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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL11060101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会クリニック
日暮 浩実

◇サルモネラ食中毒

6月初め、ドイツで大腸菌による食中毒が広く、報じられていました。

シンガポールでは、もちろん、直接的なこの件による患者さんはいらっしゃいませんでしたが、食中毒事件は時々、発生します。

最近では5月に、10校の幼稚園で合計271人の患者さんを出した事件がありました。調査の結果、原因菌はサルモネラ菌であることがわかりました。

園児たちは共通の食品製造会社から食べものを供給されていました。この会社はケイタリングと呼ばれるサービスを提供している会社のひとつでした。これは、予め料理を注文しておきますと、料理を作って運んできてくれるサービスです。給食みたいなものですが、請け負い業者は日本の給食センターとは異なり、学校給食を専門としている業者ではなく、だれでもが利用できる、いわゆる“宅配サービス”業者と考えたほうが良いものです。

今回の件で、園児たちが、共通に食べた食品はシーフードマリネだったのですが、サルモネラは通常、海産物からは発見されません。通常は肉や卵、マヨネーズなどから見つかるものです。そのため、調査したところ、調理場で同じ皿類が、生ものを運ぶ場合だけでなく、調理されたものを運ぶ場合にも使われていたそうです。この過程で汚染が起こったことが推測されています。また、海産物、肉、家禽が同じ場所で調理されていたこともわかりました。これも、汚染の確率を高めたと考えられています。

サルモネラ菌は人、野生動物、家畜、ペットなどが保有していて、直接、間接に食品を汚染する原因と成ります。そのほか、下水、河川などにも広く分布していて間接的な感染源にもなっています。例えば、ねずみ、ゴキブリなどから2次的に汚染が広まることがあります。

温度管理も気になるところです。サルモネラ菌の発育の至適温度(菌の発育、増殖に最も適した温度)はちょうど、人の体温ぐらいとされていますが、30度から40度での増殖は大変盛んで、逆に5℃以下では死滅しませんが増殖しないとされています。また、サルモネラ菌の熱抵抗性は弱く、60℃3分から5 分程度の加熱殺菌で大幅に減少することが認められております。シンガポールは年平均気温が約27度あります。最高気温は30度を越える日が一年を通じてほとんどです。最低気温も最も低い月でも23度を下ることはありません。素地として、こうした気温の高さも、菌の発育に有利な条件だったと思われます。ちなみに、日本でも食中毒は夏に多く発生する傾向があります。

サルモネラ感染による最も普通にみられるのは急性胃腸炎症状です。通常8~48 時間(平均12時間)の潜伏期を経て発病します。(なかには3~4日の潜伏期のものもあります)。症状は悪心、嘔吐、腹痛、下痢などです。さらに急激な発熱(38度以上)がみられることも多いです。便は水様、粘液状であったり緑色を呈したりします。下痢は一日十数回になることもあります。小児や高齢者では急性脱水症および菌血症を起こすなど重症化しやすいといわれています。(死亡率は1%以下とされています)。新生児は特に、感受性が高いとされ菌血症になりやすいとされています。通常1週間ぐらいで回復しますが、中には年余にわたる保菌者も見られます。

診断は便からの培養ですが、これには時間がかかるため、症状があれば、検査の結果が出る前に治療を始めることになります。治療としては、症状に応じて、対症療法を行い、抗生剤の服用が勧められます。

ご家庭でも、サルモネラ感染が起こる可能性があります。そのため、日本で生卵を食べる習慣がある方でも、当地では食べないとしている方も多いようです。

普段からの、注意がこうした感染を予防すると思います。皆さんもどうぞお気をつけ下さい。

 

◆マニラ

マニラ日本人会診療所
菊地 宏久

◇軽度の頭部外傷(2)-現場でしてはいけないこと、行うべきこと

前号で、マニラでの軽度頭部外傷事故が起こった場合、どのような状況の時に病院/診療所を受診したらよいか、について書きました。ここでの軽度の頭部外傷としては転倒して硬い床やバスタブに頭部をぶつけた、スポーツ競技中に強く衝突した、戸棚や物に頭をぶつけた、棒でたたかれたなどを考えています。

