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ニュースレター(機関紙)

北京の街角から~中国医療現場からの報告~第2章 救急外来 編
NL07120104
医療情報、中国


北京の街角から~中国医療現場からの報告~第2章 救急外来 編


北京天衛診所顧問歯科医
中華人民共和国 歯科認定医 田中健一

 中国で生活をしている邦人にとって、最も大きな心配ごとは、自分や家族の突然の急病や事故だろうと思います。また、駐在員からの相談に答えるべき国内の担当部署も中国の医療制度そのものが把握しにくいため、このような事態への対応策を練ることが難しいのが実際でしょう。前回は救急車について紹介しました。そして、今回は、急病によって救急外来にかつぎ込まれた実際にあった話をもとにして、中国における救急のかかりかた(手順の流れ)について御紹介します。(文中での1元=16円) 

救急外来受診マニュアル 
 日本の医療機関と中国のそれとを比較した際、私が最も大きな相違と感じることは、治療費の支払い方法です。日本では会計は外来であれば治療後、入院であれば退院時ですが、中国では支払いがそのつどであり、全ての処置の前に料金を支払います。つまり、先払いしないと必要な点滴すらしてもらえない仕組みです。

 受診に際し、カルテを作成するための費用(掛号費)を「掛号処」で支払います。この費用は主治医を誰に指名するかによって異なります。担当医を指名しなければ、研修医や若い医師が担当します(50元)。経験のある主任(教授クラス)を指名すると200元前後必要です。さらに夜間であれば夜間料金の200元も加算されます。海外旅行保険がある場合にはここで提示すると、キャッシュレスにできますが、こういう救急の時にはなかなか自分の保険書類まで持参できる人は珍しく、複数の方は現金での支払いを余儀無くされていました。



医師のランクが一目でわかる院内の掲示(空白になっている部分に実際は医師の名前が並んでいる)




掛号費(挂号費)の表示



 掛号費と交換にもらうレシートと書類を診察待合室の受付に持っていくと、指名した医師が診察をします(一般外来と特需外来により待つ時間が異なります)。医師がレントゲン、血液、エコーの検査や点滴などの投薬の必要性を認めた時は、受診者にその旨を記載した明細書を渡します。

 この明細書を持って「収費処」に行き明細書に記載されている処置の治療費を払います。これには点滴を含む薬代、検査代など医師が指示した項目の他に処置室の使用料が含まれます。(詳細は以下の表)。領収書をもらいこれを再び診察室の受付に持っていくと、必要な検査をしてくれます。また、点滴が必要な時はこの明細書を持って薬剤部に行き薬を受け取り、処置室に持参すると看護師が点滴をしてくれるのです。

 これをまとめると以下の受診の流れで、基本的流れは救急でも一般外来でも同じです。

 救急外来→○掛号処→診療受付→処置室
 →医師の診察・処方→○収費処→診療受付
 →薬剤部→診療受付→処置→退院 
 (*○印は支払い)

<補足>
注意点;点滴がなくなりそうな時、医師が来て指示をだすと再度支払いが生じ「収費処」に行くことになります。点滴がなくなりそうになったら当人もしくは付き添いの人は看護師にその旨伝えないと点滴の薬剤が補充できません。看護師が定期的に来てチェックしてくれると思うと大間違いです。この点についての不満をよく耳にします。

<私からのアドバイス>
地方出張の時、もしくは単独で行動している時は、万が一救急外来を受診する時のことを考えておいて下さい。財布にはキャッシュで3000元は用意しておくことを私は勧めています。

<問題提起>
 日本の後払いの制度に慣れた人にとって中国の制度はとにかく煩雑です。お金を払わないと診察しないこの制度に、私はなんて血も涙もない制度だと当初感じていました。しかし、日本のように公的病院で6000億円も不払い・未払いがあると聞かされると、このシステムは決して取りっぱぐれがない制度であり、病院サイドにとって一理あるのではないかと考えるようになりました。


表1 細菌性食中毒によって救急を受診した時の治療費(目安)
項目1日目金額(元)
掛号費200
留管費300
治療費545
注射費 
手術費 
Ultrasound300
X-ray200
M R I 
輸血費 
輸気費 
常規検査120
化 検査346
西洋薬311.02
中国薬 
中草薬(herb) 
合計2322.02


注:留管費は救急にて処置を受けた際、看護に関わる人出や点滴等によるベッドの使用、といった日本でいう管理料や日本にはない空間使用料を合わせたものを意味します。
常規検査は血液一般検査(赤血球数、白血球数など)を意味します。肝炎ウイルス抗体など特殊検査に対してこの用語を使います。



○北京の裏道から~オリンピック狂想曲 ホテル事情 (1元=16円)

 オリンピックを来年に控え北京の町は大きく変貌しています。私が北京の動向を見るに、ホテル事情はここ5年間で劇的に変ったことの1つです。経済成長に牽引される形でホテルの新設が相次ぎました。傍目には乱立気味ともみえますが、今年に入っても近代的なホテルの建設が急ピッチで進んでいます。これだけ短い期間でホテルの数が急増すると、一般に宿泊料は下落するものですが、今の北京ではその兆しはありません。それどころか、高値安定といった状況が続いています。

 オリンピック期間中はその価格がピークになります。現在、3つ星のホテルなら400元程度で宿泊できますが、期間中は4000元前後に跳ね上がります。その差なんと10倍です。日本人にとっても名前の知れたホテルとなると、1万元(日本円に換算するとなんと16万円)を超えます。さらに、最低1週間の宿泊、予約に際し宿泊料の一部を支払う(キャンセルしても返金しない)などなど・・・・談合の賜物と言える異常さです。

 日本のマスコミは北京オリンピックのことを中国共産党が国家の威信をかけ「国威発揚」の場などと報じていますが、現場の中国人から見れば、オリンピックは資金稼ぎの千載一偶の機会,100年に一度のビジネスチャンスなのです。だから、巷で流行る言葉「今儲けないでいつ儲ける」が合言葉になるのです。

 こんな中でもオリンピックを見てみたいという人はいるもの、お金を払える人はいるものです。これを可能にしたのが、社会主義的市場経済、つまり原始資本主義なのです。40年以上の昔、日本で開催されたオリンピックの時にもこのようなことがまかり通っていたのか私にはわかりません。しかし、商習慣の違いの一言では片付けられない拝金教が今の北京には渦巻いているようです。、

<おまけ>
 このホテルの高騰に音を上げたのが一部の日本オリンピック関係者です。その結果が私のところにどうにか安いホテル(でもしっかりしている)を探して欲しい、という依頼です。こうして私も北京のいろいろな伝手をたどってホテルを紹介してもらい、その部屋代を値切るのも私の大きな仕事なのです。





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