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ニュースレター(機関紙)

海外赴任者のための健康管理ガイド2
NL00010106
小児科 /健康管理

小児を同伴される方へ


                       海外勤務健康管理センター
                       廣重 由可

 海外赴任に際し小児、特に乳幼児を帯同する場合は大変不安なものです。渡航前の準備や渡航中の注意については大人の場合と基本的には同様なのですが、さらにいくつか気をつけなくてはならないことがあります。ここでは特に小児の海外渡航にあたって知っておいていただきたい事柄をまとめてみました。

1 渡航前健康診断の項目
 一般的な乳幼児健康診断でよいのですが、できれば一通りの血液検査、胸部レントゲン撮影、心電図検査なども行うと良いでしょう。特に途上国に赴任する場合には、血液型の検査が必要です。

2 予防接種
1)必要な予防接種
 国によって予防接種の内容が決められていたり、必要な接種回数が日本と異なる場合があるので、まず確認して下さい。
2)日本で接種するか現地にするか
 先進国に行く場合は、可能な限り日本で受けた後に現地で足りない分を打てばよいでしょう。経済状態の悪い途上国の場合、なるべく日本で打っていくようにした方が無難です。外国の予防接種の仕方は、日本と若干異なり、例えば、同じ日に2種類以上のワクチンを接種したり、上腕でなく大腿筋に接種することがあります。あまり馴染みのない方法ですが、大きな問題はありません。
3)各ワクチンについて
ポリオワクチン:日本では2回接種とされていますが、外国では一般に3回以上必要です。海外渡航の際には、少なくとも3回は接種して下さい。また、米国などでは生ワクチンではなく不活化ワクチンが用いられるようになりました。
BCG:小児の結核の予防に効果的です。欧米では接種できないことがありますが、一時帰国などを利用してなるべく打つことをおすすめします。その際、予防接種証明書を必ず発行してもらいましょう。
三種混合(DPT)ワクチン:一般に日本の三種混合(DPT)ワクチンは外国のものに比べ、発熱などの副反応が少ないといわれています。
MMRワクチン:外国では麻疹、風疹、おたふくかぜの混合ワクチンを接種することが多いようです。これは以前日本で副作用が問題になったものとは異なり、健康な小児であれば問題なく接種してよいでしょう。なお、欧米では現在2回接種をすすめています。
ヘモフィルス・インフルエンザB(HIB)菌ワクチン:日本では入手できないワクチンですが、乳幼児の髄膜炎の予防として外国では一般的です。機会があれば接種することをおすすめします。
日本脳炎ワクチン:日本を含め東南アジアでは必要な予防接種です。欧米では発生がないため接種できませんが、帰国したら必ず打ちましょう。
4)時間がない場合
 日本ですすめられている予防接種スケジュールでは間に合わない場合、またポリオや日本脳炎など時期によって接種できない場合は、大学病院の小児科や検疫所などに問い合わせてみて下さい。医療機関によっては種々のワクチンが用意され、一人一人のスケジュールにあわせた接種が可能です。
5)予防接種証明書
 海外では集団生活を開始する際に予防接種証明書が必要とされることが多く、日本の母子手帳では通用しないことがあります。医師のサインが必要なので、あらかじめ用意しておく必要があります。当センターや東京大学附属病院小児科などでも発行できますが、まずはかかりつけの医師に相談してみて下さい。

3 母子手帳
 日本の母子手帳は成長や病気の記録という点ではとても有用です。ただし外国では予防接種の証明に関してはあまり力がなく、別に予防接種証明書が必要となることが多いので注意が必要です。
 自治体によっては英文の母子手帳を用意していますので、問い合わせてみて下さい。もし手に入らない場合は「(財)母子衛生研究会」で購入できます。ここでは英語の他、中国語や韓国語など8ヶ国語の母子手帳を作成しています。連絡先は下記です。
   (財)母子衛生研究会
   東京都渋谷区神宮前5-53-1
   TEL 03-3499-3111
   FAX 03-3499-3002

4 携行医薬品
 小児用の解熱用坐剤や抗生物質のドライシロップは先進国でも途上国でも入手が困難なので、持参した方がよいでしょう。また、虫刺されや外傷の軟膏、目薬も用意しておくと便利です。持病のある子供は常用薬を多めに持参し、その際、必ず投薬内容を英語の一般名で書いてもらうことが必要です。

