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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL11050101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会クリニック
日暮 浩実

◇福島原子力発電所からの放射能漏れ事故に対するシンガポール農業食肉省の対応

毎日の私達の口に入る食料への放射性物質の影響は一般市民にとっては大きな関心事です。そのため、(Agri-Food and Veterinary Authority of Singapore、以下AVAと略します)は食料への国民の不安を低減させるため以下のような措置をとりました。発表されているものを時系列で並べてみます。

未曾有の大地震が起きたのは3月11日、その5日後の3月16日から以下のような発表がありました。

3月16日
3月11日以前に日本から輸出された食糧はもちろん安全です。しかし、3月11日以後に輸出された生鮮食料品(海産物、果物、野菜、肉など)に関しては安全のため、サンプル調査を直ちに開始します。現時点においては放射能汚染は全く検知されていません。シンガポールへの日本からの海産物の輸入は全輸入量の2%を占めるだけですので、大きな影響はないものと予想されます。他の生鮮食良品にいたっては0.5%以下ですので影響は無視できる程度です。

3月22日
放射能もれの影響があったと考えられる地区から台湾へ輸出された牛乳、ほうれん草、ソラマメから高レベルの放射能が検出されたことから、AVAはサーベイランスをさらに強化します。AVAこの日まで120検体を検査しましたが、放射性物質は発見されませんでした。

3月23日
日本政府が福島、茨城、栃木、群馬からの生乳、野菜の出荷を停止したのを受け、AVAはそれらの県からの牛乳、乳製品、果物、野菜、海産物、肉の輸入を全て停止しました。これはアメリカやオーストラリアと同様の処置です。

3月24日
日本からの輸入された野菜のうち4品目から放射性物質が検出されました。栃木、茨城、千葉、そして愛媛県からのものでした。このため、千葉、愛媛県からの果実、野菜の輸入も停止となりました。(愛媛県産とされたものはラベルの間違いで実は福島県産だったことがわかり、4月14日に愛媛県産のものは輸入が可能になりました。)

3月25日
日本から運ばれてきた全ての果実、野菜、海産物、肉、牛乳、乳製品は一時保管となり、すべて検査(サンプル抽出検査のようです)を受けることになりました。検査で放射性物質が検出されなかった時にだけ、国内に搬入可能となり、もし、同じ積荷の中でどれかひとつでも放射性物質が検出された場合には其の積荷は全て廃棄されることになりました。

3月26日
東京、神奈川、埼玉産のものからも放射性物質が検出されたため、関東地方からのものは全て輸入禁止となりました。

3月31日
静岡産の小松菜から放射性物質が検出されたため、静岡県産のものも輸入禁止となりました。

4月2日
兵庫県産のキャベツから放射性物質検出されました。

4月4日
兵庫県産のものは輸入禁止となりました。

4月14日
愛媛県産とされたものはラベルの間違いで実は福島県産だったことがわかり、4月14日に愛媛県産のものは輸入が可能になりました。

5月16日
先に、静岡県産、兵庫県産のものの中から放射性物質に汚染された野菜が見つかったたとされていましたが、調査の結果、これらは茨城、埼玉県産だったものであることがわかり、シンガポールでも再調査の結果、問題ないことがわかり、静岡県産、兵庫県産のものは、この日より、輸入可能となりました。

シンガポール政府の措置は、十分な検査をしており、国内市場に出回っているものは、安心して食べてよいというメッセージを国民に伝えるものであると考えられます。AVAのホームページ上には以下のようなメッセージが掲載されています。
Food imported from Japan that is available in the market is safe for consumption. There is no cause for concern for consumers as the affected consignments have not been released for sale under our “hold-and-test” surveillance programme.

また、政府機関は、毎日、大気中の放射線レベルを計測しており、測定値はインターネット上で閲覧できるようになってもいます。大体0.1マイクロシーベルト/時以下で、福島原発の事故以前と変わりがないと発表しています。この値は原発付近以外での日本各地の計測値と同様です。

一時は日本産というだけで、敬遠するような動きも一部国民の間にあったようですが、今は落ち着いているようです。政府の活動の効果があったと考えてよいと思います。今後の情勢を見守りたいと思います。

 

◆マニラ

マニラ日本人会診療所
菊地 宏久

◇軽度の頭部外傷(1)-こんな時は受診を!

