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ニュースレター(機関紙)

続・話題の感染症11「食と感染症(海外渡航者を中心として)3 -食と寄生虫症-」
NL07090103
感染症

続・話題の感染症11「食と感染症(海外渡航者を中心として)3 -食と寄生虫症-」


海外邦人医療基金(顧問)
長崎大学熱帯医学研究所(客員教授)
日本医師会(感染症危機管理対策委員)
おおり医院 院長(神奈川県)
大利昌久

食と寄生虫症
第二次世界大戦直後、60%に及ぶ日本人が感染していた回虫、それは農作物の肥料に人糞を用いていたことが、原因だった。人糞に代わる化学肥料の登場と日本での保健所や学校を中心に、積極的におこなった寄生虫病に対する教育、検査、治療のおかげで、回虫症をはじめ、多くの寄生虫症が急減した。このように短期に成果をあげたのは、一種の快挙で、他の国でみたことがない。
しかし、すべて根絶された訳でなく、食生活や生活習慣の変化に伴い、輸入感染症も加わって、寄生虫の問題が表面化しつつあるのが、現状だ。
ここ数年、海外でかかる寄生虫感染率は、約2~3%で、国内在住者に比較すると決して低い値ではない。なかでもアフリカに滞在する日本人の感染率は、10%以上に達している。検出された寄生虫としては、異型吸虫類が最も多く、ランブル鞭毛虫、鞭虫、蛔虫、赤痢アメーバなども頻繁に検出される。又、クリプトスポリジウムや無鉤条虫、有鉤条虫も、海外で感染しやすい腸管寄生虫症である。

腸管寄生虫症の感染経路は、さまざまである。
ランブル鞭毛虫やクリプトスポリジウムは、汚染された水道水を飲用し感染することが多く、集団発生も見られる。蛔虫や鞭虫は主に生野菜などを介して感染する。さらに、近年、増加傾向にある異型吸虫類の感染源は、淡水産や汽水産の魚類と推測されている。日本人は海外でも魚を食べる機会が多いが、途上国では刺身や寿司などの生魚料理が感染源となる。寄生虫症の感染源を表11、表12に表した。
もう1つ重要な感染経路は、調理人の汚染された手指や屋台など衛生状態の不良な飲食店での食器を介する様式で、赤痢アメーバは、この経路から感染することが多い。
アメーバ赤痢は輸入例ばかりでなく、国内感染症も多いのが現状。1980年後半から欧米の異性同性愛者内で高率に発生。日本でもHIV感染者からの検出が増えている。
古くからある寄生虫症のことを古典的な寄生虫症と呼び、クリプトスポリジウムなどを、新しい寄生虫症(新興感染症)と呼ぶ。





古くからある寄生虫症
最近目にすることが多いのは、アニサキス症、日本海裂頭条虫症(サナダ虫)、ギョウ虫症、アメーバ症、ジアルジアなど、古くからある寄生虫症である。

1)回虫
終宿主 :ヒト
寄生部位 :終宿主の小腸
感染源 :幼虫包蔵卵の付着した野菜
症状 :少数寄生では腹部不快感程度。時として腹痛、口や肛門からの虫体排出
診断 :検便
治療 :駆虫薬(パモ酸ピランテル)が有効

図3:回虫症


2)アニサキス症
本虫はヒトに食べられると胃や腸の粘膜に、頭部を刺入し寄生するが人は本来の宿主ではないので、成虫に発育することなく死亡する。
アニサキス亜科幼虫は初回感染時特に強い腹痛をみることは少なく、二度目以降の感染で腹痛を感じると言われる。
感染源 :サバ、サクラマス、マタラ、カツオ、スルメイカ、アカマンボウなど

図4:摘出したアニサキス幼虫


図5:左…人の胃粘液  右…魚の内臓)


3)日本海裂頭条虫症
いわゆるサナダ虫。ダイエット虫として知られ、マリアカラスや日本の有名な学者が(「ひろみ」と名づけていた)飼っていたことでも知られている。

感染源 :サクラマス、ベニマス、カラフトマス、スモークサーモンにいる幼虫(プレロセルコイド)を経口摂取することによる。
症状 :排便時肛門から虫体が垂れ下がる
診断 :排出された虫体の同定、検便
治療 :駆虫薬(プラジカンテル)が有効