今回は病院/診療所に行くまでの間に現場で行ってほしい処置、行ってはいけない処置について書きます。日本であれば、事故があれば直ちに救急隊が到着し適切な処置をして病院へ搬送してくれます。

ところがマニラの救急医療事情は日本と大きく異なります。日本のようなすばらしい救急搬送システムはありません。もし救急車をコールしようと思えば、診療を希望する病院に電話をして該当病院の救急車を依頼することになりますが救急車はすぐには来てくれません。文化の差やコミュニケーションの問題もあります(当地の救急車は有料で、車内で行った医療処置によりさらに料金が加算されます)。このような事情から多くの日本人患者さんは、夜間や休日も含めて、家族や会社の方が付き添って自家用車やタクシーで病院/診療所へ受診していることが多いようです。ところが緊急で休日や夜間に病院を受診したとしてもすぐに診てもらえるとは限りません。頭部CT検査をしても結果をすぐに説明してくれるとは限りません。遅い時にはCT結果の説明が数日後になることもあります。このようなことを考えると、“念のために”と考えて早め、早めの受診が望ましいと考えます。昼間に起きた事故については夜まで待たず昼間のうちに受診しましょう。昼間なら問題なくできる検査も夜間になると困難になることもあります。

前号でも書きましたが、以下のような症状があれば、マニラにおいては直ちに病院/診療所を受診することをお勧めします。

・まず以下1)2)3)を大まかにチェックして、この内一つでもできなければ直ちに受診してください
1)自ら目を開けていられるか?
2)会話・コミュニケーションがきちんと取れるか?
3)指示どおりに手足を動かせるか? 

また具体的に以下のような症状があれば受診して下さい
・呼吸が遅くなる、速くなる
・意識の変動、意識障害、興奮
・痙攣(ケイレン)

・鼻、耳、口から透明(または血液混じり)な液が出る
・耳の後ろに出血がある
・目の周囲に出血がある
・瞳孔の大きさに左右差がある
・頭蓋骨骨折の疑い
・頭の皮膚/皮下出血がある

・視力障害がある(二重に見える、眼球の動きが制限される)
・四肢のしびれや感覚麻痺、運動麻痺がある
・首が固くなる
・嘔吐がある

・60歳以上の人
・持病のため「抗凝固薬」を飲んでいる人
・アルコール飲酒中の事故

病院へ行く前に現場ですべきこと、してはいけないこと

I.すべきこと
○まず以下をチェックする(大切なので繰り返し述べます)
1)自ら目を開けているか?
2)会話コミュニケーションがきちんと取れるか?
3)指示どおりに手足を動かせるか? 
 これら1)2)3)の内、一つでもできなければ直ちに受診する

呼吸や心拍が通常と変わらないかを確認する、変化しているようなら直ちに受診する
耳の後ろや目の周囲に皮下出血がある場合は頭蓋底骨折の可能性があるので安静を保ちながら直ちに受診する
物が二重に見えたり眼球の動きに制限があったり、目の下の頬の部分に知覚麻痺があるときは眼窩底骨折の可能性があるので直ちに受診する
瞳孔の大きさに左右差がないかを確認し、左右差があれば直ちに受診する
嘔吐を催したら、脊髄損傷の疑いがない限り、吐物による窒息を予防するために右を下にした横向きの姿勢で寝かせ気道を塞がないようにする、吐物が気管に入り窒息させないように予防する(回復体位を取らせる)
吐き気がない場合は、頭部を少し高くして寝かせ安静を保ちながら移動する
頚髄損傷を疑った時は患者の頭の両側に手を沿え、頭と脊髄がまっすぐに並んで動かないように頭と首を固定する。ネックカラーがあれば使用する、なければ毛布などで首を真っすぐに固定する。移動する時も可能な限りそのままの姿勢で動かし、直ちに受診する
出血時は(頭蓋骨骨折がないと思えば)創傷患部を清潔な布を強く押し当てて止血する
頭部の腫れた患部(たんこぶ)は冷えたタオルなどで冷やす
呼吸が不整になったり、呼吸をしてない場合は直ちに救急蘇生法を行なう
(病院へ行く途中にも急変は起こりえる)



