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ニュースレター(機関紙)

なるほど栄養学~夏バテ・熱中症にご用心~
NL04070105
食生活、栄養、熱中症、夏バテ

食生活アドバイザー
来栖文子

 厳しい真夏日が続いています。暑さでぐったりしたり、冷房の効き過ぎでふるえたり、寝苦しかったり、食欲がなかったり、…等々で体調を崩されている方も多いことでしょう。熱中症も懸念されます。

■夏バテ

 夏の蒸し暑さは体調を狂わせ、食欲不振をまねきます。食事は、そうめんや野菜サラダなどのあっさりしたものに偏りがちで、スタミナ源となる脂質や蛋白質が十分に補給されません。疲れやすくなり、胃や腸の消化能力も低下して、さらなる食欲不振という悪循環に陥ってしまいます。水分や冷たいものの摂り過ぎや冷房のしすぎも消化器官に変調をきたし、食欲不振の原因となります。食欲がないからといって食べないでいると、より深刻な夏バテ状態に陥ってしまいます。暑い夏こそ食べ方を工夫してスタミナを蓄えることが大切です。

 夏の暑さは身体にかなりの負担となります。同じ動作をするのにも夏と冬とではエネルギーの消耗度に格段の差があります。夏は体温調節のために皮下脂肪が薄くなり発汗が盛んになります。その分、エネルギーを消費し、体力も消耗します。エネルギーの消費に伴い、糖質や脂質を燃焼させる際の触媒として作用するビタミンB1やB2等も大量に消費されます。汗と一緒に、ナトリウム・マグネシウム・カリウム等のミネラルも体外に排出されてしまいます。水分は体温調節の他にも、体内に取り入れた食べ物を運搬したり、胃や腸で吸収された栄養素を全身に運んだり、全身の老廃物を排出したりとたいへん重要な役割を担っています。夏はこれらの失われがちな栄養素や水分をしっかりと補給して、体調面にも気を配ることが大切なのです。

 暑いときには食欲がなくなり、かき氷・アイスクリーム・清涼飲料水等の冷たいものばかり口にしがちですが、これでは胃や腸を冷やしてしまい、血液の循環も悪くなります。体調を整えるビタミンやミネラルを補給することもできず、ますます体調を崩してしまいます。これらには多量の糖分や添加物としてリン酸塩が含まれています。リン酸塩の摂りすぎは、体内でカルシウムの吸収を妨げます。カルシウムが不足すると、いらいら・疲労・手足のむくみといった症状となって現れます。糖分の摂りすぎは、ビタミンB1不足につながり、精神の不安定や疲労・倦怠を招きます。糖分の多いジュースなどは血糖値を上げて、本来の食事時間に空腹感が生じないなど、食事のリズムを狂わせてもいます。夏バテは意外とこのような清涼飲料水やジュ-スの飲み過ぎが原因していることも認識しておいて下さい。

 ク-ラ-のつけすぎは体温調節に無理が生じ、下痢や夏風邪の原因にもなります。

◎夏野菜で、身体を冷やして栄養も補給
 キュウリ・ナス・ニガウリ・トウガン・トマト・スイカ・モモ等、夏の野菜や果物は、厳しい暑さを乗り切る為に内部にたっぷりの水分を蓄えています。身体の熱を冷まして暑さを忘れさせてくれます。利尿作用にもすぐれています。さっぱりとして口あたりもよく、食欲を増進させてくれますので体力アップにもつながります。モリモリと食べて夏バテや熱中症を予防して下さい。冷え症の方や妊婦の方は、食べ過ぎないようご注意下さい。
 赤や緑の野菜・海藻などを使って盛り付けに彩りを添えるとさらに食欲をそそりますし、ビタミンやミネラルも補えます。

◎ビタミンB1で体力アップと疲労回復
 ビタミンB1の摂取は糖質の代謝を促進しますので、疲労回復や夏バテ解消に効果的です。ビタミンB1が不足しても食欲不振を招きます。ビタミンB1は、胚芽米・玄米・小麦・大豆・緑黄色野菜・豚肉・牛肉・動物の肝臓・ウナギなどに豊富に含まれています。
 ネギ独特のニオイはアリインとよばれる硫化アリルの一種です。アリインには、ビタミンB1の吸収を高める作用があります。消化液の分泌を促しての食欲増進や、発汗・解熱・消炎等の作用もあり、風邪の予防や治療、冷えからくる下痢等にも有効です。