5 飛行機の搭乗にあたって
1)タイミング
 多くの飛行機会社では、生後1週間を過ぎていれば搭乗可能としています。一般的には1ヶ月健診がすめば大きな問題はないのですが、できれば頚が座ってからの方が安全です。万が一、新生児期の重大な病気にかかっていたとしても、このころにはすでに症状が現れていることが多いのです。
2)飛行中
 出発時間にあわせて、前日遅くまで起こしておくなど寝不足の状態にし、飛行中寝やすいようにする工夫が必要です。また機内に好きな本やおもちゃを持ち込み、両親がともに遊んであげましょう。やむを得ない場合には、離陸後安定飛行になってから、軽い睡眠剤を飲ませて眠らせるのも一つの方法です。ただし、医師の処方が必要です。
3)機内サービス
 あらかじめ航空会社に連絡しておけば、ミルク用のお湯や離乳食のサービスを受けることが可能です。座席についてもリクエストできる場合があります。

6 子どもがかかりやすい病気や状態についての基礎知識
 海外で医療機関を受診するのは、あまり簡単なことではありません。急に子どもが高熱を出した、嘔吐が止まらない、などの事態が生じたときにパニックに陥らないためにも、子どもがかかりやすい病気についてはあらかじめ理解しておきましょう。特に高熱、腹痛、下痢、嘔吐、ケイレン、ケガなどについては一通り目を通し、自分なりの対処法を考えておくと慌てずに済みます。

7 気候への順応
 熱帯地方の強すぎる日ざしは皮膚を障害します。健康を保つためには一日に10分程度の日光浴で十分なのです。なるべく日焼けを避けるために、帽子をかぶる、子供用の日焼け止めを塗るなどの対策が必要です。
 また子どもは大人に比べ体重あたりの体表面積が広く、容易に脱水になりますので、水分補給は常に注意して下さい。

8 処方される薬について
 海外での薬に関するトラブルで最も多いのは、成人と同様「薬が効きすぎる」というものです。薬の種類そのものは、日本で処方されるものとほとんど同じなのですが、問題は一錠に含まれる含有量の違いです。一般に外国の薬は、欧米人の体格にあわせてつくられています。薬の効き方は体重に大きく影響され、日本人は欧米人に比べて小柄なので、効きすぎてしまうのです。小児の場合も、年齢で薬の量を決めてしまうと、適切でないことがあります。そこで発育のチェックの意味も含めて、体重測定をこまめに行い、受診時には医師に体重を自己申告することをおすすめします。

9 育児に悩んでしまったとき
1)育児サークルを見つける
 バンコク、ジャカルタなど在留日本人が多いアジアの都市や、アメリカ、カナダ、イギリス、イタリア、フランスなどの多くの先進国には、日本人のお母さんたちがボランティアで運営する育児サークルがあります。日本人会に問い合わせてみてそのような組織が存在すれば、積極的に参加・利用することをおすすめします。
2)公的機関を利用する
 タイ、インド、マレーシアなどのアジア諸国や多くの先進国には、日本人が利用できる公的サービス機関があります。そのサービス内容や費用などは各国でまちまちなので、大使館や日本人会に問い合わせてみて下さい。

10 教育
1)渡航中
 教育関係については文部省が詳しい指針を出していますので、ここではあまり触れませんが、海外赴任期間中の日本の教科書は「海外子女教育振興財団」で無償で入手できます。公立の小・中学校の場合、市役所か通学中の学校長に申し出れば、必要書類がもらえます。また、同財団では英文の成績証明の記入用紙なども手に入ります。
2)帰国後
 1年程度の海外赴任であれば大きな問題なく編・転入学できますが、数年以上におよぶ長期の場合、海外で受けた教育や日本語能力によっては、一般の公立校で受け入れてもらえないことがあります。この点については文部省や「海外子女教育振興財団」に相談して下さい。
 さらに、授業内容や文化・習慣の違い、いじめなどから登校拒否などのいわゆる「逆適応障害」をおこす場合があります。そのサインを見逃さないようにしましょう。

(編集部注:このシリーズは、海外勤務健康管理センター(JOHAC)発行の小冊子をベースにして、執筆の先生方のご好意により当ニュースレター用に再編していただき分割して連載しています。当小冊子「海外赴任者のための健康管理ガイドブック」には表題に関する多くのノウハウが一般企業人向けに解りやすくコンパクトに収録されています。
 入手希望の方はJOHAC研究情報部(FAX:045-474-6098)へご連絡下さい。)