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ニュースレター(機関紙)

海外赴任者のための健康管理ガイド3
NL00020105
保険 /病院

海外での医療機関の受診
                    海外勤務健康管理センター
                           濱田 篤郎

 海外の医療システムは日本のシステムと異なり、戸惑う方が多いようです。そこで、病気になる前に健康診断や健康相談を理由に受診しておくと、いざという時に便利です。この章では海外での医療機関の受診について解説いたします。

■1 医療システムの相違点
 海外と日本の医療システムの違いは数多くありますが、特に医師のシステムが大きく異なります。
1)医師は一般医と専門医に区別される
 海外で医師は一般医と専門医に明確に分れています。体調に異常を感じたら、最初に一般医を受診します。日本で言えば内科の先生や小児科の先生が一般医にあたります。専門的な医療が必要な場合には、一般医が専門医に紹介するシステムがとられています。いきなり専門医を受診することは、なかなか困難です。
2)医師は開業医が多い
 病院に外来を持つ医師の多くは、病院の勤務医ではありません。実は開業医で病院に場所を借りているだけなのです。このため病院を受診しても、何先生を受診したいのか指名しなければなりません。また医療費も病院とともに医師個人に支払うことになります。もちろん病院の外に診療所をもつ開業医も沢山います。

■2 医師の選び方
 海外で良質の医療を受ける鍵は、よい一般医を探すことです。このためには、現地に既に住んでいる日本人の評判を聞き、正確な診断や治療ができ、親切である医師を選ぶことがポイントとなります。また適切に専門医に紹介してくれるかも重要な点です。
 当センターでは、在留日本人数が多い都市についての医療機関や医師に関するデーターベースを設けております。なお発展途上国では、医療従事者の技術に問題があったり、衛生観念に問題がある医療機関が散見されます。特に公立病院は低所得者層を対象とした慈善病院的な傾向が強いようです。このような医療機関しかない国では、精密検査や手術が必要な場合、日本に帰国するか近隣の先進国に移動して医療を受けることをおすすめします。

■3 受診方法
 受診したい医師が決まったら必ず電話などで予約をとってください。加入する医療保険により受診できないこともありますので、確認しておきましょう。
 予約制のおかげで、短い待ち時間で充分な診察時間が提供されます。長い診察時間を用いて、日本でも必要性が指摘されている「インフォームドコンセント(同意の上の治療)」も日常的に実施されています。言葉がうまく通じなくても、長い時間をかけて話を聞いてくれることに驚く日本人も少なくありません。小さな診療所には検査設備がないことが多く、採血やレントゲン検査が必要な場合は、医師の指示箋を持って近隣の検査機関で検査を行います。
 診察が終わったら会計です。診療所であれば医師への診察料のみを支払い、検査代は検査機関に別途支払います。病院であれば会計窓口で診察料や検査代を一括して支払うことも可能です。医療保険については後述しますが、一旦は会計時に全額立替払いをしなければなりません。クレジットカードによる支払が可能な医療機関もありますので、事前に確認しておきましょう。

■4 症状の訴え方
 健康な時には流暢な外国語を話す人でも、いざ病気にかかり医師に症状を説明するのはなかなか難しいものです。病気の訴え方のハンドブックを持参したり、親しい現地人に付き添ってもらうのも良いでしょう。しかし、あまり流暢に話す必要はありません。身振り手振りを交えて話す方が、率直に自分の症状を伝えることが出来ます。もし日本国内で受けた健康診断の記録や診断書があれば持参してください。診察にあたる医師にとって貴重な情報となります。

■5 救急外来
 海外の医療機関は基本的に予約制ですので、カゼや怪我など突発的な病気の際には救急外来を受診することになります。海外の救急外来は、この種の病気に対して夜間のみならず昼間も対応をしています。また救急外来には専用の救急車が常備されていることが多く、電話連絡をすれば自宅まで迎えに来てくれたり、往診をしてくれることもあります。
 救急外来には一般に若い医師が勤務しています。軽い病気であれば数日の処方を渡され帰されますが、重症の病気であれば、専門医を紹介してくれます。

■6 医療保険
 海外も日本も医療費に大差はありません。しかし日本では医療費の大部分が健康保険でカバーされているため、各自の負担は僅かです。海外でも医療費を軽減するため医療保険には必ず加入してください。

 表1 海外の医療費と利用する保険の例

都市名    内科診療費($)*利用保険の例(長期滞在)
ニューヨーク    125.00        民営保険
ロンドン       94.83        公営保険+民営保険
東京         88.03
リヤド         67.62        海外旅行傷害保険
トロント        55.83        公営保険+民営保険
シンガポール    35.93        海外旅行傷害保険
バンコク       29.26        海外旅行傷害保険
シドニー       27.65        公営保険+民営保険
モスクワ       20.00        海外旅行傷害保険
ナイロビ       13.27        海外旅行傷害保険
ニューデリー     4.29        海外旅行傷害保険

*Business International社の資料より。内科の簡単な診療(診察および採血)を受けた際の医療費をあらわす。

 海外で利用できる医療保険には、現地の医療保険、海外旅行傷害保険があります(表1参照)。先進国では医療保険制度が完備しており、現地の保険を利用するのが一般的です。国営の保険は外国人の加入や還付額に制限があるので、民営の保険を選択する日本人が多いようです。発展途上国では多くの方が海外旅行傷害保険を利用しています。日本の健康保険を利用する方法もありますが、手続きが煩雑である点や、還付額に限度がある点から、あまり利用されていないのが現状です。

(編集部注:このシリーズは、海外勤務健康管理センター(JOHAC)発行の小冊子をベースにして、執筆の先生方のご好意により当ニュースレター用に再編していただき分割して連載しています。当小冊子「海外赴任者のための健康管理ガイドブック」には表題に関する多くのノウハウが一般企業人向けに解りやすくコンパクトに収録されています。入手希望の方はJOHAC研究情報部(FAX:045-474-6098)へご連絡下さい。)