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ニュースレター(機関紙)

なるほど栄養学~インフルエンザ・花粉症に勝つ~
NL04010105
インフルエンザ、花粉症、栄養

食生活アドバイザー 
来栖文子

 インフルエンザと花粉症が波状攻撃を仕掛けて来ようとしています。このつらい時期を乗り越えるには、身体を休め、栄養を十分に摂って、『免疫力』を高めることが大切です。

■インフルエンザ
 『インフルエンザ』=『風邪』と思われている方も少なからずいらっしゃるようですが、原因となるウイルスの種類が違う全く別の病気です。咳・鼻水・発熱など、症状がよく似ている面もありますが、インフルエンザはあっという間に大流行し、かかると急に40℃近い高熱が出るのが特徴です。さらに、倦怠感・筋肉痛・関節痛などの症状も数日間続きます。また、気管支炎・中耳炎・肺炎・脳炎・脳症・心不全などを併発することも多く、重度の後遺症が残ったり、死に至ってしまうことも少なくありません。第1次大戦中には、インフルエンザによる死者が欧州を中心に2、000万人にも達したといわれています。医療の進歩した現代でも、国内では体力のない乳幼児や高齢者を中心に毎年100人前後の方が死亡し、同数程度の後遺症患者が出ているとされている恐ろしい病気です。48時間以内に死亡してしまうことも少なくありません。疑わしい時には、すぐに病院で診てもらうようにして下さい。
 インフルエンザは、日本では12~3月に流行します。温度が低く乾燥した冬には、空気中に漂っているウイルスが長生きでき、また、乾燥した冷たい空気で私たちののどや鼻の粘膜は弱っています。年末年始の人の移動でウイルスが全国的に広がることも流行の要因になっていると考えられています。

■インフルエンザの予防方法
◎予防接種を受ける
◎マスクを着用する
ウイルスの侵入を防ぎます。罹患した人もマスクを着用することにより、咳やくしゃみによる他人への感染を防ぐことができます。極めて効果的です。
◎手洗い・うがいをする
手洗いは接触による感染を防ぎます。うがいはウイルスの侵入と、のどの乾燥を防ぎます。マスク着用と同様に極めて効果的です。
◎栄養と休養を十分にとる
体調を整え、体力をつけて抵抗力=免疫力を高めることで感染しにくくなります。
◎適度な温度・湿度を保つ
ウイルスは低温・低湿を好み、乾燥していると長時間空気中を漂っています。湿度には非常に弱いので、加湿器などで室内を適度な湿度に保つことも効果的です。
◎人混を避ける
ウイルスとの接触を避けます。

等が効果的です。

■免疫力をアップさせる食品
 免疫力をアップさせることは、花粉症等のアレルギー対策としても効果的です。体力をつけて免疫力をアップさせるには、バナナ・納豆・ヨーグルト等のように栄養価が高く消化の良い食品がより効果的です。アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)は人によって様々です。ここでご紹介する食品は多くの人に有効なはずですが、人によっては逆に作用してしまうこともあります。症状の重い人は、医師等に相談しながらお試し下さい。

◎バナナ
 バナナは、糖質・蛋白質をはじめ、ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富に含まれた、栄養たっぷりの食品です。調理加工の必要もありませんので、これらの栄養素を損失することなく、まるごと摂取できます。とても消化吸収が良く、エネルギー源としても優秀なので、主食としても利用できます。ビタミンC・ビタミンB群などのストレスや疲労回復に有効な成分も豊富で、体力を向上させ、身体を活性化させて免疫力を高めてくれます。なによりも活性酸素を除去する抗酸化作用と白血球を増加させる作用が群を抜いて強く、免疫力アップにはうってつけの食品です。白血球の数が増えると、ウイルスや細菌への攻撃力も高まり、白血球自体の質をも高める効果があるそうです。

