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ニュースレター(機関紙)

話題の感染症 3
NL01080102
感染症 /ピロリ菌


(財)海外邦人医療基金(顧問)
長崎大学熱帯医学研究所(非常勤講師)
           大利 昌久

ピロリ菌感染症②
 ピロリ菌の感染により「胃炎」「胃潰瘍」「十二指腸潰瘍」「胃癌」が引き起こされるという説が一般的となった。

1)胃炎
 ピロリ菌の正体が不明の時代から、ラセン状菌と胃炎の関係が指摘されていました。ピロリ菌を発見したオーストラリアの内科医マーシャルらは、重症の胃炎ほどピロリ菌の陽性率が高いことを明らかにしました。恐らく、ピロリ菌感染により急性胃炎が発症、その後、ピロリ菌が増殖し、慢性胃炎に移行すると考えられます。
 内視鏡で「萎縮性胃炎」と診断されることがあります。もともとは、加齢に伴う生理現象と言われていたものです。しかし、現在では、ピロリ菌の感染によって長期の胃炎が持続することで、萎縮性胃炎になるという考えが一般的になりました。

2)消化性潰瘍(胃、十二指腸)
 ストレスが胃潰瘍の主因だと言われたことがあります。お猿さんを檻に入れ、外から毎日、棒でつついてストレスを与えると、胃潰瘍が発現することが知られていて、ストレスも胃潰瘍の原因であることは、間違いないでしょう。しかし、ピロリ菌の登場によって、ストレス説は、影の薄いものになりましたが、同じく猿にピロリ菌を感染させても何故か、潰瘍はみられなかったといいます。
 それならばピロリ菌はどの程度、胃潰瘍に関与しているのでしょうか。積極的に胃潰瘍の原因であるという根拠として、
①胃潰瘍では60~80%、十二指腸潰瘍では90%以上にピロリ菌が感染している。
②10年以上の追跡調査では、ピロリ菌感染者の人は、陰性の人に比べて、高率に十二指腸潰瘍にかかっている。
③ピロリ菌の除去によって消化性潰瘍が治る。
などの成績があげられます。しかし、実際にはピロリ菌感染者の20%以下しか潰瘍にならないという現実をみると、昔のストレス説や、その他、アルコール、薬剤など複数の原因が関与していると考えるのが妥当のようです。

3)胃癌
 ピロリ菌と胃癌については、WHOが1994年に「ヘリコバクターピロリ菌は確実に発癌物質になりうる」と警告を発しました。いろいろな報告がありますが、ピロリ菌感染者は、陰性の人に比べて胃癌の発生リスクが約6倍も高いという報告などが根拠になると思います。スナネズミにピロリ菌を与えた実験では、胃癌になったという成績が専門家にもショックを与えました。なお、最近の知見では、胃悪性リンパ腫にも関与していると言われています。以上のようにピロリ菌の関与は否定できません。
 本当に「ピロリ菌」たらイヤだね。じゃ、どうすりゃイイノ?ご安心下さい。簡単な治療法があるのです。プロトンポンプインヒビター剤(胃酸をおさえる薬)と2種類の抗生剤の3剤を併用服用すると、なんと1週間でピロリ菌は消えます。当おおり医院(神奈川県)の成績では、胃潰瘍90%、十二指腸潰瘍98%でした。かなり、良い成績です。健康保健が適応されますので、「かかりつけ医」に相談し、海外出張前に除菌しておきましょう。