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ニュースレター(機関紙)

中国駐在メンタルヘルス よもやま話 ① ―中国駐在員のストレス要因―
NL08100106
医療情報、中国、メンタルヘルス



新連載 中国駐在メンタルヘルス よもやま話 ①
 
―中国駐在員のストレス要因―



近畿医療福祉大学
教授 勝田吉彰

私は94年から03年まで外務省医務官としてスーダン・フランス・セネガル・中国の合計12年間、海外医療の現場に身を置き、それぞれの地で駐在・留学あるいは旅行で来られた日本人の方々と接点をもつ機会を得てきました。最後の任地北京では、赴任早々のSARS流行をはじめとして、特に思い出多き任地となりました。退官後も、調査や研究で年2回ぐらいは行き来が続いています。

今回、ご依頼をいただき、メンタルヘルスに焦点を当ててお話したいと思います。まず最初に、現地の駐在員ストレス要因・・・数多くあれど、代表あげよとなると「人治主義」「乾杯」「日本の本社の認識欠如」ということになろうかと思います。前二者、担当者の胸先三寸で話がころころ変わってしまう事や急性アルコール中毒死寸前で命を削りながらのビジネスミーティングについては、中国関係のビジネス書に色々書いてありますので、それらを参照いただき、ここでは「日本の本社の問題」を挙げます。

中国の現地で日系企業駐在員と懇談するとしばしば語られるのは、日本の本社の認識と現実との乖離です。ほんの1年前にはさしたる競争もなく、なかば独占的に売れたものがたちまちのうちに欧米企業の参入により売上減を余儀なくされる。政府の規制が朝令暮改のごとく変わり、半年前に通ったものが通らなくなる・・・ここで大きなストレス要因となるのが「ほんの2~3年前まで中国に滞在していた先輩駐在員」という存在です。

2~3年前の事情と現在では状況が激変しており彼らの情報はすっかり古くなっているのですが、日本に帰国し日本的時間の流れに身をおくとそれが認識できない。ましてやその他の本社の人間には「1年間で現地情報が完全に陳腐化する世界」は想像の範囲外です。急なビジネス環境の変化で減少を余儀なくされた売上・利益に対し、本社側は「現駐在員の怠慢・無能」と評価し、現駐在員の反論にもかかわらず本社内における「ほんの2~3年前の駐在員」の証言がその評価を確固たるものにしてしまう・・・という事態が大小関係なく様々な会社で発生し、現駐在員のモチベーションの低下・ストレスに結びついているようです。

日本の本社として、「ほんの2~3年前の情報」は、日本社会で「10年前の話に相当する古い話」と認識して、駐在員の置かれている状況についてコンスタントに把握する努力を続けていただきたいと思います。そのコストは、駐在員のモチベーションとして報われるものになります。



編集部より:今月は中国でのメンタルヘルスに関して勝田吉彰先生によるご寄稿を掲載します。先月のニュースレター目次でご紹介しておりますが、新型インフルエンザ対策に関わる方はすでにご存じの「新型インフルエンザ・ウォッチング日記」というブログの運営者でもあります。
中国という近くて遠い隣国…外見が似ているだけで価値観が日本人とはかけ離れた隣人達とともに働き暮らしている邦人駐在員は増加の一途です。またこの国自体の変化のスピードもすさまじく、オリンピック前後の様子からもこの点にはどなたも納得できるのではないでしょうか。赴任する方への理解を深めるヒントとしてご一読いただければ幸いです。
新型インフルエンザ・ウォッチング日記URL
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12


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