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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL09120101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情

◆シンガポール

シンガポール日本人会クリニック
日暮 浩実

◇新型インフルエンザワクチン接種開始(2)

シンガポールでは、11月3日に18才以上を対象に新型インフルエンザに対するワクチン接種が始まりました。その後12月1日に10歳以上、12月8日には6ヶ月以上の人が対象となり、年齢制限は季節性インフルエンザワクチンと同じになりました。

シンガポールではワクチンは全て政府が購入し、一元的に管理しています。購入数は、100万接種分です。ポリクリニックやPPC(Pandemic Prepared Clinic),その他のGP(General practitioner 一般医、家庭医)は、予約数に応じて政府にワクチンを発注することになっていますが、12月8日までに、既に90万接種分以上が発注され、配布済みとなっているようです。

当院では12月14日までに総計1500名ほどの方に新型インフルエンザに対するワクチンを接種しました。政府の指導により、接種された方、一人一人に、接種を証明するカードをお渡ししています。
また、季節型インフルエンザの接種者も1800名を超えています。
(当院では接種希望者が同じ時間に集中するのを避けるために全て予約ベースで接種しています。)

この新型インフルエンザワクチンの接種回数、量は日本と少し異なります。
接種回数は10歳以上が1回、10歳未満は2回となっています。従来の季節性インフルエンザワクチンでは、10歳未満では、以前に接種されたことのある方、またはインフルエンザにかかったことがある方は1回でよいことになっていましたが、新型では一律に2回となった点が異なります。
また接種量は3歳以上は1回につき0.5ml, 6ヶ月以上3歳未満は0.25mlで、量に関しては従来の季節性のものと同じになっています。

政府は7月以来、新型インフルエンザ患者数は発表していませんが、*ポリクリニックで急性呼吸器疾患と診断された患者さんの数は11月から12月にかけて一週間あたり13000人ほどで昨年より僅かに多い程度でした。このなかで、インフルエンザ様の症状がある人は3分の1程度だったと報告されています。実際のインフルエンザの人の数はこのうちの更に一部となります。

当院では10月半ばから11月半ばまでインフルエンザの患者さんはほとんどいらっしゃいませんでしたが、11月末から増えつつあります。具体的には10月半ばから11月半ばまでの一ヶ月間でインフルエンザの患者さんは1名だけでしたが、11月の後半(15日から30日)は5名、12月前半(1日から14日まで)は14名と増加しつつあります。(ちなみに、本流行で最も多かったのは今のところ7月の後半の半月で95名でした)。11月末に日本人小学校も学級閉鎖が一つでています。

例年、インフルエンザの患者さんが増えてくるのはこれからで、日本など北半球へ一時帰国された方が帰ってくる年明けが警戒すべき時期であると予測しています。

ワクチンの効果が現れるのには2-3週間かかりますので、ご希望の方はなるべく早めにお打ちになっていただければ幸いです。

*ポリクリニックはシンガポール国立大学付属病院(NUH)と、シンガポール総合病院(SGH)を中核病院とする医療グループの出先の外来医療施設で、国の各地域に合計で18ヶ所設けられています。政府系のため、医療費が安価なこともあり、受診者も多く、急性呼吸器疾患の患者さんだけでも週に1万人から多いときには2万人以上を数えます。

 

◆マニラ

マニラ日本人会診療所
小栗 千枝

◇高尿酸血症と痛風

痛風で外来を受診する人は日本人会診療所でも結構多い。単身赴任で、外食が多く、また年齢的にも職場で責任のある立場にいる人に多い。足を引きずりながら、たいてい、痛風のようです、と御自身で診断して来られることが多いように思う。

痛風は成人男性に多く、高尿酸血症(血清尿酸値 7mg/dL以上)を基礎に発症する。遺伝と環境の両方が関与する。
高尿酸血症が持続することで、尿酸塩結晶が沈着し、急性痛風性関節炎(痛風発作)が起こる。好発部位は母趾の中足趾節関節(足の親指の付け根)であるが、他の関節に起こることもある。関節を穿刺し、関節液中に尿酸塩結晶が見られれば、診断が確定される。

