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ニュースレター(機関紙)

JOMF派遣医師便り
NL09070101
シンガポール、フィリピン、インドネシア、中国、医療事情 /6 /7 /8 /9 /10 /11 /12 /13 /14 /15 /16

◆シンガポール

シンガポール日本人会クリニック
日暮 浩実

◇シンガポールの新型インフルエンザ(H1N1)に関連した動き(3)

感染の広まりと対応
シンガポールでは5月26日に第一例目の確認患者を発表して以来、徐々に確認患者数が増加し、6月下旬ぐらいからは毎日数十人以上の増加があり、7月8日には1200人を超えました。しかしながら、死亡例は今(7月12日)のところありません。

各国の医療事情その他の理由から、発展途上国はもちろん、先進国でも確認患者数は実際の患者数の一部であるにすぎないことは当初から言われていたことでした。6月26日、アメリカ感染症センター(Communicable Disease Center, CDC)が、国内の患者数は百万人以上(この時点での確認数は3万人程度)と発表しました。致死率も世界の確認患者数から計算すると0.3%程度ですが、実際はもっと低いと推定されます。

7月7日、世界保健機構(WHO)の新型インフルエンザの確認患者数を定期的に報告する必要はないとした発表にはこうした背景があったと思います。
この発表を受け、7月8日以後はシンガポールも入院が必要と判断された症例だけ人数を発表することになりました。同時に、シンガポールでもコミュニティーレベルで感染が広まっていることを公式に認めました。

シンガポールでは当初はTang Tock Seng Hospitalのみで患者を診断、入院隔離、治療していましたが、6月13日から16歳以下の年少者とその介護者、及び妊婦はKK Women’ and children’s Hospitalで診ることになり、さらに患者数が増加したため、その後数日の移行期間を経て、国立の大病院とその傘下のポリクリニックも診断治療に加わりました。(ポリクリニックは国立病院の出先施設で地域密着型の外来クリニックです。国内に18か所配置されていて、医療費も安価なため、多くの一般の方に利用されている施設です。)対応できる施設が大幅に増えたことになります。さらに、7月3日より、Pandemic Prepared Clinic(PPC)として登録されたクリニックで新型インフルエンザの治療ができることになりました。

Pandemic Prepared Clinic (PPC)
PPCは国からの要請を受け、各クリニックの自由意思で新型インフルエンザの治療にあたることを表明したプライベートクリニックです。これらのクリニックはシンガポール国内に散在しています。450箇所ほどあります。患者さんに、なるべく自宅から近いクリニックの利用を促すことで、タクシーや公共交通機関を使わずに済むようにし、感染の広まる速度を緩める効果が期待されています。

PPCには保健省からの役人が訪れ、受け入れ準備ができているかチェックがされました。チェックに合格するとクリニックの入口に掲げるためのステッカーが配布され、保健省のリストに加えられました。リストは地図とともに、保健省のホームページに掲載され、一般の方が閲覧できるようになっています。

これらのPPCクリニックでは新型かどうかの確定診断はできません。しかし、現段階では既に新型インフルエンザと確定診断する必要はないのでこれは問題となりません。また、インフルエンザの簡易キットすら持っていないところもあるようですが、致死率が低いことから新型インフルエンザであっても、必ずしも、抗インフルエンザ薬を使う必要がない(もともと季節性のインフルエンザは自然治癒とするのが通常)ため、これも大きな問題とはならず、臨床症状で判断するという数年前までは、日本でも普通に行なわれていた(診断キットが普及し始めたのは2001年以後)方法で診断されることになります。タミフルの処方は臨床医の判断のもとで行われます。

これらのクリニックには国から必要数に応じて国からタミフルが供給されます。タミフルを投与された人はIDとともに全て保健省でコンピューター管理されます。(シンガポールは国民が全てIDを持っていて(いうなれば国民総背番号制です)、このIDで過去の医療歴も全てわかる仕組みになっています。)この管理はタミフルの買い占めや、不必要な処方の防止に役立つと考えられます。

新型インフルエンザ対策について
シンガポールでは他の先進国同様に、新型インフルエンザに対する行動計画を立て、国として準備をしてきました。空港での体温チェックや接触者の追跡も積極的に進めてきました。このために、大きな混乱もなく、感染の広まりのスピードを遅くするという効果はあったのではないかと思います。