◎納豆
 納豆には抗ウィルス作用や免疫力アップ作用の強い成分がたくさん含まれています。納豆は消化がよく、消化酵素も多いため、栄養補給によって体力を高めることで免疫力もアップし、病気の予防にもより効果的です。大豆の蛋白質がアレルゲンとなる人もいますが、納豆は発酵の過程でアレルゲン物質が分解されてしまっており、その点でもお薦めです。
 『納豆菌』には、ウイルスや病原菌等の働きを抑制する作用があります。チフス菌、赤痢菌、病原性大腸菌O-157、サルモネラ菌などに対しても有効です。納豆菌は腸内で善玉菌と同じような働きをして善玉菌を増やし、悪玉菌の増殖を抑えます。腸内で善玉菌が増えると、腸の働きが高まり、栄養の消化吸収も向上し、体力や免疫力がアップします。善玉菌は食物繊維をエサとして増殖しますので、食物繊維の豊富な納豆はその意味でも効果的な食品です。
 納豆のネバネバ成分である『ムチン』は、花粉症等によって鼻の粘膜が傷んだときにその修復を促進します。涙の主成分でもあり、体内のムチンが多くなることで目の乾燥やかゆみを抑えることができます。抗ウイルス作用、抗炎症作用も有しており、アレルギーの抑制にも有効です。
 大豆に含まれている『イソフラボン』、『サポニン』、『セレン』等の成分は、活性酸素を消去する抗酸化作用の極めて強い成分です。活性酸素を消去することによって、皮膚や粘膜の傷・炎症を抑え、再生させます。風邪やインフルエンザ等による発熱時には、体内で活性酸素が大量に発生して、症状を悪化させます。これらの成分は、活性酸素を消去して、その症状を軽減します。サポニンは免疫細胞である白血球やリンパ球のエサとなって、免疫細胞を活性化し、免疫力を高めます。
 納豆には、抗菌作用の強い『ジピコリン酸』や『リゾチーム』も多く含まれており、ウィルスや細菌を退治してくれます。

◎ヨーグルト
 ヨーグルトの乳酸菌は、腸内の善玉菌を増やしてお腹の調子を整え、免疫力を高める作用が強いことで知られています。乳酸菌が作り出す乳酸や酢酸が腸内を刺激して便秘の改善に力を発揮し、消化吸収も高めて腸内のバランスを整えてくれます。

◎ココア
 ココアの苦味成分の一つ『カテキン』は、カテキン重合体(カテキンが複数くっつき合った構造)を形成しており、インフルエンザウイルスに対して強力な殺菌効果を発揮します。ココアは、コーヒーやお茶等の抽出する飲み物と違い、全成分を溶かして飲むので、その殺菌パワーを百パーセント発揮します。ココアの別の苦み成分『テオブロミン』は、毛細血管を広げて血行を良くし、栄養を末端の細胞まで行き届かせて新陳代謝を促し身体を温めて冷え性を改善してくれます。また、脳内のセロトニンに働きかけて脳をリラックスさせる作用もあります。これら、それぞれが免疫力をアップさせてくれます。

◎青魚
 油(脂質)は、ラードなどの動物性の油脂に多い『飽和脂肪酸』と、植物油や魚脂などに多い『不飽和脂肪酸』に大別されます。不飽和脂肪酸はさらに、コーン油やヒマワリ油に多く含まれるリノール酸などのオメガ6系統の油脂と、シソ油のリノレン酸や青魚に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などのオメガ3系統の油脂に大別されます。不飽和脂肪酸、とりわけEPAやDHAなどのオメガ3系統の油脂は、血液をサラサラにする作用が強いことで注目されています。
 現代の日本人の食生活は、動物性の油脂やオメガ6系統の油脂に偏ってしまっています。そのために、体内の栄養バランスが狂い、花粉症やアトピーなどの免疫システムの異常、病気となって現れることが多いと考えられています。EPAやDHAには動物性油脂等の摂り過ぎでおかしくなった免疫システムを正常に戻してくれる働きも認められています。動物性の油脂やオメガ6系統の油脂(マーガリン等も含む)は極力減らし、青魚を積極的に食べるようにして下さい。EPAやDHAは、イワシ・サンマ・ブリ・マグロ・サバなどの青魚に豊富に含まれています。

◎シソ(葉及び実)
 シソには、炎症を抑えたり毒消しの作用があります。抗アレルギー成分としてリノレン酸が含まれており、ロイコトリエンという炎症を引き起こす物質が放出されるのを抑制します。アレルギー症状は、活性酸素によっても悪化するといわれています。シソは抗酸化力も強く、症状を和らげてくれます。葉をそのまま料理に用いて食べたり、シソ油を入手して、調理やドレッシングに利用したり、あるいはみそ汁に入れて飲むなどすると、より効率的に摂取することができます。ショウガにも、同様の作用があります。

◎緑茶・中国茶
 緑茶や中国茶に多く含まれている『カテキン』や『カフェイン』はポリフェノールの1種で、アレルギーを引き起こす物質ヒスタミンが放出されるのをくい止める抗アレルギー作用が強く、免疫力アップに有効です。緑茶には、フラボノイド・多糖類・フッ素等の成分が豊富に含まれており、ガン抑制をはじめ様々な働きを有していることでも注目されています。ビタミン類やカリウムなども豊富に含まれています。

