• ホーム
  • 基金について
  • 海外医療情報
  • お勧めリンク集
  • よくある質問

ホーム > 海外医療情報 > ニュースレター(機関紙)

ニュースレター(機関紙)

バンコックにおける幼児健診実施報告
NL03090103
健康相談

実施機関2003年7月6日(日)~7月8日(火)
実施者慶応義塾大学教授  保健管理センター副所長   南里 清一郎(小児科)
(財)海外邦人医療基金  特別参与   大久保 紀彦
場所1日目(7月6日)サミティヴェート病院(スクムビット)
2日目(7月7日)バムルンラード総合病院
3日目(7月8日)タイ国日本人会スクムビット別館
受診者総数:53名   男児33名 女児20名 、 年齢5ヶ月~6歳4ヶ月
日本からの転勤者 44名 、 現地在住者 9名


[健康診断・相談方法]
 主訴、診断名にかかわらず、持参母子手帳の身体発育曲線による成長の評価と遠城寺式・乳幼児分析発達検査表による発達の評価を行った。次に問診票に基づく問診・視診・聴診・触診・耳鏡・打鍵器等による健康診断を行い、相談内容に合った、日本から準備した疾病別パンフレットを用い、健康相談を行った。

[相談者の主訴および診断名]
  *受診者53名の複数の主訴および診断名を示した(別表)。
        延べ件数77件で、複数の相談を有する相談者が半数近くいた。相談内容で多かった順では、言葉の発達の遅れ10件、精神運動発達の遅れ6件、自閉症4件、育児不安3件、ダウン症候群3件、低身長3件であった。

[総評と問題点]
1.バンコックの病院では、日本の基準では「疑い」の程度の症状でも「確定診断」が下され、投薬や治療が行われているケースも多かった。精密検査がなされずに、特に成長発達不全という診断の下にホルモン投与療法が開始されているのもあった。
2.言語発達遅れの不安を訴えるケースでは、よく話しを聞いてみると、家庭内で、母親が日本語で話しかけている時間が少ない。対外活動が活発な母親程現地メード任せの子守りとなっているケースが多い。
3.又、父親は、平日にはバンコック外の工業団地に勤務しており、帰宅出来ず、母子が母子家庭状態であるケースも見られる。外地における、「母子家庭」状態は、母子を日本に残した「単身赴任」よりも、母子に取っては相談できる相手がいないだけ母親のメンタル状態の不安定さが強く出て来ている。又、幼児を抱えた母親を、現地人に対する会社のボランティア活動に強制的に駆り出している会社があり、これも問題である。
4.バンコックはかなり医療レベルは高く、日本人が通院し易い医療環境は整っているが、今回の相談に多かった、言語発達、精神運動発達等に関しては、日本語による医療的支援が必要である。
5.バンコックでは生活環境の向上から、現地出産を含め乳幼児帯同が増えているが、上記3.に述べたような状況下で、母親の精神的状態、小児においては精神発達的健康状態を考慮する必要性を感じた。 というのは、アフリカや南西アジア等の治安医療状況の悪い都市では、逆に家庭における夫の密着度が高く母親と子供の顔が明るい。
6.別表に示したように、受診者53名のうち、本当に病気として直ちに治療を要するものは1名で、念のため精密検査を実施すべきもの10名、その他42名は表記載の通り経過観察か問題ナシとなった。つまり日本人医師による日本語での相談がやはり母親の不安解消に大変役立っている証左でもある。




バンコック幼児健診主訴の分類と診断結果(受診者53人の延べ主訴)
2003年7月6日~8日 実施

総合計77
  
  A.発達遅れではないかとの不安 合計  37
 内訳  
   言葉の発達の遅れ(ではないか)  10
   精神運動発達の遅れ(ではないか)  6
   自閉症(ではないか)  4
   育児不安  3
   ダウン症候群(ではないか)  3
   低身長(ではないか)  3
   母乳をほしがる  1
   集団生活ができない  1
   てんかん では  1
   多動症では  2
   対人関係がうまくいかない  1
   指しゃぶり  1
   体重増加不良 では  1
  
  B.身体の形態形質異常に付いて 合計  15
 内訳  
   包茎  2
   内股でころびやすい  2
   足の第1趾の変形  1
   網膜芽細胞腫術後の視力不安  1
   足の裏のほくろ  1
   腰から膝上までの青あざ  1
   肘の脱臼  1
   舌たらず  1
   歯ぐきに上唇の内側がくっついている  1
   軽度内反足  1
   肛門部皮膚の異常  1
   斜視では  1
   視線があわない  1
  
  C.アレルギーに付いて 合計  8
 内訳  
   アトピー性皮膚炎  2
   中耳炎になりやすい  2
   アレルギー(咳・鼻水など)  2
   あせも  2
  
  D.その他 合計  17
 内訳  
   泣くとチアノーゼになる  2
   食欲がない  2
   まばたき  1
   便通が2~3日おき  1
   低体重で出生  1
   人をかむ  1
   どもる  1
   川崎病  1
   髄膜炎後遺症  1
   貧血  1
   よく頭をぶつける  1
   目がうるむ  1
   サルモネラ  1
   かんしゃく持ち  1
   爪をかむ  1


上記に対する医師の診断結果(受診者数と一致)

1.治療を要する  1名   自閉症のうち  1名
      
2.精密検査を要する  10名 精神運動発達遅滞のうち  1名
    自閉症のうち  4名
    ダウン症候群のうち  1名
    整形外科的問題のうち  1名
    眼科的問題のうち  1名
    耳鼻咽喉科的問題のうち  1名
    皮膚科的問題のうち  1名
 
3.経過観察        28名
(家庭内言語環境の改善指導・緊急性はないがどうしても心配なら日本で専門医に)
 
4.問題なし(相談・説明により対処解決)  14名