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ニュースレター(機関紙)

海外メンタルヘルスの現場から(31)「 海外赴任者のストレス~海外での子育て 」
NL05060103
メンタルヘルス、海外赴任、ストレス

海外赴任者のストレス~海外での子育て

シンガポール日本人会診療所
小川原 純子

2005年5月に、ここシンガポールにて子ども相談が開催されました。今回は東京小児療育病院療育部長広野医師にわざわざ休日を利用して来星していただきました。
講演会・その後の個別質疑応答も大盛況で、広野先生には大変な長時間労働になってしまいましたが、本当に有意義な相談会を実施することが出来ました。
そして、7月には息子がお世話になっている関係から、日本人小学校で「シンガポールでの子育て」についての講演を依頼されています。当地に赴任されているご両親様の子育て・教育への関心の高さがこういった動きに反映されているのでしょう。
逆に言えば、当地での子育ての難しさも反映しているのかもしれません。

まずは、日本人社会の狭さ。地元や外国人居住者との隣人関係の薄さ。父親の頻繁な海外出張・長時間勤務・親戚関係の欠如といった、母子密着になりやすい社会環境。母親社会と子供社会の一体化。
母親自身がこの難しさを痛感していることが、講演会への関心の高さに現れているのではないのでしょうか。

自分自身が子育てをしていて感じることは、母親同士の立ち話の話題が非常に限られ、その多くが子育てや教育に集中しやすいこと。シンガポール内の社会事情や事件・シンガポール政治家・有名人の噂話などは余り聞こえてきません。とかく立ち話の対象は、日本国内の事件か卑近なシンガポールで生活する日本人の話題に限られやすい傾向にあります。
また、情報が自分の意思選択よりも先に耳に入ってきたりする状況は非常に特徴的です。

子ども達の事情が見えすぎるのは困りもの。子どもへの過干渉にはなりたくないが、さりとて、人から先に注意されてしまうような子どもであっては心配・・・。だから、先手先手で子どもに注意したくなる自分を抑えるのは、非常に難しいところです。

自分の子供が、名前をもじって、へんてこりんな呼び名で友達を呼んでいました。お友達は、ちょっといやそう。それをお母さん達が、遠巻きに聞いています。つい母親として、子供に「人の名前でからかったり、冷やかしては駄目なのよ。」と言いたくなってしまいます。
でも、待てよ?自分が小学生のころを考えたら、通学途中でこんな会話は当たり前で、お互いに言ったり言われたりしていたような。「へんてこりんな呼び名」を無視するか、悔しいから相手にもっと工夫したあだ名をつけるか・・・子供なりに考えて対抗しあったように思います。

母親社会と子供社会の密接な関係から、「大人っぽい良い子」を演出したくなりますが、実は、どこまで母子間で距離を取れるかがこの国での子育ての一つのポイントかもしれません。
最近は、母子が距離を取る目的で、習い事を利用するのも一つのやり方だな、と感じています。学習や技術の向上ではなく、母子が密接になりすぎないために・・・なんて、海外の子育ては大変ですね。