◎甜茶(てんちゃ)
 中国で「甜茶」といえば、甘いお茶全般のことを指しますが、アレルギーに有効とされてているものは、バラ科キイチゴ属の甜茶『懸鈎子(けんこうし)』のことです。甜茶に含まれる特有のタンニンがいくつも重合(結合)してできる成分『甜茶ポリフェノール』は免疫力アップ効果の高い成分で、免疫細胞に働きかけ、ヒスタミンなどの放出量を抑制し、症状を和らげてくれます。

◎キノコ・海藻類・野菜類
 アガリクス茸に含まれていて抗ガン作用や免疫力増強作用があるとして注目されている成分『βグルカン』は、シイタケやマイタケなどのキノコ類全般にも含まれています。異常に高まりすぎた免疫系の反応を鎮めて調整し、活性化してくれます。
 これらは、低カロリーで食物繊維が豊富に含まれている食品です。食物繊維は、腸壁を刺激して腸のぜん動運動を促進し、便秘の予防・解消してくれます。便秘になると、食べ物などに含まれるアレルギー物質や蛋白質などの腐敗物が、腸に長く停滞して再吸収されてしまい、アレルギー症状を悪化させることになりますので、有益です。

○緑黄色野菜(βカロチン/ビタミンA)
 βカロチンは体内に入ると、必要に応じてビタミンAに変化します。ビタミンAには、皮膚や粘膜を保護して正常に保つ働きや、活性酸素の発生を抑える働きがあります。花粉症には効果大です。緑黄色野菜には、他のビタミン類やミネラル類も豊富に含まれており、栄養バランスを整える意味でも重要です。

○ビタミンC
 ストレスも花粉症などのアレルギー症状の大敵です。強いストレスが継続的に加わると、自律神経のバランスが崩れてしまい、免疫システムにも悪影響を及ぼします。ビタミンCはストレスに対抗し、これを軽減します。ストレスに対抗するには、カルシウムの摂取も有効ですが、緑黄色野菜等にはどちらも豊富に含まれています。

○ビタミンE
 今まで何でもなかった人が、ある日突然アレルギーを発症することも少なくありません。それは免疫系の自然疲労、一種の老化現象とも考えられています。老化現象により免疫系のバランスが崩れ、今まで問題なかったスギ花粉などに過剰に反応するようになってしまったということです。そのような老化現象を予防し、また血管などの若さを回復するためにはビタミンEの摂取が有効です。
 ビタミンEは、細胞膜に多く含まれ、活性酸素の攻撃から細胞を守る働きを有します。結果として、細胞の老化を防ぎ、血管壁の弾力を保ちます。血管がしなやかになり、体全体に血液や体液がスムーズに流れるようになるので、免疫細胞の移動もスムーズになり、免疫力も回復してきます。ビタミンEはビタミンAと協力して、酸化窒素などの大気汚染物質から肺などの細胞を守る働きも有しています。

■免疫力を低下させる食品
◎ファーストフード・脂っこい料理・獣肉類
蛋白質や脂質に偏った食事はアレルギーを発症しやすくなります。バター・チーズ・マーガリン・マヨネーズ等も控えて下さい。
◎刺激性の強い食品(酒・香辛料・チョコレート・コーヒー)等
血管や粘膜が炎症を起こしやすい食品です。
◎生もの・冷たいものなど身体を冷やすもの
アイスクリームやジュース類など、体を冷やすものの摂り過ぎにもご注意下さい。朝食を抜いたり、バランス栄養食品等の食事も体を冷やします。和食系は体を温めます。
◎砂糖の多い食品
菓子・ケーキなども、過酸化脂質を増加させます。
◎加工食品
栄養が偏りがちですし、食品添加物を過剰に摂取することにもなります。

 喫煙や、ストレス・過労・寝不足もアレルギーの要因となります。喫煙を止め、適度に運動し、ぬるめのお風呂にゆっくりとつかるなどしてストレスを発散し、免疫機能のバランスを正常に保つようにして下さい。

(編集部より)
「なるほど栄養学」が機関誌「海外医療」から引っ越しました。著者の来栖先生は、栄養指導や執筆活動などで幅広く活躍中の管理栄養士です。健康と深く関わる食生活・栄養に関する話題を随時提供していただきます。