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ニュースレター(機関紙)

子育てのこころ(7) 言葉の発達・その1
NL07020103
小児科

子育てのこころ(7) 言葉の発達・その1

国立成育医療センター こころの診療部 発達心理科
広瀬 宏之

 中学2年生の知的な遅れを伴った自閉症のお母さんから伺ったことが、強く印象に残っています。「この子は遅れもあるし自閉もあるし毎日がすごく大変。でも障害があるからといって、特別な子育てはしたくないんですよ。親なんて、どうせ先に死んじゃうんだからね。残された子どもが困らないように、障害があるからこそ、身の回りのことはきちんとさせたいし、ちょっと厳しいかもしれないけど自分で生きて行けるように自立させてやりたいんですよ」大変なご苦労をされ育てられてきたお母さんですが、それを微塵も感じさせず穏やかな笑顔でお話になるその姿勢には、本当に頭の下がる思いでした。
 この連載を始めるにあたって小生がまず考えたのは、環境の違い、病気や障害の有無など、個々の事情に関わらず、どの子育てにも共通する、大切な考え方をお伝えしたいということでした。このお母さんも仰っていたように、立場の違いはあっても、子育てのこころは変わりないと考えています。
 さて、今回と次回は言葉の発達です。


●生後1ー4週:音声の時期
 赤ちゃんはおなかが空いた、暑い、おむつが汚れた、痛いなどの不快な状態になると、反射的に泣いて気持ちを表します。気分が良い時は「アーアー」といった快い声を出したりもします。この時期は、いずれにしても意味がはっきりしない発声が盛んに行われます。                                           
 生後3週頃になると少し変化してきます。おなかが空いている時と、おしっこの時とで泣き方が違ってきます。注意深いお母さんは、それらの違いを区別できるようになります。子どもが要求を出し、それに周りが応える、ということが繰り返し行われ、世話をする人と赤ちゃんの間でやりとりの基盤ができてきます。

●2ー6ヶ月:クーイングから喃語へ
 赤ちゃんは泣き声以外に「クー」とか「ウー」といった声(クーイング)を出し、自らそれを聞いて楽しむようになります。泣かない時でも色々な音声を出すようになります。プとかブのように唇を使う音も出せるようになります。こういうバブバブや自分の声を遊び道具とすることは、音を作り出す口の周辺の筋肉の動きにとって大切な練習になっていきます。周りの大人も同じような音を出して真似をしてあげると、やりとりがより豊かになります。

●6ー10ヶ月:真似をする
 赤ちゃんは周囲の人の発している音を真似て繰り返すようになります。お手本の音と似た音を出す発声活動、つまり聞いて発声するという二つの活動を結びつける能力が身についてくるのです。こうして目的に合わせた異なった音声を、自ら意図して使うことができるようになっていきます。
 10ヶ月頃には音声の真似だけではなく、言葉を真似しようとするようになります。音がでたらめだったりしてちゃんとした言葉にはなっていませんが、それらしく聞こえる時もあります。また、食べ物を「ウマウマ」と言ったりするように、音声と本当の意味は結びついていません。まだ真似をすることが主な興味の対象です。一方、この時期にはハイハイして動けるようになり、行動範囲が広がるので、経験や関心が増えていきます。その中で模倣の楽しさを知り、周囲の言葉を耳と目を使って吸収して、赤ちゃんの中に言葉のひな形を蓄える時期です。「ママ」「パパ」「イヤ」「バイバイ」など簡単な単語の理解を示すようにもなります。

●1歳ー2歳:単語から二語文へ
 1歳を過ぎた頃から「ママ」「パパ」といった言葉らしいものをしゃべり始めます。周りの言葉を真似て繰り返すだけではなく、意味と結びつけられるようになります。言葉が遊びの道具ではなくて自分の要求を他人に伝える手段だということを理解しはじめます。
 2歳近くになると、お腹が空くと「マンマ、マンマ」と要求し、「お父さんは」 と尋ねると「パパ、アッチ」と2語文で話せるようになります。口の動きで言葉の要素となる音を作る構音の面では、舌先の動きを伴う、ダ行、タ行、ナ行、チャ行などの音が使えるようになり、使用できる単語の数も約200から250語と急速に増えます。

●2歳ー3歳:「どうして」の時期
 この時期は、好奇心が旺盛になり色々なことを知りたがる時期です。「なに」とか「どうして」という疑問詞を多く発します。まだ2語文がほとんどですが、名詞や動詞の他にも、代名詞や形容詞や副詞などが使用されるようになります。また、昨日、明日、前、後などの、やや抽象的な概念の混ざった単語も徐々に理解し使えるようになります。発音できる音は、ヤ行、カ行、ガ行、パ行、サ行、ワ行などで、使用できる単語は1000語程度に増えます。シャ行 、サ行、ザ行、ラ行はまだ使えず、赤ちゃんことばや幼児音が多いのですが、言葉での意思伝達能力は随分上達します。
 また、この頃から子どもたちはお母さんから離れて外へ出て、ほかの子どもと遊ぶようになります。子ども同士の社会で新しい言葉を聴いたり使ったりしながら、言葉を学習していきます。友達と遊べるようになるという社会性の発達と、言葉の発達とは深い関係があるのです。


:編集部より:
「子育てのこころ」は昨年8月より1年の予定で連載を開始しました。広瀬先生は、当基金の会員用相談サービスである小児掲示板相談と電話相談を長年にわたって担当していただいています。
先生からは読後の感想、意見、質問などをお受けしたいとのご希望です。どうぞwebmaster@jomf.or.jp 宛にメールでお送りください。
●「子育てのこころ」索引コーナー
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