• ホーム
  • 基金について
  • 海外医療情報
  • お勧めリンク集
  • よくある質問

ホーム > 海外医療情報 > ニュースレター(機関紙)

ニュースレター(機関紙)

小児科、発達
NL07120105
ジャカルタ小児の発達・子育て相談会

ジャカルタ小児の発達・子育て相談会

編集部より:当基金では毎年独自の専門科目海外健康相談を実施しております。2007年度はクアラルンプール、ジャカルタ、バンコク、フランクフルト、デュッセルドルフで既に実施、今後はマニラ、シンガポールで実施の予定です。
ジャカルタにおいては、昨年までの小児科専門医の他に、新たに現地の事情に詳しい社会福祉士兼精神保健福祉士がコーディネイターとして加わり、相談会で大きな役割を果たしました。今回はその報告を掲載いたします。



前ジャカルタカウンセリング代表
社会福祉士・精神保健福祉士 
柴田真紀

 2007年9月21日~24日インドネシアのジャカルタで小児の発達・子育て相談会及び幼児健診が行われました。

 ジャカルタでの相談会は2001年から始まり今回が7回目の開催であり、1~5回はジャカルタジャパンクラブが、6回目からはジャカルタカウンセリングが現地での主催者となっています。私は1995年4月から2007年3月までの12年間ジャカルタ在住、その間に妊娠・出産・子育てをし、第一子が小学校に入学した2001年からはソーシャルワーカーとしてジャカルタカウンセリングの活動に関わってきました。
 今回、幼児健診では心理発達検査を担当し、相談会では広瀬宏之医師に同席し現地の生活・子育てのアドバイスと遊びを通してお子さんの観察をしました。内容の詳細につきましては別途広瀬医師から報告されますので、ここでは割愛させて頂きます。

 ジャカルタカウンセリングではJOMFからの小児科医師派遣以前の1999年から、半年に1回の割合で幼児健診を行ってきました。幼児健診を通して毎回子どもの発達に関する相談が受診者の2~3割の方から寄せられますが、中には専門医でなければ対応が難しいと思われるケースもあります。幼児健診以外でも幼稚園や学校に在籍するお子さんの発達に関する相談を受け、また学校集団への適応が困難なお子さんの個別指導等を行うにつれて、小児科医師の派遣が健診の意味合いだけの内容では不十分であり、正確な見立てや診断のできる専門医の派遣の必要性を強く感じるようになりました。それと共に、派遣された医師との相談後のフォローをどうするのかが新たな課題として出てきました。

 発達上の問題を抱えフォローが必要な親子に対しては、現地での支援と現地への支援の両方から考えていかなければなりません。
 現地で行う支援として個別相談、個別またはグループでの療育・指導、そして家族はもちろんのこと日本人社会、特に学校関係者への発達上の問題の理解と適切な対応を促す為の啓蒙活動として、講演会や事例検討会等が考えられます。海外の日本人社会では閉塞感が強く感じられる傾向があり、問題がある場合でも相談に結びつきにくい、或は周囲からの理解が得られず悩みを抱え込んでしまい、母子のみ帰国という選択をせざるを得なかった例もあります。本人や養育者があるがままに受容してもらえる場やピアサポートの機会を設けること、学校をはじめとして当事者をとりまく機関や人との連携は、海外という社会資源の限られた中ではありますが、できる限り取り入れていきたいものです。

 現地での支援システムを構築する際の問題点として
① 人の入れ替わり頻度が高いため支援者の確保・定着が困難
② 狭い日本人社会の中でのプライバシーの保護
③ 絶対数が少ないため、年齢のばらつき具合や居住地区等によってはグループ作りが困難
④ 帰国先が個々に違うため帰国時の情報の共有化がしにくい

といったことがあげられます。これらの解決策として

① 支援者を支援するためのネットワークの構築、アドバイザーの確保
② 守秘義務の周知徹底
③ 親のサポートを中心としたグループ作り
④ インターネットでのメーリングリストや掲示板の活用
⑤ 日本人会や日本人学校等、社会資源の活用・連携

などが考えられます。

 現地への支援として定期的な専門家の派遣が第一にあげられますが、子どもの成長のスピードとフォローアップを考慮すると、可能であれば半年に1回、同一医師の派遣が望ましいと思われます。今回のジャカルタでの相談会は12人の方が前回に引き続き相談を申し込んでいます。相談会終了後のアンケートでも約92%の方が継続して同じ医師の派遣を望んでいるという結果が出ています。現在ジャカルタでは、現地の邦人向け新聞紙上で広瀬宏之医師による子育て相談が行われていますが、これもまた日本から現地への支援の一つとして周知されつつあります。インターネットやファックスによる相談に関しては、ジャカルタのみならず世界の各都市で利用されていることと思います。

 最後になりますが、海外に在住している場合に勧めたいことの1つとして記録をとることがあります。海外の日本人社会は、学校・幼稚園の教員を含め当事者に関わる人の入れ替わりの頻度が高く、その際の引き継ぎも十分にされているとは言いがたい状況です。それまでの発達の経過及び家庭・学校等での対応の仕方とそれによる効果や変化を具体的に記録することは、双方の共通の理解と取り組みに役立つだけではなく、一時的なものも含め帰国時に専門機関へ相談する際、或は現地に専門家が派遣された際に点検・評価を受けることが可能になり、処置・修正、更には次のステップの計画に繋げることができるのではないでしょうか。

 今回、現地での生活経験者と相談会への参加者という2つの立場から意見を述べさせて戴きました。海外赴任にお子さんを帯同する場合「医療」と「教育」は重用視されることの1つであり、各地でより良いシステムの構築が望まれていることでしょう。幼いお子さんをつれて赴任される家族が増えていると言われる現在、海外でも安心して子育てできる環境が整うことを心より願っています。


相談会の風景


:編集部より:
先月に続き、ジャカルタでの小児の健康相談(本年9月開催)のレポートを掲載致します。
読後の感想、意見、質問などはwebmaster@jomf.or.jp 宛にメールでお送りください。

●「2006年度 健康相談レポート」索引コーナー(昨年実施の ジャカルタ発達・子育て相談 報告記 を掲載)
http://www.jomf.or.jp/html/jigyou_iryou2_4.html#r
●「2007年度 健康相談レポート」索引コーナー(広瀬医師による ジャカルタ発達・子育て相談 報告記2 を掲載)
http://www.jomf.or.jp/html/jigyou_iryou2_4.html#s