最初の発作は、夜間に関節の激痛と腫脹として発症し、関節が急速に熱感、発赤、痛みを伴うようになる。初期の発作は3~10日以内に自然に軽快する傾向があり、次の発作まで無症状で経過する。

高尿酸血症は、痛風結節(耳介、肘頭など組織の結節)、腎不全、尿路結石のほか、動脈硬化の原因にもなることが知られている。また高尿酸血症の人は、肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症など他の生活習慣病を合併していることが多い。

<治療>

1)痛風性関節炎の治療
colchicine(コルヒチン)経口:
発作の予感があるとき1錠(0.5mg)服用 1日1錠まで
発作の初期であれば85%の患者に有効(発作が始まったら無効)
(症状が軽快するまで、あるいは胃腸障害の副作用(吐き気、下痢)が出現するまで、2~3時間毎に1錠投与、総量は20錠まで、と書いてある本もある)

非ステロイド抗炎症薬(NSAID)経口:
発作時の治療
90%の患者に有効で、通常5~7日で軽快する
特に半減期の短いものが有効(indomethacin 25~50mg 1日3回、ibuprofen 800mg 1日3回、diclofenac 25~50mg 1日3回 など)

ステロイド経口:
出血傾向、胃十二指腸病変などで、非ステロイド抗炎症薬が使いにくい場合に、短期間に限って使用
Predosolone 5mg 3~6錠 1週間以内に中止

2)高尿酸血症の治療
生活習慣の改善が基本で、必要があれば薬物治療を行う。
飲酒、肉類・魚類の過剰摂取、肥満、水分摂取の過少、激しい筋肉運動などで是正できるものはする。

血清尿酸値が7mg/dL以上で、痛風発作がある場合には薬物治療の適応となる。
高尿酸血症でも痛風のない場合は血清尿酸値が常時9mg/dL以上、または8mg/dL以上で腎障害、尿路結石、高血圧などを合併している場合に適応となる。
血清尿酸値を6mg/dL以下にするのが望ましいとされている。

尿酸降下薬には、尿酸排泄促進薬と尿酸合成阻害薬がある。

①尿酸排泄促進薬(probenecid、bucolome、benzbromarone)
腎機能が良好で、尿酸排泄が低下している(24時間尿の尿酸排泄量が600mg未満)場合に使用(腎機能の悪い場合は無効)
1日1500mL以上の水分摂取が必要

②尿酸合成阻害薬(allopurinol)
中等度以上の腎機能障害、もしくは尿路結石があり、尿酸産生が過剰の場合に使用

尿酸降下薬のうちフィリピンで入手可能なのはallopurinolのみである。

尿酸降下薬は、急性の痛風発作の最中に使用すると、症状が悪化することがあるので、使用しない。すでに尿酸降下薬服用中に発作が起こった場合は、そのまま継続し、コルヒチンや非ステロイド抗炎症薬と併用する。

※ Colchicine、benzbromarone、allopurinolは、ワーファリン(抗凝固薬)の作用を増強させるので、併用開始、中止時には注意する

<痛風の人の食事療法>

細胞に含まれる核酸(DNA、RNA)の主成分であり、体内のエネルギー源でもあるプリン体が、体内で代謝されて尿酸となる。尿酸は腎臓や腸管から排泄されるが、過剰に増えると排泄しきれなくなり、血液中に残る。尿酸の4分の1が食品由来であり、1日のプリン体摂取量を400mg以下にすることが望ましいとされている。

尿酸値を上げる食品として、プリン体(DNA、RNA、モノヌクレオチド、プリン塩基、肉類、魚類、ほうれん草など)、フルクトース(イチゴ、リンゴ、甘味飲料など)、アルコール(とくにビール、蒸留酒)などが、下げる食品として、タンパク質(とくに乳製品)、ビタミンC、ポリフェノール(チェリー、適量のワインなど)、フラボノイド、食物繊維、コーヒーなどが報告されている。

