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ニュースレター(機関紙)

中国駐在メンタルヘルス よもやま話 ② ―妻たちのストレス要因―
NL08110106
医療情報、中国、メンタルヘルス


中国駐在メンタルヘルス よもやま話 ②
 
―妻たちのストレス要因―



近畿医療福祉大学
教授 勝田吉彰

前回、中国駐在員のストレス要因について紹介しました。
今回は、中国に家族連れで赴任し、生活を支える妻たちのストレス要因についてお話しましょう。

1)食の安全に対する不安
日本でも広く報道された残留農薬問題に象徴される様に、食の安全問題は駐在員家族たちにとって毎日続く不安要因です。日本の報道だけ見ていると、たとえば残留農薬問題も毒餃子事件も時間の経過とともにどんどん扱いが小さくなってゆき、世間の関心も遠ざかってゆくばかりですが、現地の生活者にとって24時間365日の継続的大問題です。野菜の農薬問題ばかりではなく、重金属による水質汚染問題にもとづく水産物への懸念など不安の種は尽きず、ニセミネラルウォーター事件が追い討ちをかけます。

ここで農薬の心配のない野菜を求めようとすると、特定の店で「有機食品」「緑色食品」シールの貼られた特定の品物を購入せざるをえず、キャベツ1玉15元(約320円!)という日本よりはるかに高コストを余儀なくされます。子供連れの赴任となると、魚に蓄積する重金属への不安から子どもに食べさせるのを躊躇するところとなります。

日本に一時帰国した折には、まるで未開の地へ赴くかの如く食糧を山のように買い込んで帰る姿も目立ちつつあります(筆者もかつてアフリカのスーダンに在勤していた頃は一時帰国のたびに空港で好奇の視線を浴びながら日本製食糧スシ詰め段ボール箱をチェックインした思い出があり、これは馴染みの行動なのですが、それと同じ光景を今回、関西空港中国行きのカウンターで目撃して愕然としました)。

2)健康不安
その他にも様々な健康不安要因が存在します。
都市部における大気汚染は年々深刻さを増すばかりである。筆者が離任した翌年に北京を再訪した時には、1週間の滞在期間中、雲の無い本来晴天日でさえ青空というものをまったく見ることが出来ませんでした。これは筆者の在勤していた頃には無かったことで、わずか1年半の間に事態はますます増悪しているのを実感させられました。光化学スモッグ警報が発せられる日には実際に目がチカチカし外出も躊躇されます。

また、同伴家族には日本在住時のように住民健診で健康チェックを受けられる仕組みがなく、ますます不安の増大につながっています。

3)経済的要因
猛烈な経済成長にともない、物価は上昇の一途をたどり、さらに加えて人民元の為替レートが上がるため駐在員の実質的給与は目減りしてゆきます。中国の実態に合わせて上がらぬ給与に、前述のキャベツ1玉320円に象徴されるように食の安全確保のために日本以上のコストがかかる事情も重なり、駐在員妻たちは家計簿を前に焦燥感を募らせています。

企業に求められるのは、こういった事情をしっかり認識して適切なサポートを迅速に支給することです。本社側が現地人の生活水準を念頭に何となく「中国の物価は安い」と誤解していては、現地の家庭生活は不安に満ちたものになってしまい、毎日不安に駆られた家庭環境からは、思うような業績が上がるはずもありません。妻子に対する人道問題も言うに及ばず。健康で文化的な日常生活を支える資金は、会社の業績という形でリターンしてくる生き金だという視点で福利厚生に取り組むことが必須です。



編集部より:文中の緑色食品とは、国家認定基準のひとつで、安全・優良な品、健康によい食品(原材料及び加工品を含む)を示すそうです。中国産の食料品をご覧になる機会があればこのような表示をチェックしてみてはいかがでしょうか。

著者の運営するブログはこちらから
新型インフルエンザ・ウォッチング日記URL
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前回の記事はこちらから
「中国駐在メンタルヘルス よもやま話」索引コーナー
http://www.jomf.or.jp/jyouhou/jigyou_iryou2/jigyou_iryou2_4.html#yomo

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