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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL11040101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会クリニック
日暮 浩実

◇子宮頸がん予防ワクチン

2009 年10月、日本でも子宮頸がん予防ワクチンが認可され、同年12月から接種できるようになりました。現在、世界100カ国以上で使用されています。このワクチンは2007年5月にオーストラリアで世界で初めて認可され、日本は世界で99番目に認可した国となりました。日本では当初費用は自己負担でしたが、現在では公費助成している自治体も徐々に増えてきています。

“子宮頸がん”て多いの?
子宮頸がんは世界で毎年約50万人が罹患し、27万人が死亡しています。これは女性特有の癌の中で乳がんについで2番目に多いものです。日本では、年に1万人程度の方が発症し、約3000人が死亡しています。日本ではこの20年間で、発症率は約2倍になり、特に20歳代30歳代の発症が増え、この年代では全ての癌の中で最も多いものになっています。

原因は?
この癌の原因にはヒトパピローマウイルス(HPV)が深く関与しています。これには120以上の型があり、このうち、子宮頸がんの発生と関係が深いことがわかっているものは16種類ほどあります。その中で、世界的には16型と18型で子宮頸がんの原因の約60-70%を占めています。
発がんと関係するHPVには全ての女性の80%が一生のうちに一度は感染すると言われています。しかしながら、HPVに感染しても、多くの場合は1年以内に治癒し、実際に癌にまで進展する率は感染者の0.15%程度と推測されています。

このワクチンをすれば、もう感染しないの?検診もいらないの?
そうなれば理想的ですが、残念ながらそうはいきません。今回のワクチンはHPVのうち16型、18型に感染しないようにするための予防ワクチンです。16,18型以外の型への効果は部分的です。そのため、たとえ、この予防接種を受けたとしても検診は大変、重要です。20歳以上の方は定期的に検診を受けるようにしましょう。ちなみに、欧米での検診受診率(アメリカ85%、イギリス79%)は高く、日本では24%ほどしかありません。

治療にも使えるの?
これは予防ワクチンですので、治療的な効果は全くありません。

接種対象は?
このウイルスは性交渉によって感染していくことがわかっていますので、性交経験前に接種することが最も効果的ですが、性交経験者でも感染していなければ、一定の効果が期待できます。日本での接種対象年齢は10歳以上の女性です。シンガポールでの対象は9歳から25歳までですが、当院では、日本の基準に従って接種することもご希望に応じて対応しております。

接種回数は?
ワクチンの接種には決められたスケジュールがあり、接種回数は6カ月の間に3回です。1-2回の接種では抗体が十分にできないため、3回の接種が必要となっています。また、既に妊娠中の方は接種ができません。接種を開始後、妊娠された場合には、その後の接種は見合わせることとなります。また、授乳中の方の接種は、今のところデータがありませんので、必要性が高い方のみの接種となっています。

いつまで効力がもつの?
有効期限に関しましては、接種が開始されてからの日が浅いのでまだよくわかっていませんが、今のところは7年以上はもつことがデータとして出ています。そして、さらに長くもつ(20年以上)であろうと見積られています。

副作用は?
このワクチンにはウイルスの遺伝子は入っていませんので、このワクチンを接種したことが原因でHPVに感染することはありません。
副作用としては、以下のようなものが報告されています。

10%以上吐き気、嘔吐、下痢、腹痛など消化器症状、かゆみ、筋肉痛、関節痛、頭痛、接種部位の痛み、発赤、腫脹
1-10% 発疹、蕁麻疹、硬結、めまい、上気道感染、発熱
0.1-1%知覚異常
頻度不明失神、血管迷走神経反射、ショック、アナフィラキシー症状


*失神に関しては0.0025%程度という報告があります。
接種後は安静にし、30分程度は医療機関内などで注意深く様子を見るようにしてください。

他のワクチンと同日に打てますか?
不活化ワクチン例えばDTP 、 IPV(不活化ポリオ)、AB混合肝炎ワクチン、 A型肝炎ワクチン、B型肝炎ワクチンなどとの同日の接種が可能です。