プリン体を多く含む食品(食品100g当たりに含まれる量)
きわめて多い(300mg~):鶏肉(レバー)、干物(マイワシ)、イサキ白子、あんこう(肝酒蒸し)、健康食品(DNA/RNA、ビール酵母、クロレラ、スピルリナ、ローヤルゼリー)
多い(200~300mg):豚肉(レバー)、牛肉(レバー)、カツオ、マイワシ、大正エビ、オキアミ、干物(マアジ、サンマ)

豆腐、卵、野菜、果物、海草類、キノコ類にはプリン体は少ない、または全く含まれていない。
また、野菜、海草類、キノコ類は、尿酸を排泄しやすくすると言われている。

血液が酸性になることで尿酸の生成、沈着、腎臓結石が起こりやすくなるので、酸性食品(肉類、魚類、卵)よりも、アルカリ性食品(野菜、果物、乳製品)を積極的に摂るようにする。

尿酸を排泄しやすくするために、食事以外で1日1~2L以上の水分を摂取する。

肥満の人は、食事と適度な運動で、なるべく標準体重に近づけるようにする。

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外食の機会が多い年末年始、気をつけるのは来月からにしよう、という声が聞こえてきそうである…



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
山本 正志  

◇楽しい糖尿病講習会

11月14日は世界糖尿病デーでした。これは2006年に国連で定められたものです。
他に疾患を冠した国連の行事としては12月1日の世界エイズデーがあります。
当日は世界各都市で糖尿病デーのシンボルカラーであるブルーで有名な建物をライトアップしたり、各種イベントで糖尿病に関する理解を広める一日となりました。


(世界糖尿病デー公式HPより)


さて、海外邦人医療でしばしば問題になる生活習慣病ですが、当地ジャカルタは外国人が気軽に利用できる公共交通機関がないため、通勤はもちろん、日常の買い物も目と鼻の先であっても安全対策上、自家用車でドアツードアの生活を強いられます。そのため、おのずと生活習慣病に対する検査値は悪化の一途をたどり、本帰国するころにはだいぶ酷くなる邦人が後をたちません。さらに、当相談室に来られる糖尿病患者さんの多くが「海外では生活習慣病の治療ができない」「単身赴任で接待続き、外食ばかりなので食事療法できない」「生活習慣病が悪くなったら、薬を飲めばいい」と誤った認識を持つ方が多いことに驚きます。

そこで私はジャカルタジャパンクラブの医療委員会に、今年度の取り組みとして生活習慣病対策を強化するよう提案しました。日本でも多忙を極める外来診療では、ただ漫然と生活習慣病の内服薬を処方して「また薬がなくなったら受診してください」と言うのが精一杯のところもありますが、当相談室では、病識に問題のある患者さんに対し、きちんと病態生理や治療方針、簡単な食事指導を実施することにしました。

また、海外で一緒に治療に取り組む連帯感を持ち、また「症状がないから数値が悪くても問題ない」と受診すらしない患者さんへの啓発として、糖尿病デー前夜、11月13日にジャカルタのレストランで糖尿病講習会を開きました。前置きが長くなりましたが、今月のニュースレターは、この講習会の報告をします。

当日は未曾有の大雨と大渋滞にも関わらず、医療委員も含め17名が集まり、15分程度の糖尿病の説明の後、皆で特別メニューの健康懐石を楽しみました。ビールは乾杯の1杯200cc、80Kcalのみです。医師による質疑応答をしながらの食事なので、私は大忙しです。また、各患者さんの治療取り組みを発表していただき、その健闘を讃えて皆で拍手し盛り上がりました。患者さんが前向きに取り組む姿勢が、医療者として何よりも嬉しいことです。

レストランは接待にもよく利用される、繊細な日本料理のBASARAレストランです。料理長の高井大樹さんに、糖尿病デーの趣旨を説明し協力をお願いしたところ、お忙しい中ご快諾くださり、野菜中心に楽しむ48品目を使ったメニューを特別に組んでくださいました。海外ならではの面白さで、異職種の方々が力を合わせてこのような催しに協力してくださる嬉しい場面があります。