図6:日本海裂頭条虫虫体


4)蟯虫症
我が国で最も多い寄生虫症。感染経路は虫卵の経口摂取。近年プールの水に浮遊している虫卵を飲むことにより感染する事例が報告されている。

図7:蟯虫症


5)アメーバ赤痢
アメーバ赤痢は輸入例ばかりでなく、国内感染症も多いのが現状。
1970年後半から欧米の異性同性愛者内で高率に発生。日本でもHIV感染者からの検出が増えている。下痢症をおこす。

6)ジアルジア症
1980年当時、マラウイ、タンザニア(アフリカ)に派遣された青年海外協力隊員の32%にジアルジア感染症がみられ、かなりの高率だったのでびっくりしたことがある。ジアルジア症はランブル鞭毛虫(モンキーフェイス)に汚染された水、飲食物から感染する。アフリカでは、ごくありふれた寄生虫症。
ジアルジア感染症は無症状のことも多いが、胆のう炎や胆管炎を引き起こすこともある。原因不明のまま、長いこと寄生をうけていることが多い。人の糞を通じて、人から人へ感染することもある

新しい寄生虫症
エイズの発生によって現われた、新しい寄生虫症。それは、クリプトスポリジウムなどの日和見感染症である。その他、輸入食品からの感染で注目されたサイクロスポーラなど、今まで知られていた古くからある寄生虫症と区別し、これらを「新興寄生虫症」とよんでいる。
ホタルイカを生で食べた人の皮膚にミミズバレがおこり、激しい下痢、腹痛を起こす。ホタルイカの漁獲の多い富山、石川、福井県などに多く、2月から6月にかけて感染者が出る。1972年に発見された施尾線虫で、食生活の変化に伴って、あらわれた新しい寄生虫である。

1) クリプトスポリジウム症
感染経路 :患者・感染動物の糞便に排出されるオーシストの経口摂取
潜伏期間 :4,5日
伝藩可能期間 :平均1ヵ月、免疫不全患者では数年に及ぶ
症状 :水様下痢、腹痛、軽度の発熱、血便はみられない
免疫機能が正常であれば自然治癒
免疫不全患者では下痢は慢性化、腸管外にも感染が広がり、硬化性胆管炎、胆嚢炎、膵炎、呼吸器症状を呈し、死亡例も少なくない
1カ月以上続く下痢症の場合、本症をチェックした方が良い。

2) サイクロスポーラ症
クリプトスポリジウムと同じく人に激しい下痢、腹痛、食欲不振を引き起こす原虫で、クリプトスポリジウムより少し大型。(7~10ミクロ)
一般にサイクロスポーラは生野菜、生の魚が感染源で、その他、汚染された飲み物、牛乳、アイスクリームなどから感染する。

3)旋尾線虫
ホタルイカを生で食べた人の皮膚にミミズバレがおこり、激しい下痢、腹痛があり、腸閉塞もおこす。ホタルイカの漁獲の多い富山、石川、福井県などに多く、2月から6月にかけて感染者が出る。
終宿主 :不明
診断 :摘出虫体の病理組織学的同定
治療 :今のところ外科的摘出しかない。

図8:旋尾線虫組織標本


イカモノ食い・ゲテモノ食い

だいたいの料理は火を通せば、ほとんどの病原体は死滅する。日本人は「サシミ人」と言われるほど、生魚を好んで食べる民族である。アジ、サバなどによるアニサキス症は余りにも有名。健康食品指向にのって、海外でもサシミブームにわいているが、外国人にしてみれば、サシミはイカモノ食いの類である。淡水魚が白身魚のヒラメに化けるので、要注意。又、日本人には、想像すら出来ない、異様なサシミ、例えば、生きたデンデン虫、サメ肉などのサシミも登場し、スシを監視する「スシポリス」が必要だと言い出す人もいる。
精力剤、美容剤として、生きたままのドジョウの踊り食いをすすめる店が韓国・台湾・中国にはある。胃の中で、ドジョウが暴れるのを、活力が出たと喜ぶ人がいるからだ。日本でも、京都、大阪、奈良、広島など関西が中心だったが、最近では東京にも進出中。
1980年ごろから、問題になった、顎口虫症はドジョウの踊り食いが原因。その他、ナメクジ、マイマイ、ヘビなどを食べる人もあとを絶たない。高級な食材として出てくるサワガニ、これも危険。生のサワガニを食べたあと、呼吸困難に陥る人がいるが、それは、宮崎肺呼吸の寄生である。

