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ニュースレター(機関紙)

海外メンタルヘルスの現場から(19)「海外赴任者のストレス~頑張ればできる」
NL04060102
メンタルヘルス、海外赴任、ストレス

シンガポール日本人会診療所
小川原 純子


「頑張れば何とかなってきたんです」そんな、人生経験を持ってシンガポール赴任を迎える日本人は多いであろう。これは、人生を切り開いてゆく上で、非常に重要な体験である。
多少の困難にぶつかっても、「自分」が努力し、自分がスタイルを変え、改善すれば、物事は、良い方向に進むという自信は、その人の進む道を明るくしてくれる。
私たちの自国の文化の中には、「仕事に就いたら、頑張って努力する」という考えが、深く浸透しているように感じられる。
例えば、高校生のAさん。学校では、あまり熱心に勉強はせず、おしゃれと音楽にばかり関心があり、家ではつっけんどんな態度も見受けられる。ところが、ファーストフード店でバイトをしているときは、挨拶を率先し、テキパキ仕事をこなそうと一生懸命に働く姿があった。

シンガポールや東南アジア各国では、「仕事に対する姿勢」「浸透している文化的背景」が大きく異なる。「言われたことはやるけれど、自分から先読みして努力はしない」「気があまり利かない」「自分の失敗を受け入れず、何かと理由をつけてしまう」こんな特徴を持った、明るくて、自己主張のはっきりした外国人部下を持ったら、どうなるであろう。
日本との連絡など、どうしても、部下に任せきれない仕事もたくさんあり、自分の仕事量だけでも馬鹿にならないのに・・・・気がつくと、部下は定時に退社し、自分が部下の作った資料の間違いなおしに追われ、オフィスに夜遅くまで居残り、残業。
仕事を分配すると、その指導・チェックに更に時間がかかり、何故か、いつも日本人スタッフだけ残業。言語の問題もあり、自分が的確に指示を出せない不甲斐無さも加わる場合には、自己嫌悪にも繋がってゆく。

これが、連日続くとやはり精神的につらくなることは明らかである。東南アジアで働く日本人では、「どうして、自分だけ?」というこの当たり所のないイライラを感じたことのある人が多いのではないであろうか?
そこで「頑張れば何とかなる。」とエンジンを始動しても、自分の用事・用件そして責任ばかりが大きくなり、通常の勤務時間内では到底終わらなくなってしまう。常に仕事が湧いてきて手に負えない。朝から晩まで、緊張状態が続き、発汗・食欲低下・眠りが浅いなどの状態が、2~3ヶ月続くと、必ずどこかに体調不良が出現する。

この海外赴任初期の緊張状態は、誰にでも必ず生じる。
まずは、こういう感情が生じることを勤務者自身に知識として知っておいていただきたい。
そして、時間とともに、自分がゆっくりとこの異国の文化を受け入れられる日があることをお伝えしたい。6カ月から1年という少し長めの時間であるが、この文化的背景が自然になじんでくる時が必ずやってくるようである。