以下、当日のメニューです。
前菜:お野菜八寸…もずくの酢の物など海草も充実していました。盛り付けがきれいです。
椀物:蕎麦米とろろ汁…そばのツブツブがなんとも。
造り替わり:自家製ところてん…群青色のガラスの器もまた爽やか。
炊き合わせ:蓮根しゃぶしゃぶ…すりおろした蓮根に上質のしゃぶしゃぶ肉が1枚泳いでいる逸品。肉が美味しいので1枚でも満足。いや、もっと食べたい気もします。しかしそこを寸止めすることが美味しさを一層引き立てているのでしょうか。
焼き物:旬菜焼き…ほんの少しの量の焼き魚や沢山の種類の野菜が吹き寄せに。
食事:きのこご飯、赤だしあさり汁、お漬物…子供用茶碗に半分の量ながら、このころには満足感が。
デザート:マンゴシャーベット、マンゴプリンの少量盛り合わせ…マンゴーの季節になりました。ほんの少々の甘味で満足です。



前菜(左)、きのこご飯(右)


外食でもメニューの選び方次第です。何の栄養を何グラム、何Kcal,とがちがちな食事指導ではなく、制限が多くともまずは食事を楽しみ、患者さんに治療に取り組んでもらう姿勢を促すことが大切と思います。

海外でももちろん、生活習慣病に取り組むことができます。言い訳はなしです。しかしもちろんデメリットもインドネシアには沢山あります。気軽に歩くことができない、日本食材が入手しにくいなど、在留邦人はストレスを抱えていますが、数少ないメリット、例えば熱帯なのでビタミン豊富な野菜や果物が沢山、寒暖の差がないので過ごしやすい、などに着目し、しっかり健康管理していただきたいと考えます。

次回は運動と消費カロリーを体験でき汗をかく「爽やかな糖尿病講習会」を開催したいと思います。

<後任医師と交代します>

この度家庭の事情により私(山本)は帰国することになりました。
今年3月中旬に着任ですから大体9ヶ月ぐらいの勤務でした。ジャカルタ駐在の皆様にはいろいろお世話になりました。後任は大分県出身の原 稔先生。熊本大学医学部卒、ご専門は外科の優秀な先生です。

インドネシアは医療面でまだ立ち遅れていることが多く現地邦人に十分信頼されていないのが実情のようです。畢竟JJC医療相談室では全科を診なければならず、医師にとっては総合力が試される試練の場でした。(自分の採点では70点ぐらいでしょうか。)ジャカルタで初めて経験した疾患が少なからずありました。

アメーバ赤痢,腸チフス、ランブル鞭毛虫、デング熱、性器ヘルペス、エイズなど。日本の病院で内科をやっていたらまずお目にかかることは無かったでしょう。またストレスを中心とした精神疾患も無視できません。景気に翻弄される駐在員の方、家庭で孤立しがちなお母さんと子どもたち、また現地で永住されている方の人生相談(難問でした。)
肥満、糖尿病,高脂血症などの生活習慣病もとても多く、今後対策を急がれます。
出張講演会や日本人看護師久津沢さんによる減量、食事指導などあれこれ実施してきましたが人手が足りないのが実情です。

なにはともあれ楽しい9ヶ月でした。後は原先生にお任せし私は楽しい思い出をトランクに詰めて帰ります。皆様本当にありがとうございました。



◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
星野 眞二郎

◇ダイエット体験記-食事編(その1)

前回のニュースレターは、ダイエット体験記-運動編というテーマでしたが、今回はダイエット体験記-食事編(その1)です。

“運動以外の方法で体重や体脂肪を減らすにはどうしたらよいか”

