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ニュースレター(機関紙)

健康相談レポート~タイ・バンコクでの小児健康相談を担当して
NL08070105
小児、健康相談

編集部より:当基金では毎年海外医療相談を実施しております。2007年度はクアラルンプール、ジャカルタ、バンコク、デュッセルドルフ、フランクフルト、マニラ(実施順)の6都市で医療専門家による相談を開催いたしました。
バンコクにおいては、小児科、歯科、皮膚科、育児の相談が行われました。今回は先月の波川先生に続き同じチームでバンコクの小児相談を行った横山美奈先生(都立東部療育センター)のレポートをご紹介します。
なお、今年度の相談予定は7月にクアラルンプールが終了、他の地域につきまして決まり次第会員の皆様にご案内の予定です。


健康相談レポート~タイ・バンコクでの小児健康相談を担当して


都立東部療育センター 小児科
横山 美奈

【日時】
2007年10月18-22日(相談事業は19―22日の4日間)。相談時間は8時~16時55分まで、1名15分、間隔5分。

【場所】
タイ、バンコク、サミティベートスクンビット病院1階、スイート用ルーム診察室、面談室の2部屋(イスなど設置は適宜こちらで変更)

【スタッフメンバー】
日本人会ボランティアスタッフ 数名(1日平均4名、看護士、理学療法士、歯科衛生士など医療専門職種の方々)、小児科医師2名(椎木、横山)、JOMFスタッフ

【使用した物品】
医療物品:聴診器、舌圧子、洗浄綿、耳鏡、体温計、手指消毒剤(JOMF持参品を使用)
その他:置時計、絵本2冊(幼児用)、玩具(木の玩具複数組み合わせるパズル)、馬形の乗って揺らして遊ぶ玩具(ボランティアスタッフがサミティベート病院から借用)

【小児健康相談の実際】

1.相談件数と概要

 予定人数当日追加人数当日キャンセル合計
19日(金)230023
20日(土)232124
21日(日)192021
22日(月)190019
総計844187



 乳児
(1歳未満)
1歳2歳3歳4歳5歳以上
19日(金)3133211
20日(土)164751
21日(日)254551
22日(月)184600
総計7321520113



 健診、保育、
予防接種など
発達相談
(2次レベル)
医療のセカンドオピニオン
など
19日(金)1526
20日(土)1148
21日(日)9010
22日(月)1216
総計47730



事前アンケート用紙(年齢に応じて3種類乳児、幼児前半、幼児後半用)、当日受付にて問診用紙を記載していただき、受付スタッフにて予約管理、他科への希望があれば追加の電話連絡などを行っていただいた。相談時間15分経過したところで、スタッフの方から診察室にノックと声かけをしていただき、ほぼ時間通りに行えた。

2.健康相談内容について

① 健診、保育、予防接種などについて
日本で行われている乳幼児健診を受けていないため代わりを希望される方が多かった。保育相談の内容は、一般的に多い離乳関連、栄養、成長発育、発達全般、すいみん、指しゃぶりのほかに、言語と環境についての質問も多かった。歯ブラシの手順や歯並びなど歯科関連は、歯科医師による相談も希望される方が多かった。予防接種の受け方についても質問が多く、日本との違い、受け方、受ける順序などの相談が多かった。

② 発達相談(2次レベル)について
幼児期で、日本の乳幼児健診後に行われている発達健診の2次健診(発達相談)に相当する相談。ご家族や保育スタッフが発達の遅れなど認知できていても、言語の壁もあり、受診、診断、療育提供が困難な状況であることがわかった。相談時間が短く、その後の定期評価も困難であるため、ある程度の説明と、家庭での対策について簡単にお話した。

③ 医療のセカンドオピニオンについて
タイ、バンコクの衛生環境のために咳が多いとの訴えが多かった。アレルギー関連の質問も数多く、セカンドオピニオン関連相談数の中でも半数を超えた。質問内容は、気管支喘息かどうか、食物アレルギーの食物除去の解除方法、アトピー性皮膚炎や湿疹と食べ物について、治療のセカンドオピニオンや見通しなどが主たるものであった。また食物の成分表示がタイ語表記で除去が困難であるとの訴えも多かった。皮膚科関連は、皮膚科医師による相談も希望される方が多かった。
その他では、整形外科、皮膚科、小児外科、眼科、耳鼻科関連など多岐に渡っていたため、一般的なお話と、受診のタイミングなどについてアドバイスを行った。

