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ニュースレター(機関紙)

子育てのこころ(8) 言葉の発達・その2
NL07030103
小児科

子育てのこころ(8) 言葉の発達・その2

国立成育医療センター こころの診療部 発達心理科
広瀬 宏之

 子育てにお父さんがどう関わるかは古くて新しいテーマです。最近は社会の変化とともに地域でのサポートが少なくなっているため、子育て中のお母さんは孤立しがちです。発達の遅れや病気がある場合は尚更かもしれません。そんな中でお父さんの役割は二つあります。
 一つは子育てに直接関わることです。子育て世代のお父さんは、仕事などで帰宅が遅いかもしれません。疲れて帰ってきて子どもの世話なんて勘弁、と愚痴の一つも言いたくもなります。でも、お父さんの出来る範囲でいいのです。ほんの少しでも育児の分担をしてあげる、或は、その気持ちだけでもお母さんはすごく楽になります。
 もう一つは、実際の子育てを手伝うだけではなく、お母さんが子育てしやすいように支えることです。例えば、週に一回でも月に一回でも、お父さんが子どもの面倒を見てあげて、その間にお母さんを子育てから解放してあげてはどうでしょうか。買い物、お友達とのおしゃべり、カラオケなどなんでもいいのです。数時間だけでも解放された自分の時間をもつ、それにより子育てのエネルギーがまた出てくると思います。一方、そんな時はお父さんにとって子どもと関わり、観察する絶好のチャンスでもあります。思う存分遊んでみて、父子で楽しい時間を過ごしてください。
 さて、今回は前回に引き続き3歳以降の言葉の発達を概観し、言葉の遅れについてお話します。

●3歳ー4歳
 3歳を過ぎると自己主張が強くなり、自分を表現するのに、「ぼく」「わたし」のような代名詞を使うようになります。文も修飾語がついたり、理由の内容をつなげたりして長くなります。遊びの内容が複雑になるにつれ、言葉も順序立った長い話が出きるようになってきます。使える単語の数も1500語前後となり、キャ行 、ギャ行、シャ行、ヒを除いたハ行音も正しく発音できるようになります。

●4歳ー5歳
 5歳に近づく頃には、子どもの会話はほぼ100%通じるようになり、話し言葉の面でも一人前になってきます。助詞や接続詞などの使い方にも慣れ、曜日や順序の数も使われるようになります。使うことのできる単語は2000語位で、日常生活で主として使われる単語の大部分を習得します。構音は、サ行、ザ行、ラ行、ツ、ヒ、ヒャ、ヒョの音も出来てきて、6歳までには日本語の発音がほとんど完成します。

●言葉が遅れていると言われたら
 明らかに言葉が遅れているのなら、まず医学的な鑑別診断が必要です。これはもちろん医者の仕事ですが、耳の聞こえはどうか、発音に必要な口の筋肉は上手に使えているか、知的な発達や社会性の発達(いずれも言葉の発達と密接に関係します)はどうか等のチェックが必要です。必要に応じて小児科医の診察を受けましょう。
 ここで決まり文句のように言われる、評判の悪い台詞が「様子を見ましょう」です。これには二つの意味があります。一つは「現時点では少し遅れていますが、今後追いついてくるかもしれないので待っていましょう」という意味です。もう一つは「現時点では大丈夫かどうかの判断ができないので、時間とともに経過を追って見ていきましょう」という意味です。後者は指摘された年齢にもよりますが、医者としてその時点ではなかなか判断しにくいケースです。この場合、実際に時間の経過とともに診て(見て)判断していくしかありません。

●言葉の発達のためにできること
 では言葉に遅れがある、もしくはその可能性があるといわれた場合はどうしたらいいでしょうか。
 まず、言葉はコミュニケーションの道具です。言葉の発達には、周囲の大人と言葉を使わないコミュニケーションが成立していることが大前提です。目を合わせたり指さしをしたりすることは出来ていますか。子どもと気持ちが通じ合うような遊びや楽しい体験は出来ていますか。子どもからの要求にちゃんと応えてあげていますか。
 言葉はシンボルでもあります。世の中の具体的な事物を、抽象的な言語で表現する抽象化能力と記憶力が言葉の発達には不可欠です。記憶力を強化し、目に見えないものの普遍性を教える方法の一つに“いないいないばあ”があります。お気に入りのおもちゃを使って“いないいないばあ”遊びをして下さい。赤ちゃんは徐々に“いないいないばあ”でその場から無くなったものをイメージできるようになります。これが記憶の第一歩となります。“いないいないばあ”をした後は必ず隠したものの名前を言ってあげましょう。言葉と品物のマッチングにもなります。
 言葉は体験に裏打ちされたものでもあります。大切なことは、むやみやたらと言葉の洪水を浴びせないことです。知らない外国に行き、外国人から意味のわからない言葉だけを浴びせられても言葉は上達しません。例えば、美味しいものを食べる体験があって始めて「美味しい」という単語が身につくのです。シンボルとしての言葉だけにとらわれず、子ども同士の関わりや、大人との遊びを通じて様々な体験を積むことも、言葉の発達には欠かせないことです。


:編集部より:
「子育てのこころ」は昨年8月より1年の予定で連載を開始しました。広瀬先生は、当基金の会員用相談サービスである小児掲示板相談と電話相談を長年にわたって担当していただいています。
先生からは読後の感想、意見、質問などをお受けしたいとのご希望です。どうぞwebmaster@jomf.or.jp 宛にメールでお送りください。
●「子育てのこころ」索引コーナー
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●「小児医療の現場から」索引コーナー(小児相談担当医によるリレーエッセイ)
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