今回の新型インフルエンザの致死性が低いことが判明するにつれ、多くの国で規制がゆるまり、シンガポール国内でも感染が広まってきましたが、現段階では感染しても、過度に恐れる必要はないでしょう。
当クリニックでも7月第2週ごろから新型と推定される患者さんが増えてきています。臨床現場での主観にすぎませんが、従来のインフルエンザよりやはり感染性は強いように感じます。

新型インフルエンザの今後について
今回の新型インフルエンザは、20世紀の3回のパンデミックに比べ、今のところ致死率が低いという幸運に恵まれています。
しかし、1918年のいわゆるスペイン風邪に関する書物を見ますと、なかなか安心もしていられません。当時、春の第1波は致死率があまり高くなく、社会は大きな注意を払わなかったとされています。そして8月下旬に始まった第2波が、第1次世界大戦という時代背景もあって、爆発的な広がりと高い致死性を見せたとされています。第3波も第2波に近い致死性があったようです。スペイン風邪全体の死亡率は2%程度ですが、第2波の最初の2カ月をとってみるとこの数字よりずっと高くなるようです。とくに20-40代半ばまでの肉体的には最も強健であると考えられている人の致死率が高かったことが人々を恐れさせました。ですので、今後の情勢は慎重に見ていく必要があります。

また、まだ、少数例ではありますが、デンマークそして日本の大阪、香港でもタミフルが効かないH1N1新型インフルエンザウイルス株も見つかっています。既に従来の季節性インフルエンザH1N1のほとんどがタミフル耐性であるという報告が2008年後半から2009年初めにかけてなされていましたから、今回の新型にタミフルが効いたのは幸運であるといえるかも知れません。

今回のインフルエンザは2003年から世界的に広まりつつあるH5N1鳥インフルエンザではありません。そして、この致死率60%以上とされる鳥インフルエンザはエジプトなどで現在も広まりつつあります。新型のインフルエンザがパンデミックを起こすことにより、この鳥インフルエンザとの遺伝子交雑の可能性も高まったと言えると思います。ヒト型に変異した時にどの程度の致死率になるかは不明ではありますが、警戒は必要でしょう。結局はなるようにしかならないとしても、警戒は怠ってはいけないと思います。新しい情報を常に入手することが大切です。

企業の方の対応
会社として困るのは、同時に多くの人が就労できなくなることかと思います。それは企業の機能停止を意味するからです。多くの企業の方は、このために、細心の注意を払い、最悪の事態を想定した対策を考えてきたのだと考えます。
現時点では健康で症状がなければ、患者さんとの接触の有無に関わらず、普通に就労しても差し支えはありません。(シンガポール政府はHome Quarantine Orderを7月11日に撤廃しました。)

会社の担当者の方で、今回のインフルエンザが予想より病原性が弱いため、やや肩透かしを食った様に感じている方もいらっしゃるかも知れませんが、これは、たまたま現在まで致死率が低かったという幸運によるもので、もう少し致死率が高ければ、逆にもっと強硬な対策をとるべきだったというものになっていたかもしれません。社内で感染者が出た(これから出る)企業も多いかと思います。その時に、対応は十分とれたかなど、今回のことを教訓に、今一度、対策を見直される機会ととらえられたら良いのではないかと思います。例えば、日本が行った水際対策も批判される点も多くあるかもしれませんが、良き訓練の機会だったと考えて今後に生かせればよいと思います。

 

◆マニラ

マニラ日本人会診療所
小栗 千枝

◇フィリピンの結核事情(1)

日本人会診療所にも、ローカルスタッフやドライバーが結核と診断されたといって、被曝の有無を検査に来る人が1ヶ月に1人か2人はいる。フィリピンに住んでいる私たちにとって、結核はいつも身近で起こっている。
今回は結核の話です。


疫学
WHO の推計によると、全世界で20億人(3人に1人)が結核に感染している(過去に罹ったか現在罹っている)とされている。そのうち毎年920万人の新たな結核患者が発生し、170万人が結核で死亡している。
その99%が開発途上国で起こっていて、それは貧困による栄養不良、感染が蔓延しやすい劣悪な生活環境、医療の不備などと無関係ではない。

