症の場合は嘔吐を伴う。腹痛、発熱を伴わない下痢の場合はコレラを疑い、便の培養を行う。培養でコレラ菌が分離されたら、その血清型を調べO1またはO139であることを確かめる。さらに分離菌のコレラ毒素産生性も確認する。
合併症は頻回の下痢による脱水症状で、チアノーゼ、体重減少、頻脈。皮膚の乾燥(カサカサになる)や弾力性の消失、乏尿、無尿などが起こる。

3)抗菌薬療法
ニューキノロン系薬が第一選択。その他テトラサイクリン エリスロマイシンも有効。抗菌薬療法は終了後24~28時間以上の間隔で連続2回便培養を行い、いずれも菌陰性ならば治癒とする。

4)予防接種
従来、死菌ワクチン2回接種がおこなわれていたが、WHOは、その予防効果は低いと評価している。ただし、入国の際に証明書を求められることもあり、トラベルクリニック医に相談のこと。

5)感染対策
アフリカでは遺体を水で清める風習もあり、遺体からのコレラの感染流行もある。又、ブッシュの野糞が、コレラの感染源となることもある。
基本的には石けん水での手洗い、生ものを口にしないこと。帰国し、下痢を経験したら専門医受診が必要。



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