◎クエン酸で疲労回復と食欲増進
 すっぱさのもと「クエン酸」は、疲労回復効果が高く、汗をかいたあとにはお薦めです。腸をととのえ、血行をよくする働きも有しており、健康の維持・増進にも効果的です。クエン酸は、梅干しや、レモン・夏ミカン・ミカンなどの柑橘類に豊富に含まれています。

 梅干しの酸味は、味覚を刺激し唾液や胃液の分泌を促進して、消化器系を活性化させます。消化・吸収をスムーズにし、食欲不振を解消してくれます。梅干しは、血液をサラサラにして身体を活性化させる作用や殺菌の作用も強力で、その意味からもお薦めです。熱のある病人や食欲のない人でも、梅干しは抵抗なく喉を通ります。梅干しをいっしょに食べることで他の食べ物も喉を通りやすくなります。

 柑橘類にはビタミンC等も豊富で、肌荒れ・シミ・ソバカス・ニキビ等にも有効です。これら柑橘類には、身体を冷やす作用もありますので、冷え性の人はご注意下さい。

◎酢や香辛料を活用して、疲労回復・食欲増進
 疲れを取り除く作用のある酢を活用することもお薦めです。酢に含まれる酢酸は、疲労の原因となる乳酸を分解し、血液の酸化を防止します。野菜たっぷりのナムルやワカメの酢の物などをたくさん食べて、疲れを吹き飛ばして下さい。

 酢自体にはビタミンやミネラルは含まれていませんが、ほかの食品に与える効果が優れています。ご飯に少量加えると腐りにくくなったり、魚を漬けておくと骨まで柔らかくなり食べ易くなります。ワカメ・モズクなどの海藻を酢のものにすると、海藻に含まれる食物繊維や葉緑素も吸収され易くなります。酢の香りは食欲もそそります。酢には、下痢やおなかの痛みをやわらげる作用もあります。お寿司や酢漬けなどに大いに活用して下さい。とりあえずは、いろいろと食べて体力を維持することが大切です。食が細くなって夏バテ症状を起こすとも言えます。

 香辛料は適度に味覚を刺激し、食欲を誘います。肉料理や魚料理にうまく利用して、スタミナ源をしっかりと摂取して下さい。

◎活性酸素対策に緑黄色野菜
 夏はより多くの酸素を取り込んで、エネルギーをたくさん作り出しています。この時、身体に有害な活性酸素も大量に発生しています。強い紫外線により皮膚の表面付近にもたくさんの活性酸素が発生しています。ビタミンCやビタミンE、ビタミンAは、活性酸素を減少させる抗酸化作用の強い栄養素です。これらを豊富に含んでいる緑黄色野菜等も積極的に摂取するようにして下さい。

◎枝豆で肝機能を回復・強化
 枝豆は、大豆の莢(さや)が緑色のうちに収穫したものです。大豆同様に蛋白質含有量が多く栄養価の高い食品です。暑いさなかでも独特の風味と歯ごたえが食欲をそそり、格好のスタミナ食となります。比較的、糖質が少ない代わりに良質の脂肪が含まれていることも、とかく食欲不振で夏バテになりやすい身体にはありがたい食品です。

 新陳代謝を促進し自律神経の調整をするビタミンB1が多いので、肩こり・便秘・倦怠感・神経炎・むくみ等の予防にも効果的です。

 ビタミンB群に属するコリンも多く含まれており、脂肪の代謝を高め、肝臓に脂肪がたまるのを防いでくれます。お酒で弱った肝機能の回復にも有効です。

 ビールやお酒を飲むと、排尿の回数も多くなり、尿と一緒に排泄されるカリウムの量も多くなります。カリウムには、ナトリウムと結合して余分な塩分を体外に運び出す作用がありますが、不足すると、知覚が鈍くなり、反射神経も低下します。カリウムはまた、膵臓・腎臓・心臓や筋肉などの機能の調節も行なう大切な栄養素です。枝豆にはカリウムも多く含まれており、その意味でもお薦めの食品です。

 ビタミンCも多く、暑さで消耗したビタミンCを補給できます。他には、カルシウム・リン・ビタミンA等も豊富に含まれています。

◎土用のウナギ
 土用の丑の日にウナギを食べるようになったのは、江戸時代の中頃からだと言われています。土用の頃は夏の暑い盛りであり、その頃には夏バテもピークに達し、栄養不足になっていることが多く、栄養価の高いウナギを食べて元気をつけようという昔からの知恵です。