フィリピンは、結核患者の80%が集中する世界の22か国の結核高蔓延国の1つに入っている。(上位から、インド、中国、インドネシア、ナイジェリア、バングラデシュ、パキスタン、エチオピア、南アフリカ、フィリピン、ケニア、コンゴ、ロシア、ベトナム、タンザニア、ブラジル、ウガンダ、タイ、モザンビーク、ジンバブエ、ミャンマー、アフガニスタン、カンボジア)
2006年の統計では、フィリピンでは、24万人の新たな結核患者が発生し、3万8000人が結核で死亡している。(15分に1人が結核で死亡している計算になる)

フィリピンにおいて、結核は、今も主要な疾患および死亡原因であり(死亡原因の6位)、とくに貧困層、高齢者、男性に感染が多く、高齢者に死亡が多い。
年齢別では、とくに生産者の世代(25~65歳)に多いため、結核による早すぎる死亡が、年間で260億ペソ(5億4,000万USドル)の国の損失を引き起こしていると見積もられている。


フィリピンの結核制御の歴史
フィリピンには、National Tuberculosis Program (NTP)という国家結核対策プログラムがあり、その指針に沿って結核対策が実施されている。
NTPから出版されているガイドラインがあるが、その中からフィリピンの結核制御の歴史について簡単に紹介する。
その序文は、「フィリピンの結核制御の取組みは、この、治療が可能でありながら高い感染性を持ち、国の生産性と密接に関わっている病気の蔓延を制御するための絶え間ない闘いであった・・・」 という文章で始まる。

<初期>
1910~1929 ケソン市に結核病院がつくられ(後のQuezon Institute)、症例の発見と入院治療が始められた。この頃の治療は、安静と隔離のみ。

1930、40年代 国内で結核の症例の発見が多くなるに従い、いくつかの組織化された取組みが見られるようになる。

1950年代 世界的に結核の治療が劇的な発展を遂げる。
1949年 ストレプトマイシン注射が初めて結核の治療に使われる。
1951~1952 UNICEFの援助で、フィリピンへのBCGワクチンの導入。
1954 三種混合治療(INH、PAS、ストレプトマイシン)の確立。

1950、60年代 フィリピン保健省に結核センターが設立され、San Lazaro病院の結核病棟と協力体制をとり、胸部レントゲン、喀痰、気管支洗浄による検査が行われるようになる。この頃の治療はストレプトマイシンとPAS内服が主流。
1954 国会が結核に対する法律を通過させ、結核の行政区、およびフィリピン保健省の中に設立された国立結核センター(NTCP)の基礎をつくった。

1964 セブで最初の結核罹患率調査が行われ、塗抹陽性者は4人/人口千人対 であった。その頃、Quezon Instituteの結核病棟は、最大の1350床。


<結核制御プログラムの発展>
1960年代後半~70年代中頃 結核対策は国全体に広がり、その責任が地方自治体に移され、Quezon Instituteは病床を700床に縮小し、入院を重症患者のみに制限した。

1973 胸部疾患専門医フィリピン校(PCCP)、フィリピン保健省、フィリピン結核協会(PTSI)が協力し新しい要旨が出され、以下の3つが強調された。1)BCGワクチンの重要性 2)喀痰塗抹による患者の発見 3)居住地での確実な治療

1976 WHOとUNICEFの協力の下で、国立結核研究所(NIT)が設立され、人材の育成に焦点が当てられた。また、この年、BCGワクチンが義務化された。

1982~1983 国立結核研究所は、WHO、UNICEFと協力し、最初の国内の結核罹患率調査を実施。また、フィリピン胸部センター(LCP)が設立され、結核を含む呼吸器疾患の中核病院となる。


<現代までの出来事>
1980年から90年代、そして新しい千年紀の始まりに、フィリピンでの結核制御をさらに強化するために、組織化され、また技術的な、意義ある計画が実施された。これは、結核対策プログラム(NTP)のマニュアルが、発展し、改正されてきた時代でもある。

1986年のエドサ革命の後、フィリピン保健省の再編成が行われ、公衆衛生局のもとで、結核対策局(TBCS)がつくられた。1年後、強化された結核対策プログラムが開始され、この計画のもと結核対策局に抗結核薬のための2億ペソの予算が与えられた。
結核対策プログラムは1990年にも、5年間のフィリピン保健開発プロジェクトのもと、イタリア政府と世界銀行から資金および技術の援助を受けている。