費用は?
日本では公費助成がなければ3回で4-6万円ほどかかるようですが、シンガポールでは、これに比べかなり安く済みます。

その他
シンガポールには、日本で認可されているワクチンのほかに、もう一種の子宮頸がんワクチンがあります。こちらはまだ、日本では認可されていませんが、既に世界92カ国以上で認可されているものです。御希望の方は医師と御相談ください。

日本人会クリニックでは、5月3日から6月30日まで、子宮頸がんワクチンキャンペーン、肝炎ワクチンキャンペーンを行います。通常料金よりお安くなっていますので、どうぞこの機会をご利用下さい!(2011年4月現在)

 

◆マニラ

マニラ日本人会診療所
菊地 宏久

◇紫外線の予防について(2)―日焼け止めサンスクリーン

フィリピンは乾期の真っ盛りです。外の陽射しはかなりきつくなってきました。フィリピンは熱帯・亜熱帯地域にあります。3月から10月頃にかけて紫外線量が最も多くなります。11月から2月は比較的紫外線量は少ない時期ですが、それでも日本の大阪の年間で最も紫外線量が強い真夏7月の時期に匹敵します。

前号で、紫外線が人体、特に皮膚に障害を与えることとその予防法について書きました。地上で障害を受ける太陽からの紫外線にはUVA(ultraviolet A) とUVB(ultraviolet B) があることも説明しました。
今回は日焼け止め予防法の一つサンスクリーンについて述べます。

日焼け止めには効果の目安として、PA(Protection grade of UVA)とSPF(Sun Protection Factor)とが表示されています。

PAはUVA遮断効果を表す「程度」です。UVAは皮膚の光老化を引き起こし、しわ、たるみの原因になります。PAには3段階あり、「+」効果がある、「++」かなり効果がある、「+++」非常に効果がある、と段階により分類されています。山や海では「++」以上のものが推奨されています。
つまり山や海ではSPF 30以上、PA「++」以上のものが推奨されています。
露出しているところは広範囲に、汗をかいたりしてサンスクリーンが落ちていくので一日に何回か塗り直すことが必要です。

SPFはUVB遮断効果の程度を数値で示したものです。UVBは主に“熱傷のような赤く腫れる炎症”を引き起こします。UVB照射により翌日生じる赤みを指標にして検定した表示がSPFです。日常生活の散歩、買い物などではSPF 10~15、山や海ではSPF 30以上が推奨されています。

次にSPFの意味について説明します。
通常日本の夏の海岸で20分日光に当たった場合、翌日になると皮膚が赤く腫れます。そこでSPF 15、SPF30のサンスクリーンを塗った場合を考えてみます。
SPF 15とは、 規定どおりにサンスクリーンを塗れば「通常20分の日光照射で翌日に皮膚が赤く腫れる人は、20(分)x15=300分(5時間)の日光浴で翌日に皮膚が赤く腫れる」という意味です。SPF 30の場合は、「20(分)x30=600分(10時間)日光浴をしたら次の日に皮膚が赤く腫れる」という意味です。つまり、SPF30サンスクリーンによって“皮膚が赤く腫れるまでの日光浴可能時間が20分から10時間に延長される”わけです。

「塗るべき規定量」はメーカーにより多少異なりますが、例えば顔であれば、真珠玉2個分くらいを全体にのばした量くらいです。3時間に一回くらい塗り替えるほうが確実とされています。それではいつでもSPF値が高いほど良いか、というと数字が高いものほどサンスクリーン中の成分が濃くなり副作用やアレルギーの問題なども出てきます。状況に応じて適当な強さのものをきちんと塗ることが大切です。また使用後はきれいに洗浄することも大切です。

サンスクリーンを塗っていても皮膚紫外線障害を受けてしまうことがあります。
前号の繰り返しですが、予防対策としては以下のことが大切です。
短時間で一気に肌を焼くことは避ける
適切な日焼け止めサンスクリーンを使用する
肌をできるだけ露出しない
つばの広い帽子をかぶる(7cmのつばで顔に降り注ぐ紫外線を60%カット)
紫外線カットのサングラスを使用するーファッション性より機能性を重視する