体重や体脂肪を減らすには、当たり前のようですが、食事からの摂取カロリーを減らす必要が有ります。巷ではダイエットに関する様々な情報が溢れています。“ある特定の食べ物やサプリメントを摂れば必ず痩せる”或いは “ある特定の食べ物を摂らなければ必ず痩せる”という方法が多いようです。
しかし、巷のダイエット法は、全般的に、簡単に行える方法が多いのですが、実際には、思った通りの効果が出ない場合が多いようです。
一方、多くの医師や栄養士が提唱する“食事指導(厳密なカロリー計算等)”は、あまりにも複雑過ぎるために、長続きしない場合が多いようです。ダイエットの目的(健康維持)を考えた場合、長続きしない方法は、仮に一時的に効果が見られたとしても、意味が無いということになります。

また、ダイエットを長続きさせるためには、自身の生活スタイルや食べ物の嗜好に合わせた無理のない方法でなければいけません。

“なぜ1年前の体重と同じなのか”


体重が毎年の定期健診でほとんど変わらない方は-その方が太っているか、痩せているかに関わらず-正確なカロリー計算までやらなくても、毎日の食事量がほぼ一定である、つまり、毎日ほぼ一定のカロリーを摂取しているはずです。健康診断時の体重が、1年前とほとんど変わらないのは、そのためです。  
体重がほとんど変わらない方は、正確なカロリー計算をしなくても“見た目”で大体の分量ならびにカロリーを判断しているのです。
従って、体重が年間を通してほとんど変わらない場合には、極端な“やけ食い”や極端な“ダイエット(断食など)”をしている方以外、或いは、極端に“運動不足”の方以外は、あまり神経質になって、体重を頻回に測定するのは意味が無いかもしれません。
体重は通常、1日のうちでも1~2kg程度は変動します。それは、1日に摂取する食事(体積に換算して通常は1000mlから1500ml前後)のうち約8割は水分であると考えられるからです。食事後に一時的に増加した体重の大部分は“水分による増加分”ですので、通常は、汗や尿や便として大部分が体外に排出されるために、実は、あまり“大勢”には影響は無いのです。

“エネルギーの供給・貯蔵の仕組みについて考える”

人間の脳組織は、三大栄養素(炭水化物、脂肪、蛋白質)のうち、エネルギー源(カロリー)として、炭水化物の構成成分である糖分しか利用することが出来ません。しかし、人間の体には、肝臓や筋肉に貯えられたグリコーゲン(糖分の貯蔵庫として機能)や筋肉中の蛋白質から、糖分を合成する仕組みが有ります(使われた筋肉の蛋白質は、通常、補給した食事中の蛋白質により、元の状態に戻ります)。
また、全く運動していない状態、極端に言えば睡眠中でも、体温を維持するため、或いは、脳・心臓・肺・胃腸などの各臓器を動かすためにエネルギーを消費しています(これを基礎代謝といいます)。
蛋白質や脂肪は基本的に、常に体内に多く存在するため、たとえ、数週間何も食べなかったとしても、必要なエネルギーを提供することが出来ます。つまり、体には必要な時には、エネルギーを引き出し、余った時には貯えておく“エネルギー供給・貯蔵の仕組み”が備わっているのです。

“摂取カロリーをどの程度減らせば良いか”

体重方程式は“摂るカロリー”ではなく、“減らすカロリー”を決めます。“減らすカロリー”にすると、“摂っているカロリー”を一から計算しなくても、現在の食事の内容を少し変えるだけで良いため大変簡単です。

“減らすカロリー”に注目した場合、太りやすい体質(生まれつき、カロリーを倹約して使う―倹約遺伝子-を持っている方)の方でも、確実に体重が減ることが分かっています。

“減らすカロリー”は“体重方程式”から求めることが出来ます(http://www.w8eq.com/)。御自身の体重、体脂肪率(分からないときは身長で代用可)、性別、生活活動強度指数(活動強度によりⅠ~Ⅳに分類されます。大部分の方はⅠに該当すると思います)を“体重方程式”に入力します。そうすると、高血圧、糖尿病、脂質異常症(従来の高脂血症)、高尿酸血症、脂肪肝などの生活習慣病を改善するために必要な“減らすカロリー”が表示されます。

ちなみに私の場合、“減らすカロリー”は320kcalで、107分の“ウォーキング”が必要であることがわかりました。




“運動量と食事量のバランスを考える”

