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ニュースレター(機関紙)

海外健康相談レポート~2006年度シンガポール小児健康相談
NL07030104
健康相談、小児科

編集部より:当基金では毎年独自の専門科目海外健康相談を実施しております。2006年度はクアラルンプール、フランクフルト、マニラ、バンコク、シンガポール、ジャカルタ(実施順、ジャカルタは3月上旬に実施予定)の6都市で医師、歯科医師、保健師等による相談を開催いたしました。
シンガポールにおいては、4回目の小児対象の健康相談が実施されました。既に当ニュースレターNo.156(1月発信)にて、シンガポール日本人会クリニック小川原医師の報告(「海外メンタルヘルスの現場から(49)」)が掲載されていますが、今回は相談を担当された吉野医師による報告を掲載致します。




海外健康相談レポート~2006年度シンガポール小児健康相談


西多摩療育支援センター
吉野 邦夫

1.期日:2007年1月18~20日

2.場所:
シンガポール日本人会診療所、
日本人学校[小学部(チャンギ校)、中学部]

3.目的:在留邦人家族の発達障害児の子育てや療育支援の相談
発達障害の種別は指定しなかったが、結果的に広汎性発達障害がほとんどを占めた。

4.具体的な相談の形態:

①相談懇話会;集団懇話会形式で相談に答える
約25名の保護者との懇談会形式で、自閉症児の偏食やしつけ、問題行動などの主だった質問に答えつつ、広汎性発達障害の基本的理解と援助を概説した。

②個別相談;個人の質問表を元に、個人の診察と相談に答える。
3日間で延べ17名の個別相談を受けつけた。染色体異常症が2名、他は広汎性発達障害で、年齢は幼児期から思春期までを含んだ。

③学校訪問;小、中学校を訪問して対象児の授業を観察し、教員の質問や相談に回答。
小学部は6名、中学部は8名の相談を受けた。

5.相談概容:
結果として相談の大半が広汎性発達障害に関するもので、自閉症および類縁の障害の問題の多様性と深刻さ、子育てや援助の困難さが浮き彫りになった。
相談内容は、偏食や学習の困難さ、コミュニケーションの弱さ、兄弟ゲンカ、不登校や不適応、うつ状態など、多岐にわたり、またシンガポールでの診療・相談の機会や場の少なさに不安を訴える家族も多かった。
また、日本の全般的な誤解や欠落として、発達障害の診断→即、訓練へ、という病院訓練に過度に依存する誤解があり、よけいに不安を増幅していると考えられた。
なによりも基本的な理解や、家庭や学校という生活の場でどういう構えや援助をするか、という整理が第一に肝要だと思われた。

6.提言(結語に代えて)
発達障害児は、通常学級で6.3%(文科省)の高い頻度で、支援の需要は高い。
単純に障害=要訓練、という従来の医療援助的発想ではなく、障害理解から生活活動の場での子育て-支援、幼稚園や学校と連携しながらのスキル学習、人格教育といった各段階での調整や助言、家族トレーニングが行える仕組み(システム)を準備することが必要であろう。とくにシンガポールは東南アジアに於ける拠点として重要かもしれない。
今後日本の障害者団体や専門家組織と連絡連携することや、家族のメンタル・ヘルスも問題としてより深く支援を図ることも望ましい。広汎性発達障害はしばしば家族の不安や不仲を惹起して、大きなトラブルになったり家庭崩壊につながることも稀ではなく、それほど頻繁で複雑、多様かつ深刻な課題である。
以上、報告します。