ニュースレター(機関紙)
JOMF派遣医師便り
NL04030101
シンガポール、フィリピン、中国、医療事情
◆シンガポール シンガポール日本人会診療所 吉田 泰司 ◇インドネシアのデング熱 インドネシアでは今年になってからデング熱患者が驚くべき数で発生しています。ジャワ島、スマトラ島の全域で広がっている状態です。3月2日の時点で、患者数は1万を遥かに超え昨年の同時期の2倍を上回っています。また死亡数は344人と発表されています。この犠牲者の中には多くの5歳以下の幼い子供達が含まれていて、その原因の一つに診断の遅れがあるとされています。 シンガポールでは今の所特別にデング熱患者が増加しているという情報はありません。シンガポールではデング熱患者が発生したとなれば政府が蚊の消毒に来ますし、医療も問題無いので今後もそれほど心配はいらないと思います。ただし、インドネシアに行かれた方で発熱があった場合は注意が必要です。一日中眠そうだったり、無気力だったり、いつもより落ち着かない等、気になる症状が伴えばすぐにも医療機関の受診が必要でしょう。 ◆マニラ マニラ日本人会診療所 土田 穣 ◇抗不安薬、睡眠薬などについて 日本より標記薬剤を常用薬として長期に亘り服用を医師より指示処方されて、当国フィリピンへ滞在される邦人が当診療所に来られます事が珍しくありません。 比国当局の定めにより、これらの薬剤をお求めの際は、専門医の黄色の処方箋が最近必要となりました。 従って、当診療所にこれらの薬の処方を求めてこられましても、ご要望に応じられません。 予め、ご承知置きくださいますようお願い申し上げます。 標記薬剤を長期に亘り服用される滞在者又は滞在予定者は、日本でのかかりつけの医師が標記薬剤の服用の長期服用を認める英文の診断書を持参するようお薦めします。 当国でその薬剤をお求めになりたい場合は、ご希望により、然るべく専門医を紹介、予約取り付けを致しますのでお申し出下さい。 以下に当国で発売許可されている当該薬剤を一般名と日本での商品名(括弧内)を列挙します。 1:Alprazolam(コンスタン、ソラナックス等) 2:Bromazepam(レキソタン、セニラン等) 3:Chlordiazepoxide(コントール、バランス等) 4:Clobazam(マイスタン) 5:Clonazepam(リボトリール、ランドセン等) 6:Clorazepate(メンドン) 7:Diazepam(セルシン、ホリゾン、ソナコン等) 8:Diphenoxylate(日本では発売されていません。) 9:Estazolam(ユーロジン) 10:Flurazepam(ベノジ-ル、ダルメート等) 11:Midazolam(ドルミカム) 12:Phenobarbital(フェノバール) 13:Triazolam(ハルシオン) 14:Zolpidem(マイスリー) 以上 尚、日本でしばしば用いられるEtizolamのデパス(商品名)は当国では発売されていませんのでご留意ください。上記事項につき、産業医などの関係者の方は特にご留意頂きたく重ねて宜しくお願い申しあげます。 ◆ジャカルタ *医師交代により今月号は休載とします。 ◆大連 大連市中心医院日本人医療相談室 横矢 佳明 ◇3度目の春を迎えて 他の3拠点とは違い大連は四季のはっきりした都市です。同じ緯度の日本に比べても大陸性気候のために夏は暑く冬は寒いです。私も2002年4月より赴任してきたために大連在住歴ももう2年になります。3度目の春を過ごすことになるわけですが、大連の春は非常に天気が良く快晴の穏やかな日々が続きます。 大連の冬は非常に厳しいために、冬になると屋内で過ごさざるを得ないのですが、春になり気温が上がってくると街に人通りが出てきます。最近は暖かい日が増えてきたため街の人通りもかなり増えてきました。 昨年に非常に心配されたSARSの再流行もなく、春を迎えることができて非常に良かったと思っています。また、SARSのおかげでインフルエンザワクチンの接種率が上がり昨年ほどインフルエンザの流行がなかったようにも思います。また、セミナーなどを通して地元日本人社会向けに感染症とはどのようなものかと言うことも啓発できました。 また、仕事面でもSARSが再流行しなかったために結果として発熱外来が事実上なくなったり、空港での冬に向けての検疫強化策なども実務上簡素化されています。もちろん、昨年来続いていた移動の制限などは事実上完全に撤廃されました。 さて、今年度は私の大連での最後の年となりますので地元日本人のための医療を整備し、次の先生にうまくバトンタッチできるように精一杯頑張っていきます。 |