1990年代初め、保健サービス(結核に対するサービスを含む)の管轄が、フィリピン保健省から地方自治体に委譲された。フィリピン保健省が政策の開発、規則、技術や資金の準備の舵を取っている間、地方行政区は結核プログラムを管理し、地域保健所(RHUs)とバランガイ保健衛生局(BHSs)を通し、居住区の住民にサービスの供給を行った。
この新しい保健サービスの方法論の供給のよい見本となったのが、セブでの結核対策プロジェクトであった。セブのプロジェクトでは、JICAの技術、資金援助で、WHO推奨の政策およびガイドラインが試され、セブ市の結核検査室の設立、顕微鏡センターの改良などを含む検査設備が改善され、データ収集と、その記録方法が体系化された。

1993年に胸部疾患専門医フィリピン校(PCCP)によってつくられた協議会では、結核に対する働きかけを成功させるために、1994年、結核の診断と治療におけるアルゴリズムを作成した。その結果、症例の発見はすばらしく改善されたが、症例の登録に関する問題が残っている、と評価された。1995年、結核対策局(TBCS)は、症例の登録の問題を改善するために、WHOが推奨する政策に則り、結核の診断および管理における政策とガイドラインの改訂を行った。

結核と戦う為に集まった様々な部署間の協力関係、そして活発な相互作用は、1990年代にさらに強まった。PhilCATは、様々な政府および非政府組織、個人のグループ、学会、その他関係している研究所などの協力関係を助けるために、1994年につくられた組織である。PhilCATのもと団結した組織は、胸部疾患専門医フィリピン校(PCCP)、フィリピン保健省、フィリピン細菌感染症学会(PSMID)、フィリピン結核協会(PTSI)、Cure TB、胸部専門医アメリカンカレッジなどである。

これらの組織が支持されたのは、1996年にフィリピンの大統領によって出された声明による。毎年、国民の結核の日である8月19日、そして世界結核の日である3月14日には、フィリピン保健省、PhilCAT、その他の組織が共同して、民衆が結核に対して注意を向けるような活動がなされている。

1998年9月には、結核対策プログラム(NTP)はフィリピン保健省の重要なプログラムのひとつとなった。大統領によって、そして内務行政および地方政府によって出された規約は、結核対策プログラム(NTP)を、地方自治体の最優先のプログラムであると公式に発表し、またDOTS(直接監視下短期化学療法)戦略を指示した。

1999年、フィリピン保健省によって採用された保健部門改革協議事項(HSRA)は、結核対策プログラム(NTP)を、公衆衛生プログラムの中の最優先事項とした。保健部門改革協議事項(HSRA)のもとでの組織の再編成は、様々な保健プログラムをひとつにまとめ、事務所を合併し、人的労働力のかなりの削減につながった。

保健サービスの供給を改善するために、全てが整えられた。保健部門改革協議事項(HSRA)の以下の目標は、同様に結核部門に確実な影響を与えた。

・最優先の公衆衛生プログラムの資金が保証されていること
・地方の保健体制の発展の促進、およびそれらを確実に実行すること
・政府の病院への国庫の自由裁量権の供給
・健康を取り締まる機関の能力の強化
・国民健康保険プログラムの補償範囲を広げること


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フィリピンでの、結核の実際の診断方法、治療については、次回に書きます。



◆ジャカルタ

ジャカルタ・ジャパンクラブ医療相談室
山本 正志  

◇結核病学会に参加して

7月2~3日、札幌で開かれた日本結核病学会に参加しました。今回はその報告です。
Stop TB partnership Japanの小雑誌によると結核は世界人口の3分の1(20億人)が感染し、毎年新たに約920万人が発症しているそうです。
世界の結核患者の80%はWHOによって結核高蔓延国に指定された22の途上国で占められており、50%以上をアジア、太平洋諸国で占めています。

日本はどうかというと、罹患率、致死率とも先進国では飛び抜けて高く、例えば罹患率は英国、フランス、オランダ、米国等の先進国の2~5倍となっています。ここ3年間の結核新規登録患者数をみると平成18年度26,384人、平成19年度25,311人、平成20年度24,760人で年々減少傾向にあるとはいえ毎年およそ25,000人が発病し,2,300人が死亡しています。(平成20年度の死亡者数2,216人、国内での死亡順位25位となっています。)
現在日本における結核患者の現状をまとめると次のような問題点があるようです。