生魚ばかりでなく、世界は広く、生肉を食べる民族もいる。ウシ、ブタ、トリなどの肉や内臓の生食いは極めて危険。E型肝炎、旋毛虫症、有鉤条虫症、無鉤条虫症、マンソン孤虫症などにかかり、だいたい発見が遅れる。

1)顎口虫症
精力剤、美容剤として、生きたままのドジョウの踊り食いをすすめる店がある。胃の中で、ドジョウが暴れるのを、活力が出たと喜ぶ人がいるからだ。京都、大阪、奈良、広島など関西が中心だったが、最近では東京にも進出中。1980年ごろから、問題になった。タイを中心に東南アジア・日本からも相当数報告されている。ナメクジ、マイマイ、ヘビなどを食べる人もあとを絶たない。

図9:顎口虫症の診断


2)その他
高級な食材として出てくるサワガニ、これも危険。生のサワガニを食べたあと、呼吸困難に陥る人がいるが、それは、宮崎肺呼吸の寄生である。
生魚ばかりでなく、世界は広く、生肉を食べる民族もいる。ウシ、ブタ、トリなどの肉や内臓の生食いは極めて危険。E型肝炎、旋毛虫症、有鉤条虫症、無鉤条虫症、マンソン孤虫症などにかかり、だいたい発見が遅れる。

図10:無鉤条虫


図11:マンソン孤虫症


腸管感染症の症状と重症度

下痢が代表的な症状である。下痢の重症度は、1日の排便回数で分類するのが実際的である。3回以内は軽症、4~9回は中等症、10回以上は重症とする。感染性の下痢には、発熱、脱水、悪心、嘔吐、腹痛などを伴う。
最終的な診断名は、血液検査と糞便検査により明らかになった病原体に応じて決定される。

症状と治療
 海外旅行中の下痢は、多くの場合、発熱しても38℃以下で、1~2日で治る。この場合はあまり心配はいらない。
しかし、「高熱が出る、3日以上下痢が続く、便の色が変わる」などの場合には、重症かどうかを見分ける必要がある。
旅行者下痢症の重症度を自覚症状で見分けるポイントを表13に示した。



下痢への対応
旅行先で下痢が起こったら、まず、安全な水を確保して、脱水予防のために水分補給をする必要がある。ポイントは、①脱水の予防、②原因の追求、③感染治療および拡大への対策である。  (表14参照)




治療のポイント 
下痢による脱水に注意し、スポーツ飲料などの水分摂取を進める。
強力な止痢薬は逆効果となりかねないので、食欲に合わせて消化の良い食物を少量でもとるように指導する。症状の遷延や悪化傾向がみられたら、医療機関に紹介が必要。

日本から持参したほうが望ましい旅行のグッズ
・小型湯沸し器(海外用)
・粉末のスポーツ飲料
・胃腸薬(消化薬、整腸薬、下痢止め)
・梅干、塩昆布
・小型湯沸し器は、旅行用品店などで市販されている。
・スポーツ飲料、梅干、塩昆布などは、下痢で脱水症状が起こったときの塩分補給に役立つ。

冶療、看護のポイント
重症の下痢患者は身体が不潔になりがちなので、清潔さを保つようにする。二次感染予防のためには手洗いの励行が基本である。水道栓やタオルの汚染にも注意する。

抗菌薬の適応
抗菌薬の適応は、重症者に限ることなく、以下のグループや、社会的・疫学的条件に用いることがある。

① 重症者に

②ハイリスクグループ
年齢(小児、高齢者)、基礎疾患(糖尿病、慢性肝疾患、腎不全、免疫不全)、胃疾患(低酸、無酸、胃切除)、腸疾患(炎症性腸疾患、腸管術後)、悪性腫瘍、アルコール中毒など、その他(臨月の妊婦)

