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ニュースレター(機関紙)

海外メンタルヘルスの現場から(28)「海外赴任者のストレス~海外単身赴任:擬似家族」
NL05030102
メンタルヘルス、海外赴任、ストレス

海外赴任者のストレス~海外単身赴任:擬似家族

シンガポール日本人会診療所
小川原 純子

子供たちの教育や親の介護などの問題あるいは伴侶の勤務などで海外単身赴任を選択する家族が徐々に増えてきているように感じる。時には、夫婦関係にいくつかの問題があり、夫の海外赴任に帯同することを拒む家族もある様である。
一方で、夫は海外赴任を終えて日本に帰国したが、家族は子供の教育のためにしばらくシンガポールに残るという選択をされる家族もある。逆単身赴任とでも言おうか。
もう一つの滞在パターンは、家族はシンガポールに在留し、夫が更にここから「海外赴任」をするパターンである。勤務地がそれほど安全ではなく、家族と在留するには危険であるときなどは、この手法がとられている。ご主人は、最も多くて週1回、少ないケースでは月1回のペースでシンガポールに戻ってきて、生活を共にするようである。
最後に、寮で一人暮らしをしながら高校・インターナショナルスクールに通う子供達も居る。家族と赴任し、学業の途中で父親の転勤が決定。家族は、引っ越したが学業のために自分はシンガポールに居残るケースや近隣諸国に家族は赴任しているが、より良い教育を求めてシンガポールの学校を選択するケースなど実にさまざまである。

こういったスタイルの海外長期滞在に自分が耐えられるか・・・と言われたら、即答は出来ない。「今は仕方がないですよ。もう慣れたから、大丈夫です。」と上手に適応されている方々には、本当に頭が下がる思いである。一方で、それなりの生活保障とこの生活スタイルを継続してゆくことの意味がはっきりしていることが、必須である。

どのパターンにおいても、共通しているのは、家族と離れ・親戚と離れ・本国と離れ、どのようにリフレッシュをするか?と言うことが問題になる。夫婦が離れ、大人同士の会話が極端に減少する分をどこで補うかは重要である。シンガポールの生活パターンには、「擬似家族」「擬似親戚」というものが存在することも多い。
実は、私も数人の「擬似親戚」を持っている。お互いが家庭の細かい事情まで伝え合い、必要なときはお互いが支えあうような関係である。体調が悪そうなら子供を預かったり、預けたり。週末の夕食時に、夫が留守の場合には、お互いが訪問しあい子供たちと一緒ににぎやかに食事をする。家が多少汚れていようが、たいした食事が用意できなかろうが割りと気にせずに行き来する関係である。
女性は、「井戸端会議。おしゃべり好き」と評されるように、こういったコミュニティーを持ったとしても、あまり違和感はないが、シンガポールでは、成人男性にもこういった生活スタイルが成り立っている。

単調で変則的な滞在パターンの多いシンガポールで生き抜くための一つの知恵であろう。ただし、この方法が誰にでも受け入れられるわけではない。深い人間関係や共依存しあう生き方を良しとしない人も少なくない。逆にストレスになってしまう人もいる。自分の生き方を貫きながら、他者と上手に係わりを持って生活し続けるバランス感覚はシンガポール生活を快適に過ごす必須事項かもしれない。