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ニュースレター(機関紙)

海外健康相談レポート~2004年度および2005年度におけるマニラ皮膚科相談の比較について
NL06060103
健康相談、皮膚科

編集部より:当基金では毎年海外医療相談を実施しております。2005年度はシンガポール、バンコク、クアラルンプール、マニラ、ジャカルタ(実施順)の5都市で医師、歯科医師、保健師による相談を開催いたしました。
マニラにおいては、小児科、皮膚科、育児の相談が行われました。今回は4月に掲載した育児相談報告に続き、皮膚科相談を実施した岸川智子先生(宇治武田病院皮膚科医長)のレポートをご紹介します。




2004年度および2005年度におけるマニラ皮膚科相談の比較について


宇治武田病院皮膚科医長 
岸川智子


マニラ健康相談において、2004年度より小児科に加えて皮膚科を併設して、2年目となりました。
まず、2005年度の報告から記載します。

2005年11月24日より3日間、マニラ皮膚科相談を行いました。
第1日目の11月24日は、相談者数29人・相談件数44件、第2日目の11月25日は、相談者数37人・相談件数60件、そして第3日目の11月26日は、相談者数35人・相談件数55件でした。合計101人の相談者より159件の相談を受けました。年齢は0歳から57歳まで、性別は、男性31人、女性70人でした。

相談対象となった皮膚疾患について、1位は、「湿疹」の64件で、全体の40.3%を占めました。その内容は、急性湿疹および慢性湿疹が27件、アトピー性皮膚炎(加療中もしくは疑いを含む)が18件、汗疹および汗疱が8件、接触皮膚炎5件、虫刺症3件、日光皮膚炎および光線過敏症2件、痒疹1件でした。

2位は、ウイルス性疾患が12件(7.5%)で、内容は伝染性軟属腫6件・尋常性疣贅6件でした。3位に付属器疾患10件で、内容は尋常性瘡8件・瘢痕性脱毛症1件・酒1件、同じく3位に白癬症10件、5位は母斑症9件、6位は蕁麻疹7件、7位は良性腫瘍についての相談を6件、8位に外傷5件、9位に浅在性細菌感染症3件で、その内容は毛包炎2件、および爪囲炎1件でした。

定期的な管理指導を指定されている疾患については、アトピー性皮膚炎18件、蕁麻疹7件、尋常性乾癬2件、シェーグレン症候群1件、痒疹1件についての相談を受けました。

上記疾患への評価について、要治療、要精査、経過観察、問題なし、の4段階で表すと、要治療は117人、要治療および要精査が2人、要精査が6人、経過観察が21人、問題なしが13人でした。(尚、「問題なし」については、現在は治癒しているものの、今後再燃させないためのスキンケアや生活指導の相談や、あるいは良性腫瘍にて放置してよいか否かの相談などですので、いずれも皮膚科相談の対象として意義があるものでした。)

一方で、2004年度マニラ皮膚科相談においては、2004年11月20日より3日間、行いました。第1日目の11月20日は22人、第2日目の11月21日は25人、第3日目の11月22日は37人で、相談者の合計は84人、相談件数は125件でした。

0歳から16歳までの未成年者における相談件数60件中のうち、最も多かったのは、「湿疹」であり、38件(63.3%)を占めました。その中でもアトピー性皮膚炎(加療中、もしくは疑いを含む)が21件(35.0%)でした。次に「母斑」が6件(10.0%)でした。その他は、尋常性瘡3件、尋常性疣贅2件、日光皮膚炎2件などでした。31歳から69歳までの成人における相談件数65件中の内容については、「湿疹」が18件(27.7%)、「白癬症」が15件(23.1%)、その他、爪下出血5件、尋常性瘡3件、尋常性疣贅3件、進行性指掌角皮症3件、および鶏眼2件、乾癬2件、毛包炎2件、粉瘤2件の順でした。

特に、厳重に定期的な外来診療が望まれる疾患としては、関節症性乾癬(疑い)1件、紅斑性狼瘡1件がありました。
現在は軽快もしくは治癒していて皮疹がほとんどないものの、再燃しないためのスキンケア相談が7件(5.6%)でした。
ご自身におかれては病織がなくて、他の相談の際に指摘した症例には、トリコチロマニア1件、感染性粉瘤1件などがありました。
上記疾患への評価について、要治療は72人、経過観察が11人、問題なしが1人でした。

2年間を通して比較すると、相談の対象となった皮膚疾患の傾向として、明らかな差異は認められませんでした。

日本から持参してこられた外用剤が現在の皮膚症状に適切かという相談は多くありました。現地で通院中の方からは、治療内容についての相談も少なからずありました。疑問点について回答して、加えて、その病気の性質、今後受けるべき検査、経過、予後、日常生活における注意点、スキンケアなどについて、説明に努めました。

2年間を通して皮膚科相談を受けて頂いた方がたには、去年ご説明したことを忠実に守られて、自己管理をしっかりとされている方が多くいらっしゃいました。再会できたことを嬉しく思うと共に、頭が下がる思いがしました。

健康相談の立場から検査などを行えなくとも、皮膚疾患は視診が診断へ比較的に結びつきやすいため、皮膚科相談は日本での通常の皮膚科外来診療にかなり近いものとなれたのではと思います。

ご相談者は、どなたもご自身やご家族の健康について、熱心に管理されているという印象を受けました。マニラ皮膚科相談が、少しでもお役に立てるようにと、願うばかりです。