“体重方程式”では、“摂っているカロリー”はそのままで、“運動のみで体重を減らす”ためには、今の運動に加えて、どれ位の時間歩かければならないかが分かります。運動のために、毎日これだけの時間をかけることはとても出来ないという方がほとんどかと思います。

そこで、ウォーキング以外の各運動のおおよそのエネルギー消費量について調べてみました。
ウォーキング(4.8kcal/分)ジョギング(9.8kcal/分)/テニス(6.5kcal/分)/バドミントン(5.8kcal/分)/卓球(4.1kcal/分)/水泳(平泳ぎ: 9.7kcal/分)/サイクリング(3.8kcal/分)/ゴルフ(5.1kcal/分)/体操(4.0kcal/分)/エアロビクス(5.0kcal/分)/縄跳び(10kcal/分)/ゲートボール(3.1kcal/分)

ジョギングはエネルギー消費量が、ウォーキングの約2倍であること、縄跳びはジョギングと同じ位のエネルギー消費量であることに注目して下さい(前回のニュースレターで述べさせて頂いた“室内でも出来る”、“簡単で効果的な運動”というのは実は“縄跳び”です。 

私の場合、短期間で効果を上げるために、両足首に重さ1~2kgの砂嚢を付け、心拍数モニターを装着して心拍数140~150/分前後を維持するようにしています。砂嚢ならびに心拍数モニターは、大きなスポーツ用品専門店で購入することが出来ます。室内で行なう場合には、床材がフローリングである必要が有ります(時間的には、大体15分間程度で十分です)。

“運動”は、予想外の出来事のために、或いは天気が悪いから、寒いからという理由で中断してしまうことが有ります。中断すると、体重は通常は元に戻ってしまいます。そのため、実際には、“食事”と“運動”の両方を上手く組み合わせる必要が有ります。例えば、天気が悪くて運動量が少なかった日には、少し食事量を減らす。逆に、少し食事量が多かった日には、少し運動量を増やすなどの工夫が必要です。

また、運動療法で減少する脂肪組織の大部分が“体脂肪”なのに対し、食事療法で減少する脂肪組織は、約3分の2が“体脂肪”であり、残りの約3分の1が“内臓脂肪”であると言われています。従って、ダイエットの目的(引き締まった体を目指すか、健康維持のためか)に応じて、運動療法と食事療法の比重を設定しても良いかもしれません。

“どうやって摂取カロリーを減らすか”

食事からの摂取カロリーを無理なく減らすには、“減らしやすい食事”を減らします。その際、常識的な範囲内での間食やアルコール摂取、時々の会食(週1回程度)に関しては、従来通りで構いません。それは、基本的に、無理をしてはいけない(長続きしなければいけない)という理由以外に、常識的な範囲内での“飲み食い”は、長い目で見た場合、実は“大勢”にほとんど影響しないからです。具体的に言うと、仮に週に1回の会食の機会があり、1回につき、通常より1000kcal多く食べてしまったとしても、1日当たりに均すと、米飯約80g(132kcal、ほんの2口)分にしか相当しないからです。仮に週1回の会食をやめたとしても、1日に“減らすカロリー”より少ないからです(ちなみに、私の場合の“減らすカロリー”は320kcal)。冠婚葬祭や時々の楽しみまで我慢するという無理な方法は、挫折の原因になります。時には“頑張った自分にご褒美をあげる” のも長続きの秘訣です。
一般的に、“体重が減ると消費カロリーも減る”ため、“体重の減り方はだんだん鈍くなってきます”。“体重方程式”は、“体重が減ると消費カロリーも減る”ことを取り入れた数式で、今までよりも正確に体重の変化を予測することが出来ます。

“減らしやすい食事・減らしにくい食事とは何か”

(1)1日の食事の中で、“その食事の後、元気な”食事は、“減らしやすい食事”です。
頭や体が元気な時間帯は、“間食の誘惑”があっても、仕事や趣味などで気を紛らわすことが出来ます。一方、“その食事の後、元気がなくなってくる食事”、つまり、“理性が働きにくい時間帯の食事”を減らすと、その後、“間食”をせずに済ますのが難しくなります。例えば、早い時間に摂る夕食の量を減らすと、夜食への誘惑と戦うのがつらいために、その戦いにしばしば負けることになります。

