• ホーム
  • 基金について
  • 海外医療情報
  • お勧めリンク集
  • よくある質問

ホーム > 海外医療情報 > ニュースレター(機関紙)

ニュースレター(機関紙)

-躍進するインドで- 4.入院先で見た階級社会
NL07050105
海外赴任、インド



-躍進するインドで- 4.入院先で見た階級社会


【転勤妻】運営主宰者  大向貴子

運ばれたアポロ病院でMRIやCT,レントゲンの検査結果、そのまま緊急入院。
事前に聞いていた通り、病院内の医療設備は全て最新の外国製品。
検査室や設備という点では、確かに日本と遜色はなかった。
その環境でも外国での医療は、言葉の点で大きな不安を抱える。
インドでは日本人医師はおらず、日本語が話せる医師も数少ない。
矢継ぎ早に質問されるインド英語を理解することがやっとで、症状を正確に伝えることなどとてもできない。
このときほど事前準備として既往症の診断書をはじめ、医療英語のテキストなどを用意しておかなかったことを悔やんだことはない。


緊急医療も完備


「自分を守るのは自分」というあたりまえのことを、いつの間にか忘れていた結果だったのかもしれない。
激痛のつらさもさることながら、自分がこのインドでどうなってしまうのかという恐怖心は言葉では表現できないほどだった。
検査結果は赴任前の忙しさによる疲れと、以前からの既往症による発病だった。

一週間に及んだ入院生活で、インドの階級社会を目の当たりにした。
日本のように看護師が食事の配膳や着替え、その他一切を任されているということはインドではありえない。
見事なまでに、仕事の区分けが徹底している。
着替えを持ってくるよう頼んでも、「伝えておく」といったままその看護師は立ち去る。
しばらくすると違う人が、着替えを持ってきてくれる。
伝言がうまく伝わっていない場合は、いつまでたっても着替えは届かない。
食べ終わった食事のトレイも、看護師が下げることはない。
それは違う人の仕事であって、自分の仕事ではないという。
この国では、掃除をする人は掃除のみ、配膳をする人は配膳のみが仕事である。
いろいろな人が頻繁に病室を出入りする状況には、最後まで慣れることはなかった。

カースト制度は憲法上廃止されているが、インド社会ではまだまだ根強く職業制度にも残っている。
この国では、看護師という職業は人気のある仕事ではないという。
基本的に「人の世話をする」仕事は、階級が高い人が就く仕事ではないと考えられている。
ドクターたちの教育水準に比べると、看護師のレベルが追いついてないのが現状だ。
同じ分野における仕事なのに、このようなアンバランスな状態が存在することになる。
インドにおける、複雑な職業制度の根は深い。


できれば体験したくなかった、インドでの入院生活。
多大なる迷惑をかけたにも関わらず、多くのインド人が本当に親身になって助けてくれた。
不安に押しつぶされそうになる私を、絶えず励ましてくれた人たちの優しさは今でも忘れられない。
海外生活の最初が入院からというのは、悲惨なスタートだったかもしれない。
それでもインド人への感謝の気持ちを、初めに深く持てたことは大きな収穫だったと思っている。

インドの高度医療に助けられ、今私は元気にデリーで暮らしている。
海外では、健康に日々過ごすことに勝ることはない。
「自分を守るのは自分」と、改めて教えられた貴重な体験だった。

- 完 -



サイト【転勤妻】http://www.tentsuma.com
【灼熱印度】連載中 http://www.faminet.net/india/
「-転勤妻- 現在そしてこれから」、「-躍進するインドで-」JOMFニュースレターバックナンバー
http://www.jomf.or.jp/jyouhou/jigyou_iryou2/jigyou_iryou2_4.html#m2

編集部より:「躍進するインドで」は今回が最終回となります。ご愛読ありがとうございました。今後、また新たな企画で「転勤妻」からのメッセージをご紹介する機会を持ちたいと考えております。バックナンバーは上記索引コーナーでまとめて読むことができます。