Ⅱ.頭部外傷時にしてはいけないことがあります。

自ら頭部を動かさない
意識もうろうの患者を揺さぶらない
けいれんがあった場合は大声で呼んだり体を揺さぶったりしない
子供が頭部外傷を負っていると思われる場合は、むやみに抱き起さない
頭部を動かすと強い痛みや四肢に痛みやしびれ、感覚/運動麻痺がある場合には体や首を無理に動かさない(頚髄損傷の疑いがある)⇒頭と脊髄がまっすぐに並んで動かないように頭と首を固定して直ちに受診する
頭部に刺さった異物は抜かない⇒そのままの状態で直ちに受診する
頭蓋骨骨折の疑いがある場合には出血部位を布などで“強く”圧迫しない⇒清潔な布で軽く覆い直ちに受診する
嘔吐している場合や嘔吐しそうな場合は、脊髄損傷の疑いがなければ臥位にしない⇒側臥位(横向きの回復体位)にする
耳や鼻から透明な液体や出血がある場合であってもガーゼなどを詰めてはいけない⇒直ちに受診する
頭部外傷の後、少なくても48時間は飲酒をしない
受診しない場合でも48時間は激しい運動を避ける


参考:
1)Basic Trauma Life Support for the EMT-B & First Responder
(4th Edition),John Emory Campbel, Pearson Prentice Hall, 2004
2)Minor Emergencies , Philip Buttaravoli, MOSBY,2007



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
原 稔  

◇「追突されました」

やられました。通勤途中にオカマ。
 
午前7時30分。ラスナサイド通りのトランスジャカルタバス停横。急ブレーキにムッとする間もなく、後ろからドンと衝撃が。
幸い大したスピードでは無かったらしく、頸も腰もなんともない。車の後部を見るとバンパーが凹んでいる程度。ドライバーは、追突した車と更にその後ろの車のドライバーと、3人で何か言い合っている。多重衝突だった模様。
問題が別のところに。
 
うんこがしたかった。前夜のローカルフードとビールの影響も考えられる。素よりお腹が弱い。道路脇のドブ川の悪臭が便意を増強。直腸の中身が暴れ始めた。ガス抜きするも効果は限定的。爆発の危機だ。
事故処理(?)にはしばらく時間がかかりそうな気配。コンビニまではかなり距離がある。通りかかるタクシーに空車は無い。道路は渋滞。バイクタクシーの振動に耐えられるか?
今までいろんなところで野グソをしてきた。マイナス50度の南極大陸(数万年後に氷山として海に出る予定)、パプアの山の中(イノシシの肉となったであろう)、天草の漁船の上(撒き餌だ)・・・。今回はジャカルタの大通り。朝の渋滞の横で日本人が蹲踞している姿を想像していただきたい。遮蔽物は何も無い。
流石にその度胸は無かった。
道路のこちら側に有るのはドブ川だけ。反対側へ長い歩道橋を小股で走った。見ず知らずのビルに飛び込み、セキュリティの人が緊急事態を察してくれて事なきを得た。

今回は笑い話ですが、ケガや急病だと、話は深刻です。ジャカルタの渋滞は如何ともし難く、緊急時の病院へのアクセスを確認しておく事は極めて重要だと思います。自宅、職場、通勤中などの場面ごとにシミュレーションしてみては如何でしょうか?

私は、携帯便器の購入を検討しています。


(以上)