頭部外傷で当院を受診する患者さんは、自宅や学校での生活中やスポーツ中に事故が起こっています。倒れて頭を物や床にぶつける、浴槽に頭をぶつける、ブランコやすべり台から落ちるなどして頭部をぶつけて来院する患者さんが毎月いらっしゃいます。切り傷や小さな血腫(たんこぶ)、頭痛、吐き気・嘔吐、意識消失を伴うこともあります。当地の家の床は堅いコンクリートや石でできている場合が多く日本での場合よりも重症になることもあります。
今回は、どのような症状があった時に診療所/病院を受診していただいたほうがよいか、について述べます。

1)成人の場合:
明らかな意識消失、けいれん発作、視力障害、物忘れ、強い頭痛、吐気・嘔吐の持続、耳または鼻から水が出る(時に血性)、耳の後ろの内出血、手足の麻痺やしびれなど。またこれらの症状がなくても60才以上の方、抗凝固薬(血栓症の予防薬)を使用している場合、アルコールを飲んでいた場合、てんかんの既往がある場合は必ず受診して下さい。

2)小児の場合:
けいれん発作、視力障害、意識が通常と異なると感じる場合、眠たがっている、起こそうとしてもなかなか起きない、左右瞳孔の違い、なんとなく会話がおかしい(反応が遅い、何度も同じことを言う)、頭蓋骨がへこんでいる、頭蓋骨が腫れている、耳の後ろの内出血、眼周囲の出血、鼻や耳から水(または血)が出る、繰り返す嘔吐、頭皮の血腫(たんこぶ、2才未満)など。このような場合も必ず受診してください。

また、受傷直後には症状が消失しても、外傷後3~4週間くらい経ってから上記のような症状や、月経異常、内分泌障害、不整脈、発汗異常などが現れることがあります。頭蓋内で病変がおこっている可能性があります。
 
さらに、頭部を打撲したと思っても、同時に胸部や腹部を打撲していることもあります。風邪でないのに咳が続いたり、息切れ、四肢や顔のむくみ、血尿などがあれば受診して下さい。また、皮膚外傷を伴っている場合は破傷風の予防処置が必要な場合があります。マニラでは特に重要です。このような場合にも受診して下さい。
 
 
次回は頭部外傷時、診療所/病院へ行くまでの間に家庭で行っていただきたい対応について述べます。
参考
1)標準脳神経外科学(山浦昌、医学書院、2010)
2)Minor Emergencies (Philip Buttaravoli, MOSBY,2007)



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
原 稔  

◇市民による救命処置

昨年、救命処置のガイドラインが見直されました。
従来、推奨されていたA-B-C(Airway-Breathing-Circulation)の手順が、C-A-B(Compression-Airway-Breathing)に変更されています。

A,B,Cはそれぞれ、
Airway:気道確保
Breathing:呼吸
Circulation:循環 → Compression:圧迫(心臓マッサージのこと)
です。CはCompressionのCになりました。
 
以前は、人が倒れて呼びかけに反応が無い場合、「まず、気道を確保して、呼吸しているかどうかを確認。していなければ人工呼吸をしなさい(躊躇される場合は省いても宜しい)。次に、脈があるかどうかを確認。無ければ心臓マッサージを始めなさい。」という内容でした。
これが、呼吸していないと判断したならば、何はともあれ「まず、心臓マッサージを」になったわけです。
そして、「より強く、より早く」、絶え間なくマッサージを続けるように強調されています。
 
病院外での心肺停止において、周りに居合わせた人による蘇生術が重要視されています。放置すれば、死にます。
心臓マッサージだけ施した場合と、人工呼吸と心臓マッサージの両方を行った場合とで、あまり差が無いというデータが出てきました。何もしなければ、まず助かりません。とにかくその場に居合わせた人が何らかの蘇生術をすることが重要です。

人工呼吸は基本的に口と口ですから、抵抗は大きいと思います。これに対し、心臓マッサージだけならば抵抗は少ないはずです。相手と触れるのは手だけです。
このことからも、「まず、心臓マッサージを」ということになりました。
トレーニングを受けていない人にとっても、とっつきやすい内容になったことは間違いありません。

(以上)