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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL10060101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会クリニック
日暮 浩実

◇老視の新しい治療

先月、シンガポールでINTRACORE procedureという新しい老視の治療法が認可されました。
40代半ばを過ぎると近くが見えにくくなる人が増えます。多くの人が経験する老視という現象です。原因は眼球の周りの筋肉が弱くなったり、水晶体の弾力性が落ちてくることとされています。そのため、多くの方はいわゆる老眼鏡など何らかの屈折矯正手段が必要になります。

人口の高齢化が進むにつれて老視になる人々は益々増えると考えられますから、これが治療できれば多くの人にとって朗報となるはすです。2005年時点で既に世界で10億人の人が老視になっており、その半数以上は、放置されたままでいます。

今までも、外科的手術により矯正する手法はありました。しかしながら、手術は“切る”という作業があるので、どうしても侵襲的で、リスクも無視できないものです。そうした事情を鑑みてか、手術によらず、レーザーを用いて角膜の曲率を変えるという治療法が15年以上前から研究されていました。
そして、2007年10月に世界で始めて南米コロンビアでその治療法が臨床応用されました。INTRACORE procedureと呼ばれる治療法です。これに用いた器械はドイツで開発されたものです。

レーザーは角膜内部でエネルギーを放出するように調節されています。一回わずか、10のマイナス12乗以下の照射を断続的に繰り返します。照射している時間は総計でもわずか20秒ほどです。つまり治療の本質的な部分はわずか20秒ほどで済むということです。治療終了後は同心の5重の円が出来ることになります。これで角膜の曲率を変えることが出来ます。この治療法では角膜表面に傷はないので感染の可能性もほとんどありません。術後目を覆っている時間も数時間ですみます。もちろん、その後の経過を見るためにしばらく定期的な通院は必要ですが、今までの所、目だった副作用は報告がなく、ほとんどの人が良好な結果を得ています。

この治療法を受けられるクリニックは現時点でドイツで4ヶ所の他、スペイン、ベルギー、フランス、コロンビア、香港でもこの治療を受けられる施設があります。そして、先月シンガポールでもこの治療法が認可されました。シンガポールでは大手の医療機関であるParkway グループのParkway eye centerで治療が始まっています。シンガポールでは現在までに11人ほどの方が既に治療を受けています。この治療用の器械は100万シンガポールドル、現時点での治療費は眼球ひとつにつき、2800シンガポールドルとのことです。今までのところ、多くの方は片目だけに治療を施されています。

この治療法は、老視がある全ての人に応用できるという方法ではなく、この治療法に適しているかどうかは、あらかじめ検査を受ける必要がありますのでご希望の方は、専門医に御相談ください。
まだ、臨床応用されてから、日が浅い治療法ですが、将来的には世界的に広く普及していくことが予想されます。


◆マニラ

マニラ日本人会診療所
菊地 宏久

◇おしっこのタンパク「偽陽性」!

企業や学校での健康診断の季節になってきました。
ここマニラでも「尿タンパク陽性なので再度検査をして下さい」とのお問い合わせが増える時期になりました。今回は尿タンパクについて書いてみました。

健常者の尿中にも微量のタンパク(1日40~80mg)が排泄されていますが、1日150mg以上では病的とされています。尿タンパクが持続的に認められる“病的タンパク尿”は腎臓―尿管―膀胱―尿道などの泌尿器系疾患やある種の血液疾患、妊娠、脱水などでもおこります。したがって“尿タンパクが陽性”と指摘を受けた場合には念のために再検査や精密検査を受けていただくことがあります。

検査で尿中タンパクの出現が一過性の場合には「生理的タンパク尿」が多いとされています。つまり起立性タンパク尿(寝ているときにはタンパクは出ないが立っているときにタンパク尿がでる)、過激な運動、精神的ストレス、熱い湯に入浴、月経前などの場合です。このように採尿タイミングの問題で健康な人の尿に異常が出ることもあります。つまり「偽陽性」です。

食事の影響で尿中タンパクが偽陽性となることもあります。
正常尿は弱酸性でpH6.0 程度です。植物性食品を多食すると尿はアルカリ性に傾き、動物性食品を多く取ると尿は酸性に傾きます。 食物の種類によりpH4.5~8.5の間を変動します。一般の検査紙法の場合、尿がアルカリ性に傾くと尿タンパクが「偽陽性」に、尿が強い酸性に傾くと「偽陰性」になることがあります。(発熱、飢餓、糖尿病、痛風などでは偽陰性になることがあります)。

また食物のほか尿路感染症、嘔吐後、ある種の内服薬剤の影響で尿が偽陽性になることもあります。内服薬では制酸剤、抗不整脈薬の一部、抗精神薬などの一部の薬剤で尿タンパクが偽陽性になることがあります。

このように尿タンパクの検査は患者さんの体調や食事、採尿のタイミングにより検査結果判定に異同がおこることもあります。偽陽性のために再検査をしなくてもよいように、偽陰性のために重篤な疾患が見逃されないようにすることも大切です。



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
原 稔  

◇インフルエンザワクチン接種開始

2010年南半球向けのインフルエンザワクチンの接種がはじまりました。用いられているウィルス株は、
① 新型インフルエンザA/H1N1pdm:A/カリフォルニア/7/2009類似株
② A香港型(H3N2):A/パース/16/2009類似株
③ B型:B/ブリスベン/60/2008類似株
となっております。昨年来話題の、新型が含まれています。昨シーズンまでの、Aソ連型(H1N1)は含みません。
(2010-2011年北半球向けの推奨株もこれと同内容です。)

インフルエンザウィルスはその性質上、感染していく過程で表情が変化し、流行内容が変わっていきます。対応するために、ワクチンはシーズン毎に検討、変更されています。世界保健機構(WHO)が毎年2回(北半球用と南半球用)、次のシーズンのインフルエンザワクチンの推奨株を発表し、これに基づいて各国で実際に使用するワクチン株が決定されます。
日本は北半球ですので、今年2月に発表された推奨株に基づき、11月位から接種が開始されるはずです。インドネシアでは、地理的な関係もあり、6月ごろ南半球用の、11月ごろ北半球用のワクチン接種を開始します。

インフルエンザウィルスには大きく分けて、A型・B型・C型の3つがあります。このうちA型とB型がヒトの間で流行します。(A型にはH1N1、H3N2などの亜型があります。また、A型はヒト以外にトリやブタなどにも広がります。)
北半球の2008-2009年のシーズンまでは、Aソ連型(H1N1)、A香港型(H3N2)、およびB型の3種類のインフルエンザが世界で流行していました。そこに昨年、新型インフルエンザが出現し、現在はこれがAソ連型に取って代わった形です。
今回、接種が始まったワクチンは、この状況に対応したものになっています。


さて、残念ながら、予防接種を行ったからと言って完全にはインフルエンザを防ぐことはできません。ワクチンの接種とともに、流行時には人込みを避け、手洗い・うがい・咳エチケット等を継続していただければと存じます。

学生のころウィルス学の単位を、再試で辛うじてクリアしたことを思い出しつつ。

(以上)