(2) 人目”が気になって自分の思い通りに出来ない食事は“減らしにくい食事”です。
ここでいう“人目”とは、“自分の行動に影響を与える対人関係”のことです。
家庭や職場内で“食事を減らすと体に悪い”と言われる方もいるでしょう。このような食事は“減らしにくい食事”ですから、減らしてはいけません。“減らしやすい食事”に集中して減らすというのがポイントです。
“減らしやすい食事”を必要なだけ減らせば“減らしにくい食事”は今まで通りで構いません。どの食事にも満足感が無くなると、挫折につながる場合が多いからです。

“食事を3つの型(間食型、軽食型、定食型)に分類する”

まず、食事を大きく3つの型、すなわち“間食型”、“軽食型”、“定食型”に分類します。“軽食型”は“間食型”(240kcal)の2倍の480kcal、“定食型”は“軽食型”(480kcal)の2倍の960kcalと覚えて下さい。各型の内容に関してはイラストを御覧下さい(http://www.w8eq.comより許可を得た上で掲載します)。



“間食型”は240kcal前後の、軽い食事です。具体的には、トーストとカフェオレ、米飯と味噌汁だけの朝食(卵や魚が付くと“軽食型”になります)、おにぎり1個と野菜ジュース1本などです。
“軽食型”は480kcal前後の、お昼に軽く食べるような食事です(ただし、品数があるとき、量が多くなるときは“定食型”になります)。他に、かき揚げそば、“少な目”のファストフードなどです。
“定食型”は960kcal前後で、お昼の定食や幕の内弁当、一般的な夕食などです。
表に出て来る“単位数”は、糖尿病の食事指導の際に使われる用語で、“卵1個のカロリー(80kcal)”何個分に相当するかということです。卵1個の“体積(=50ml)”と“重量(=50g)”も食事摂取の際の一つの“目安”になっています。

“減らす量が決まると減るカロリーも決まる”

食物には、脂っこい食べ物も有れば、さっぱりした食べ物も有り、そのカロリーには実際には、ある程度の幅があります。

1食で摂る種々の食品を平均すると、米飯などの穀類や、肉類・魚類・卵料理・大豆製品などは、同一重量当たり、ほぼ同じカロリー(50mlで80kcal前後)として計算して構いません(1ヶ月や1年といった長い目で見た場合、詳しく計算して求めたカロリーとの差はあまり気にしなくて良いでしょう)。野菜や海藻の場合は、体積のわりに重量が軽いため、50mlで15kcal前後と換算します。

従って、例えば、“240kcal”減らす場合には、大体、“卵3個分の量(体積150ml・重量150g)”の穀類・肉類・魚類・卵料理・大豆製品などを減らせば良いことになります。野菜や海藻類の場合には体積・重量当たりの摂取カロリーは5分の1~6分の1程度と低カロリーなので、穀類・肉類・魚類・卵料理・大豆製品などを減らした方が、効率が良いかもしれません(野菜や海藻類には、必要なビタミンや微量元素(金属類含む)が多く含まれるために、減らし過ぎない方が良いと思われます)。

減らす場合には、普段食べている量から考えて、“減らすべき分量を残すか”、“最初から減らすべき分量を取り除く”という2つの方法が有ります。食べ終わった時に少し“物足りない場合”に、“少しだけなら”と-ついつい食べ過ぎてしまうのを防止するためには、2番目の方法が良いかもしれません(ただし、家族関係・人間関係を良好に保つために、食事を準備して頂いた方に対する心配りを忘れてはなりません)。

最後に、本ニュースレターを書くに当たりましては、体重方程式(http://www.w8eq.com)を参考にさせて頂きました。また、本ダイエット法は、医学的には有効と考えられますが、全ての方に100%の有効性を保証するものでは無いことを付記させて頂きます。                    
(以上)