 ウナギの主成分は蛋白質と脂肪ですが、ビタミンA・B1・B2 ・E・カルシウム・鉄・ナトリウムなども豊富に含んでいます。夏場には、冷たいもの・食べやすいものに偏りがちですが、ビタミン・ミネラルを豊富に含んだウナギを食べて栄養素の不足を補って下さい。ビタミンAは消化器の粘膜を強化してくれます。ウナギのきもには特に多く含まれています。ビタミンEは、老化防止剤ともいわれるように、ホルモンの分泌を活発にし、血行をよくします。シミ・ソバカス等の予防にも効果があります。

■熱中症

 『熱中症』は、熱に中(あた)ったことを意味します。人は、暑くなると発汗して体温を調整します。過酷な高温環境下では、脱水(水分が足りない)状態になり、けいれん・めまい・失神・頭痛・嘔吐などの症状を引き起こすことになります。これらの症状を総称して『熱中症』といいます。

 「日射病」も熱中症の1種です。運動により脱水状態になり発症することもあります。運動中は、体内から大量の熱を発生するため、それほど高くない気温(20℃程度)でも発症したりすることがあります。30分程度の短時間で発症することもあります。

 風通しの良い涼しい場所に運び、衣服をゆるめ、水分を補給し、安静に寝かせて下さい。意識がはっきりしない場合などは、命に関わることもありますので、すぐに救急車を呼んだほうが良いでしょう。

◎熱中症にかかりやすい条件
 次のような人は、特に注意が必要です。
  • 熱中症になったことのある人

  • 暑さになれていない人

  • 体力のない人(高齢者・幼児・新入生など)

  • 肥満気味の人・汗っかきの人

  • 体調の良くない人

  • 怪我や故障をしている人

  • まじめ・我慢強い・引っ込み思案な人

  • 風邪などを発熱している人

  • 高血圧の人

  • 糖尿病の人

  • アルコール中毒の人

  • 心疾患(冠状動脈疾患など)のある人

  • 発汗機能の低下している人
    抗パーキンソン剤・抗コリン剤・抗ヒスタミン剤等を服用している人、汗腺障害・強皮症等を患っている人など


◎熱中症になりやすい環境
 次のような環境下では、注意が必要です。
  • 前日までに比べ、急に気温が上がったとき

  • 梅雨明けをしたばかりのとき

  • 気温はそれほどでなくとも湿度が高いとき

  • アスファルトなどの人工面で覆われているところや草木が生えていない裸地、砂の上などで活動するとき

  • 普段の活動場所とは異なった場所で(涼しい場所から暑い場所など)で活動するとき

  • 休み明けや練習の初日

  • 練習が連日続いた時の最終日前後


◎熱中症を予防するには
 熱中症を予防するには、前述のような条件や環境下での活動をなるべく避けることです。特に、暑い時や体調の悪い時には無理をしないことです。水分をこまめに摂取することも大切です。

 人は、寝ているだけでも汗をかいています。運動時となると、大量の汗をかくことになります。汗の元は血液中の水分であり、その水分は食事や飲み物から摂取したものです。このかいてしまった汗を、食事や飲み物で補うことが大切です。

 塩分も汗と一緒に排出されています。激しい運動などにより、大量の汗をかいた時には、生理食塩水(塩分濃度0.9%程度)やスポーツドリンク等で塩分も補給するようにして下さい。日本人はもともと塩分が過剰気味ですので、軽い運動程度ならば、水の補給だけで充分でしょう。

 日頃から水分を多めにとることによって、暑さによるストレスにも強くなります。運動の前中後や、入浴前後、就寝・起床時等に水分を摂取する習慣をつけると良いでしょう。

 一度に多量の水分を摂ると、吸収が悪くなり胃がもたれりします。1回に200㏄程度とし、時間をかけて飲むようにして下さい。

 缶飲料やジュース類は、カロリーの過剰摂取や食品添加物の懸念がありますので、水やお茶がお薦めです。アルコールには脱水作用があります。抗利尿ホルモンの抑制作用により、尿の排泄の回数が多くなり、体から水分が失われ、脱水傾向となってしまいます。ご注意下さい。