最後に紫外線障害の治療です。
治療
皮膚が赤くはれていたり灼熱感(痛い、熱い)がある場合には流水や氷で冷やす
日陰や屋内に移動する
水分を経口摂取する

☆☆☆水泡形成や日焼けが広範囲に及ぶ場合、発熱、脱水症状などがある場合は重篤な状態におちる可能性もあります。ただちに医療機関を受診してください。

参考
・日本皮膚科学会資料
・世界保健機関WHO資料



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
原 稔  

◇東日本大震災・医療支援

東日本大震災の医療支援に行っていた間、ジャカルタを留守にし、皆様にご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。この場を借りてお詫び申し上げます。
 
3月21日から26日まで南相馬市で、3月28日から4月2日まで石巻市周辺で活動しました。以下、南相馬の状況の一部を報告いたします。
 
3月11日に地震・津波が発生。12日に一号機建屋が、14日に3号機建屋が水蒸気爆発。原発から20キロ圏内には避難指示が、20~30キロ圏内には屋内退避指示が出されました。
支援に入った公立病院(230床)は原発から23キロの場所にあります。地震直後より多くの患者が運び込まれました。近くにある老人健康施設では100人以上の方が津波にのまれ、そこからの患者も搬送されました。野戦病院と化していたはずです。避難指示が出たことにより、20キロ圏内にあった別の公立病院(99床)の職員・患者がこの病院へ移動することになります。15日から17日にかけて引っ越しが行われました。それが済むと、今度は、災害弱者避難のために、元から居た患者も含む全入院患者が30キロ圏外に転院することになり、18日から20日にかけて空前絶後の大移動が行われました。
医療支援チームが到着したのは21日の朝です。病院スタッフの疲労は限界を超えていました。

支援の柱は二つ。ひとつは現地医療スタッフの手伝いおよび代行。もうひとつは避難所での診療活動です。
病院外来と当直業務を引き受けました。薬をもらいに多くの方が来ます。かかりつけの病院やクリニックが被害にあっています。津波被害を免れたところも、原発事故の影響で開いていません。院外薬局も開いていません。この病院の院内処方が唯一のものでした。
避難所では風邪症状・便秘・不眠を訴える方が目立ちました。更に長期化すれば、インフルエンザや感染性腸炎の流行が危惧されます。
子供や若い人は優先的に圏外へ避難しており、避難所生活をしている人の多くは年配の方です。話を聞き、可能な範囲で診療活動を行いました。
支援の第2陣はおでんなどの炊き出しを用意して現地入り。温かい食べ物が喜ばれました。
 
この間、24日に福島第一原発で作業員3人が被ばく。25日には政府が20~30キロ圏内の自主避難を要請します。緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)の試算内容では、南相馬市の一部でヨウ素の積算値が100ミリシーベルトを超えました。
これらの状況を勘案し、26日午後にチームは撤退することになりました。

自宅退避指示の出ている区域での活動で、ボランティアが入りにくい状況です。原発の状況や放射線量などの情報に基づいた判断が必要です。
私が入れてもらったのは、諏訪中央病院のチームでした。医師2名、看護師1名とNPO「日本チェルノブイリ連帯基金」のメンバーからなる7名で現地入りしました。このNPOはチェルノブイリの被災地でも活動しており、今回のメンバーも現地での経験があります。30キロ圏内での支援ということで、正直なところ不安もありました。彼らの存在とその判断を拠り所のひとつとしました。
 
いろんな理由でその地域に残っている人(残らざるを得ない人)がいます。必然的に医療関係者も活動しています。
原発のコントロールと、正確な情報提供を願っています。
 
元JJC医療相談室医師の菊地先生と高橋先生も被災地支援に入ったと伺いました。辛いニュースが多い中、少し元気が出ました。
顔をあげて行きましょう。

(以上)