3.そのほかの相談

・ 20日17時半~19時、日本人学校からの相談
参加者:事務局1名、養護教諭2名、特殊学級教諭4名、小児科医師2名(椎木、横山)、JOMFスタッフ
相談内容:ケース相談1名、発達障害児への対応、受診や家族への説明方法など
全校生徒250名のうち数%に発達障害など対応難しいお子さん、30名ほどかなり対応に困っているお子さんがいるとのこと。受診できる医療機関なく、療育的な支援も行われていない状況で、巡回相談医師との相談機会を年に1回でも継続的に持っていきたいとの強い要望があった。今後できることをJOMFと日本人会、日本人学校とで話し合っていくこととなった。

・ 21日16時半~17時半、日本人幼稚園からの相談
相談者:幼稚園先生2名
相談内容:ケース相談1名(ことばの遅れ、発達障害関連疾患疑い、知的障害の疑い)。母がタイ人、父が日本人のケースで、家庭での母語がタイ語であり、言葉の遅れに環境要因と発達障害関連が複雑に混在した状態が疑われた。家族の病識が低く、幼稚園側が日々の対応に苦慮しているケースであった。一般的な対応方法と、家庭への働きかけについてアドバイスを行った。

【考察】

ボランティアスタッフが医療関係者であったこと、事前アンケート内容が適切であったこと、15分後のノックなど誘導が適切であったことから、相談業務は予定通りに滞りなく施行できた。多くのご家族は、たくさんの相談内容に対しての種々の説明やアドバイスにご納得され、笑顔で帰られる方も多く、有意義な相談会となったと思われた。

「小児健康相談」という名称のもとにいらしたご家族の大半は、日本で言う乳幼児健診をイメージされて相談にいらしていたが、その内容は日本とは多少異なり、タイ、バンコクの環境に特有のものも多かった。

相談内容は、項目数が4-5種類以上と多項目、多岐にわたっていた。
保育においては、母語など言語環境、医療に関してはアレルギー関連疾患が多くみられた。
また発達障害関連については、相談先が全くなく、療育提供が非常に難しい状況がみられた。
医療に関しては、くすりが日本より多くでる、抗生剤や解熱剤の使い方が異なる、説明が通訳さんで省略される、細かいところまで質問しにくい、小児科以外の科にかかったほうがよいかなど相談しにくいなどが多かった。
質問内容が多くの方で重複していたため、タイ・バンコクと日本の医療や保育のちがいについて、一般的な情報を伝えられる手段(リーフレット普及やインターネットの活用)が必要と思われる。

発達障害関連に関しては、日本語幼稚園、日本人学校関係者と、ご家族への啓蒙活動、具体的な支援策、療育方法のアドバイスなどについて、どこかがリーダーシップをとって連携をはかり、継続的に行っていくことが必要と考えられた。現時点でキーとなる組織については非常に不明瞭であったが、現場日本人学校側は今回の話し合いで大変モチベーションが高く、今後JOMFや日本人会との具体的なシステム作りに期待したい。
相談時に、次の巡回相談時期についても質問が多かった。現地のニーズをより詳細に把握するために、相談を受けた方へのアンケート調査は必須としてもよいかと思われた。

相談事業を継続的に施行していくのための問題点の一つとしては、主たるスタッフがボランティアであり、個人の事情で帰国などにより、同じ人材での継続が難しいことがあげられた。実際の運営はボランティアスタッフに全面的に依存しているため、今回のように円滑に巡回相談事業が来年度以降も行われるかについては、スタッフの引継ぎ程度に左右される可能性がある。

今回得られた今後の課題としては、現地スタッフに対する引き継ぎサポート、現地各種団体との連携サポート(JOMFと日本人会、日本人学校など)、巡回以外での情報提供方法の模索が挙げられる。巡回相談事業の継続と更なる発展のために、他国での例を参考に業務をマニュアル化して提供するなど、ひきつづき現地スタッフと模索していく必要があると考えられた。

【参考】巡回相談開催場所

サミティベートスクンビット病院入り口


病院中庭


待合室


相談に使用した室(スイートの診察室を借用)