 普段と同じような体調で同じように動いていても、突然、倒れてしまったりするのが熱中症です。くれぐれもご用心下さい。こどもや高齢者への気配りもお忘れなく。

◎水の上手な摂り方
 暑い日が続くと、『水』の有り難さが身に浸みます。水は上手に摂取すると、健康や美容にも役立てることができます。
  • 朝一番に水を飲む

  • 眠気を醒まし、気持ちをシャキッとさせてくれます。胃腸の動きを活発にするので、便秘にも有効です。
  • 食事の前に水を飲む

  • 胃を刺激して食べ物の消化を助けます。食物に含まれる栄養素やビタミン類・ミネラル類などは、水に溶けた状態で体内に吸収されます。水を飲むことで食物の消化がよりスムーズになり、吸収されやすくなります。水には分泌された胃酸を薄めて胃もたれを防いだり、塩分の摂りすぎを抑止する働きもあります。食事の時に飲む水の量は、コップ一杯程度が適量です。飲み過ぎると、上述のように胃液が薄まりすぎて、かえって消化の妨げとなることもあります。
  • 食べ過ぎ防止に利用する

  • 水を飲むことは、食べすぎの防止にも役立ちます。人間の食欲は胃液の酸度と密接に関わっています。空腹のときでも、1杯の水を飲むことによって胃液が薄められ、食欲が抑えられます。気持ちが落ち着いてドカ食いも避けられます。また、食べたものが水分を吸収して膨らみ、少ない量でも満腹感が得られます。とりわけミネラル分を多く含む水は、空腹感を抑えるのに効果的といわれています。
  • 疲れをリフレッシュさせる

  • 仕事や勉強などで疲れが出てきたら、冷たい水で心身をリフレッシュさせて下さい。
  • スポーツやダイエットには必需品

  • 会社帰りにスポーツクラブに寄ったり、休日にスポーツを楽しむ場合も、水はかかせません。ダイエット(体脂肪を減らす)を目的とした有酸素運動を効果的に行うには、特に水の摂取が大切です。筋肉で体脂肪を燃焼させるには、筋肉への酸素などの運搬、そして脂肪の燃焼で生成された二酸化炭素やその他の老廃物などを筋肉から運び去る必要があります。その運搬を担うのが血液ですが、運動時には身体の水分が汗などで排出されてしまうため、血液がどろどろになって流れにくくなってしまいがちです。運動の際には適切な水分補給が必要不可欠、ダイエット効果を高めるためにも、のどが渇く前に水を飲むようにして下さい。
  • お風呂上がりは水で水分補給を

  • お風呂に入ると汗をたくさんかくのはもちろんのこと、血管が広がって新陳代謝が高まるので、より水分が失われやすくなります。お風呂上がりに飲むビールは最高においしいですが、アルコールは血圧を上げるので、風呂上がりの身体により負担をかけることになります。飲むならやっぱり失われた水分を補うお水です。
  • お酒を飲む時には、水も飲む

  • 楽しくお酒を飲むためには一緒に水を飲むことをお勧めします。アルコール濃度が薄まり、胃への刺激を抑えてくれます。水をたくさん飲むことで、尿と一緒に体外に出ていくアルコールも増え、肝臓の負担が少なくなります。
  • 寝る前にも水を一杯

  • リラックスできて、安眠へと誘ってくれます。寝ている最中は汗をかくため、血液の濃度が上がりがちです。その意味でも水を一杯飲んでおくことで、これを和らげることができます。飲み過ぎると、夜中に尿意をもよおすことになりますのでご注意下さい。

◎水・お茶・ビールなどのガブ飲みは控える
 水・お茶・ビールなどは胃液を薄めます。食事の際にこれらを飲み過ぎると、胃液が薄くなりすぎて消化能力が低下します。胃液による殺菌力も低下し、発病することもあります。冷たいと胃や腸を冷やしてしまい、血液の循環を悪くします。余分な水分は、汗や尿となって排出されますが、胃液の分泌を促すビタミンB1やニコチン等も一緒に排出されてしまったりもします。胃液の分泌が悪くなると、さらに消化能力がダウンし、悪循環に陥ってしまうことにもなります。
 コップ一杯程度の水やお茶は、胃を刺激して食べ物の消化を助けます。

 夏バテには栄養と睡眠を充分にとることが大切です。アルコールよりも食事面を充実させて下さい。また、身体が弱っているときに鮮度の悪いものを食べたりすると、おなかをこわしたりもします。肉や魚等の生鮮食品はきちんと冷蔵庫で保存し、食べる前によく加熱調理するようにして下さい。