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ニュースレター(機関紙)

海外健康相談レポート~マニラ乳幼児・学童健康相談
NL06070103
小児科、健康相談、発達

編集部より:当基金では毎年海外医療相談を実施しております。2005年度はシンガポール、バンコク、クアラルンプール、マニラ、ジャカルタ(実施順)の5都市で医師、歯科医師、保健師による相談を開催いたしました。
マニラにおいては、小児科、皮膚科、育児の相談が行われました。育児(4月掲載)と皮膚科(6月掲載)の報告は当ニュースレターで紹介しており、今回は小児相談(主に発達相談)を行った南里清一郎先生(慶應義塾大学教授)の報告をご紹介します。南里先生はこれまでにも当基金が行ったバンコクとジャカルタでの健康相談を担当、その他にも海外各地で健康相談を行い、豊富な相談経験をお持ちです。




海外健康相談レポート~マニラ乳幼児・学童健康相談

慶應義塾大学保健管理センター教授
南里清一郎


[実施期間]
2005年11月24日(木)~26日(土)

[場所]
マニラ日本人会診療所

[受診者]
総数 :72名 男児33名 女児39名 年齢1カ月~10歳7カ月

[実施方法]
●相談者の相談内容
事前に相談内容を現地の担当者から連絡を受けていたが、実際には、受診時に問診票に記載してもらった。一部相談内容の追加などがあった。
●1人当たり相談時間
ほとんどが15分であったが、20分、30分の方が数名いた。
●同伴者
主に母親、土曜日は両親の同伴あり、母親フィリピン人の場合父親同伴

[健康相談を実施して]

今回、小児発達相談ということで実施したが、発達に関する相談は11件で約15%であった。健康診断(発達確認)16件を除くと約20%であり、私が担当した2003年バンコクの約50%より少なく、2004年ジャカルタの約20%とほぼ同等であった。

今回、私の相談と並行して皮膚科医による皮膚科相談、保健師による育児相談を行った。既にニュースレターにて育児相談と皮膚科相談については報告が掲載されているので、この健康相談報告と併せて参考になれば幸甚である。

皮膚科医による相談があったので、皮膚科的相談は他地区に比べ少なく、並行して相談を行う意義は大いにあった。
保健師(保健医療学部教授)による育児相談に関しては、小児発達相談と育児相談の差が相談者に理解できているかどうかというところに問題点がある。事前に連絡を受けた小児発達相談の相談内容から、これは育児相談の方がいいのではと現地へ連絡したが、まず、医師に相談したいという返事であった。実際には育児に関する相談が10件あり、並行して行う場合、どのような連携をとるか検討すればより効果的に行えるだろう。

バンコクの医療レベルはかなり高く、日本人がかかりやすい医療環境は整っており、外来診療・予防接種・一次救急的なことに関しては、特に問題なかった。ジャカルタでは、この様な点に問題があり、発達相談以前の問題があるように感じたが、私の知る限りでは2人の日本留学経験があり、日本語のできるインドネシア人小児科医がおり、日本語による小児科診療が行われていた。

1人当りの国民総所得(2002年)はフィリピン1,030米ドル、インドネシア710米ドルであり、その点からは、マニラの医療レベルの方が高いと考えられるが、今回、日本人のかかっている医療機関の調査を行っていないので、何とも言えないが、マニラでは日本語のできる小児科医受診のチャンスが少ないように感じた。

相談室には、相談者の了解を得てマニラ日本人診療所医師宮本悦子先生が一部同席した。宮本先生には、マニラで出来る治療・検査に関するアドバイスをいただき、今回、事前に医療機関を見学していなかった点などをカバーしていただいた。今回、1人当りの相談時間がバンコク・ジャカルタの30分に比べ15分と短かかったので、事前に母子手帳にある身体発育曲線(ない場合、コピーを渡す)を作成し、遠城寺式・乳幼児分析発達検査表の記入を徹底するように現地にお願いした。

このような事前の準備と、相談内容により1人当りの相談時間が短かった割には、終了時間の遅れは少なかった。しかしながら、午前・午後に各1回の調整時間15分程度を間に入れる必要性を感じた。

事前にターナー症候群の相談があることがわかり、相談時間を30分に設定してもらった。当地のサント・トーマス大学で遺伝子診断が行われ成長ホルモン療法が行われていた。日本では公費負担により治療費の負担はないが、実際には年に数百万円かかる。フィリピンでは自費診療で10分の1程度とのことであり、保護者がフィリピンベースの生活をしており英語に問題ないので、現在の治療を続け、ある時点から女性ホルモン療法の必要性を話した。

言語発達に関しては、バンコク、ジャカルタと同様に多言語環境にあり、両親は日本語(一部国際結婚は除く)、幼稚園は英語、お手伝さんはタガログ語・英語であり、言葉の理解は出来るが発語が遅いといったケースが多く、精神運動発達遅延に伴うようなケースは少なかった。

今回で3カ所小児発達健診的な健康相談を行ったがバンコクがこれに一番該当した。
ジャカルタは、日本語で相談できるインドネシア人小児科医師がいるので、セカンドオピニオンや小児科以外の相談が多く発達に関する重大な相談は少なく、言語発達に関するものが中心であった。
マニラは、一般的に言えば、ジャカルタより医療レベルは高いと考えられるが、英語がよく通ずるので、日本語による小児科診療・相談のチャンスが少なく小児科的な相談が多かったように感じた。また、発達に関しては、ジャカルタ同様重大なものはなく、言語発達に関するものが中心であった。

今後、マニラでの相談を続けるのであれば、1人当りの相談時間は20分~30分とし、2日半で40~50件程度であれば、より充実したものとなると考えられる。今回の72件のうち、健康診断的な相談16件と育児相談10件を除くと46件であり、これくらいならもっと時間をかけた相談ができただろう。
また、時間的な問題もあるが、出来れば日本人がよくかかる医療機関を事前に見学したいものである。地元の医療機関についての予備知識があればより具体的なアドバイスができたケースもあったかと思われる。今後スケジュールを組む際にはこの点にも配慮をいただけると非常にありがたい。




表1 問診票記載の相談者の主訴および診断名(延べ件数96件)
健康診断的な相談(発達確認)16よく熱が出る
体格(肥満、やせ、低身長など)顔面神経麻痺1
言語発達7ターナー症候群1
栄養・食事(偏食、少食、サプリメントなど)6アレルギー1
母乳5眼球結膜の色素沈着1
おしゃぶり・指しゃぶり5眼脂1
咳が長びく4斜視1
発達障害3骨折1
便秘3外反足1
予防接種3歩き方1
歯列3成長痛1
包茎31
育児3舌小帯1
湿疹2頭の形1
股関節のチェック2特発性血小板減少性紫斑病1
けいれん・てんかん2テレビ視聴1
夜尿1腹部の色素沈着1
吃音1乳首に白い塊1



表2 相談者の主たる相談内容と分野 (72件)
健康診断的な相談(発達確認)16
育児 10
体格9
言語発達9
小児科7
整形外科7
眼科4
歯科3
栄養・食事2
泌尿器科2
皮膚科1
精神運動発達1
ターナー症候群1