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ニュースレター(機関紙)

留学に際して必要な健康診断書について(3)
NL04070103
予防接種、感染症

日比谷クリニック 
奥田丈二

●はじめに

 今回はシリーズのまとめとして、健康診断書作成までに留学者が行うべきことについて、米国の留学診断書作成を例に説明させていただきます。

●健康診断書の位置付け

 米国留学ビザ(F1ビザ)の申請を行うためには、入学許可証(I-20)を大学から発行してもらう必要があります。健康診断書はこのI-20を申請するために必要となる書類のひとつです。

 このように健康診断書は数ある書類の中での位置づけは低く、後回しになりがちですが実はもっとも時間と手間がかかる厄介もので、これがないと入学許可証はもちろんビザの申請もできません。さらに英文であることや経験がない事から医療機関で断られることも多く、実際かなり時間が押し迫った状態でクリニックにこられる方が多いのが現状です。可能であれば、書類の期限の2ヶ月以上前から準備をはじめるのが望ましく、まれにですがB型肝炎ワクチンの接種が要求(Require)されている場合は、3回の接種を完了するために半年間以上かかるので注意が必要です。

●あらかじめ準備しておくこと

書類の確認

健康診断書を要求する学校は、かならずその国、州、学校独自の書類があります。よく、特にフォームは指定されていないと言われる方(友人に言われた、留学仲介者から言われた)もおられますが、必ず大学独自のフォームはありますので、まだ送られてきていない場合は直接学校に問いあわせてみる必要があります。大学によってはなかなか手配してもらえない事も多く、時間が押し迫っていることをまめにメールや電話で何度も伝えることが大切です。まだ少数派ですが、学校によっては各種書類のフォームを大学のホームページからダウンロードできるところもありますので、チェックしてみるのもよいでしょう。

母子手帳の確認

母子手帳とは「妊娠届出書」を提出した際に市から発行されるもので、お母さんの出産までの記録、赤ちゃんの発育状況や予防接種記録などが記載されております。
母子手帳には通常、接種が義務付けられているポリオ、日本脳炎、BCG、DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風 三種混合)ワクチンの接種記録が記入されております。留学健康診断書にこれらの項が要求されている場合はそのまま転記でき、むだな検査を省くことができます。
任意接種である麻疹、風疹、おたふく風邪のワクチンについては、実際に接種していても母子手帳には記入されていないこともあり、その場合は通常のとおり抗体検査や追加接種をしなくてはなりません。

留学経験者について

いままで他の学校に留学したことがある人は、この時に作成した健康診断書のコピーと、このときに病院から発行された予防接種証明書、抗体検査結果のコピーがあれば、そのまま転記できるところがありますので持参してください。

来院までに記入しておくこと、調べておくこと

書類の最初には住所、氏名、年齢、生年月日などを自分で記入するところがあります。名前はパスポートと同じ綴りで記入しなくてはならないので注意が必要です。また、名前は日本と同じく、Last name, First nameの順で記入するところが多いので注意してください。
現在治療中の病気や過去の病気の既往、食物アレルギーなどの記入個所や、数々の疾患の有無についてのチェック項目がありますが、医学専門用語や医学的な知識が必要になる場合がありますので、自信がない場合は空欄にしておき、後日医師とともに記入するほうがよいでしょう。
家族の構成および家族の病歴、生死(亡くなっている場合はその死因)について記載を求めるところがあるので、その場合は予め家族に聞いておくなどして、出来るだけ詳しく調べておく必要があります。
医療機関へ行く前に電話で留学する国、州、大学名、書類の期限について予め連絡しておくのがよいでしょう。医師はそれらを元に大まかなスケジュールを立てます。またこのとき来院時に必要なものを確認してください。
その医療機関で経験がない州、大学については書類をスムーズに作成するため、FAXにて実際の書類の送付が要求される場合があります。

●医療機関で行うこと

 留学者自ら記入する項目についての漏れを調べ、医師とともに足りない部分を埋めていきます。医師が母子手帳等を見て必要事項を転記します。
 必要な場合、身長、体重、血圧測定、聴打診などをおこないます。
 最も手間と時間のかかる予防接種の項についての詳細は、前回説明させていただいたので割愛させてください。予防接種をうけた場合、医療機関より予防接種証明書が発行されるので、なくさないようにしまっておいてください。

 血液検査(抗体検査)、ツベルクリン接種、ツベルクリン反応測定、胸部レントゲン、ワクチンの接種など何度か医療機関へ足を運ばなくてはならない為、医療機関とよく相談し、出来るだけ効率よいスケジュールをたてる事が大事です。


●Q&Aコーナー

Q:どうしても間に合わない場合はどうしたらいいでしょうか?
A:国、州、大学や足りない項目などによってその扱いがかなり違います。なかにはREQUIREされていても、接種による事故を恐れ、診断書作成のために接種をせず空欄のままにしてほしいというところもあります。うまくいけば理由を書いた書類をつけることによって乗り切れる場合もあります。現地で足りないワクチンの接種を要求されることもあり、最悪オリエンテーション中に接種完了できない場合は、接種完了まで学校敷地内に入れずプログラムに遅れてしまうこともあります。対処法については医療機関の経験による部分が多いのですが、現状について大学側に連絡し、具体的にどうしたらよいかを聞き、医師とともに最もよい方法を探っていくのが最も確実です。

Q:留学中、他の大学に転入する場合は同じような手続きが必要なのでしょうか?
A:健康診断書を作成したときは、必ず医療機関より各種抗体検査結果の原本もしくはコピー、接種した予防接種証明書を発行してもらってください。
これらと母子手帳があれば、最も手間のかかる予防接種の大部分を省略できます。

Q:予防接種証明書とは?
A:予防接種証明書はその人の予防接種を行ってきた記録となり、一生大事にとっておく必要があります。最初に予防接種をおこなった医療機関で発行されます。予防接種証明書は世界共通のフォーマットとなっており、他(他国)の医療機関で予防接種の追加接種をおこなう場合はその証明書に追記をしていきます。

Q:米国以外の国への留学の注意は?
A:欧米諸国の健康診断書は大体似通っており、中で最も厳しい米国についての説明で欧米諸国はカバーできると思います。
欧米以外については要求される部分はさまざまであり、国によっては麻薬類の血中濃度測定を要求されたり、HIVの検査が必須なところもあります。
中国の留学健康診断書は公立病院での発行しか認められないので注意が必要です。
アフリカや南米諸国の一部では入国に黄熱病の接種証明が必要なところがありますので、ワクチンのスケジュールに注意が必要です。

Q:ワクチンに対してアレルギーがある場合はどうしたらいいでしょうか?
A:学校はアレルギーに対する事故にとても敏感です。医師により、接種出来ない由を書いた書類を作成してもらえば問題はなく、それにより入学を拒否されることもありません。

Q:宗教上の理由でワクチン接種できない場合はどうしたらいいでしょうか?
A:これについても上記と同じです。医師が発行した書類により、拒否(weave)することは可能です。