③社会的・疫学的条件
・途上国からの帰国者(旅行者下痢症)食品取扱者二次感染を起こす可能性がある集団生活者(保育園、施設など)
・保菌により就業上の規約を受けるもの



ホント?ウソ?恐い話3話

ホント?の話(2005年)
飲食店から出る残飯、これが養豚家にとっては、格安の飼料だった。ところが、2002年、衛生局から「残飯を豚に与えてはならない」という通達がでたという。なぜか?
実は、残飯のもとは、人の食事。いろいろな野菜、肉などに農業、抗生物質を与えているため、豚にその毒素が蓄積するので、人に有害になるという学説が、通達の理由。じゃあ、今までその豚を食べていた人は、一体どうなるの?。「豚(トン)でもない話」である。
中国には出回っているヨーグルト。日本式と違い、飲むヨーグルトになっている。これは、ウシに与える抗生剤が強いため、培地としての牛乳に、乳酸菌が生えないからだという説。これホント?ウソ?。

食中毒の犯人(2005年)
2002年9月14日、豆乳店「和盛園」で販売されている「油条」や「焼餅」を食べた中高生ら400人以上が食中毒にかかり、なんと36人死亡(江蘇省南京市)。本当は、100人以上が死亡したといわれる。これは、前に務めていた職人が、解雇されたのを恨み、殺鼠剤を混入したものだという。そして、この犯人は、逃亡中の列車の中で逮捕。めでたし、めでたし?
ところが、この中毒発生に伴い、250人もの医師が動員されたのだという。こんなものものしい動員はかつてない事件(?)なにかを隠ぺいするために、犯人はしたてられたという説もある。皆様、これホント?ウソ?
日中友好30周年記念式典には、日本から12,000人が訪中。その中で、昼の弁当を食べた人が食中毒をおこした。その数、約100人におよんだという。中国当局も驚いたようだが、北京の有名な日本料理店から配食された弁当によることが判明し、一件落着(?)とはいえ、日本料理店の面目はまるつぶれ。何故、中国に来てまで日本食にこだわるのか、「日本人って、変な外人・・・」といったかどうか(?)

白身のサシミは、なんと淡水魚(川魚か湖魚)
白身のサシミを好んで食べる日本人が危ない。産地不詳の白身サシミは特に危険です。淡水魚には寄生虫が多く、エジプト在留邦人に「異型吸虫」が見られるのは、恐らくこの淡水サシミが原因と思われる。
アフリカ大陸には広大な湖が多い、この湖の主人は1mを越えるナイルパルチという巨大な魚。これが湖畔の魚加工工場で骨無しの白身魚に変身する。この珍魚は蛋白質が豊富だが、貧しいアフリカ人の口に入れることはなく、海外に輸出されている。その輸出先の90%はなんと、西洋と日本。そうなると、海外だけでなく、国内でも白身サシミに注意する必要がある。冷凍で死なない点が問題。


おわりに
食と寄生虫の問題は昔から続いている。
レアのステーキを食べた数カ月後、肛門から虫がたれる。引っ張ると腸の方に戻ろうとする。あわてて強く引っ張ると切れる。切れたから、虫は死んだと思ったら虫体の頭部は、腸管にくらいついているので、又、成長しあらわれる。これがサナダ虫(条虫)と言う怪虫である。
この怪虫は、体重が少しずつ減る、貧血などの軽い症状があらわれる程度で、まだかわいい方。
このため、大女優、マリア・カラスは、この怪虫を痩せ薬の代わりに飼ったものだ。
最近多いアニサキス症。サシミから感染する。
食べる前に少しサシミをすかして見ること。そして、良く噛むことだ。
アニサキスの条虫も噛めば死ぬ。
本当に恐い寄生虫。
それは、吸虫類、原虫類などの寄生虫である。呼吸困難があらわれたり、黄疸が出たりする。
最近になって、新しい寄生虫もあらわれた。
寄生虫に関しては、すべてよく焼くこと、よく煮ることが予防の鉄則である。