(高齢者)
もともと結核は高齢の男性に多かったのですが、近年高齢化社会の到来により70歳以上の新規登録患者は平成19年度47.9%、平成20年度48.9%と更に増えています。若い時に結核に感染した高齢者が免疫の低下によって発症するケースが増えています。

高齢者は、結核に限らず、疾病を患い入院すると退院後施設入所を必要とするケースが多いため(その施設での蔓延を防ぐため)、感染性消失確認に時間がかかり、入院が長期化する傾向があります。その結果、現在の医療体制の下では必要とする看護力及び医療経済面から病院にとって大きな負担になっています。それは、結核病床の閉鎖にも繋がり、都市部の一部では病床不足のため感染性があり入院が必要な患者でも待機しなければならない状態になっているようです。その結果、遠距離の結核医療施設に入院を余儀なくされた高齢で認知症を持った患者が家族との面会が難しくなり認知症が悪化する例も多いようです。

(若年者)
仕事が忙しい、自覚症状が軽度である、無保険である等で受診が遅れて重症化するケースが増えているようです。外国人、例えば結核高蔓延国からの労働者の移住、不法滞在目的の旅行者の流入や失職したホームレスのような社会経済的弱者の比率が高く、外来治療特に通常の医療機関外来への通院においては医療費の負担、通院による仕事上の損失の可能性から治療脱落しやすいようです。

(治療継続困難者)
エイズとの重複感染、薬剤性結核、特に超多剤耐性結核の出現もありますが、精神疾患、認知症がある患者、また感染性があっても治療拒否や中断を繰り返す治療困難者が少なからずいるようです。このように治療中断を繰り返す患者については、欧米では限定された施設で拘束下治療が行われており日本でもその必要性を検討すべきであるようです。

医療レベルが高いと思われている日本でさえ以上のような結核の不安を抱えています。
況や、インドネシアにおいてをや。運転手等、使用人の検査を定期的に行う必要性を改めて感じます。



◆大連

大連市中心医院日本人医療相談室
星野 眞二郎

◇新型インフルエンザに関する今後の見通しについて

新型インフルエンザに関する最近のマスコミ報道は、一時期に比べると少し落ち着きを取り戻しているようです。“死亡した症例のほとんどは、呼吸器疾患、免疫不全、慢性腎不全、糖尿病・高度肥満などの基礎疾患、いわゆる持病を有していた”ことなどが、判明するにつれて、特にこれらの持病が無い限りにおいては“通常の季節性インフルエンザとほぼ同様の対応で構わない”ことがわかってきたからかもしれません。また、国によっては、“遺伝子検査は同一地域で集団発生が疑われた場合にのみ実施する”という方針をとる国も増えてきているため、“各国の発生報告数は実態を反映していない”という理由で、WHOは国別の新型インフルエンザ発生数のデータの更新を7月7日以降中止しました。

中国疾病予防控制中心(Chinese Center for Disease Control and Prevention)によると、7月17日18時現在、(7月15日18時以降)中国国内で新たに確定診断された93例のうち、56例は発生国への渡航歴が有る者で、残り37例は国内発生例だったそうです(累計1537名の確定診断例のうち、1263名はすでに治癒。死亡例なし)。

初めて、新型(豚)インフルエンザ患者がメキシコで確認された当初は“死亡率が比較的高い病気(死亡率2~4%前後)”と考えられていました。その後、カナダやアメリカでも多くの患者が発生していく過程で、何か“得体の知れない恐ろしい病気”が流行し始めたという認識を多くの方が持つようになりました。そのため、5月16日、神戸市内のある高校で新型インフルエンザ患者が初めて発生した際には、様々な風評と中傷が当該学校関係者に寄せられ、その対応に大変な苦労をされたそうです。その後、関西地区を中心に、全国各地で患者が確認されるようになりました。全国で唯一新型インフルエンザ患者の発生が無かった山形県でも、7月15日、県内初の患者が確認され、全国47都道府県のすべてで新型インフルエンザ患者が確認されました(7月17日付けで3638名)。

一方、日本で初めて、国内1例目の新型インフルエンザ患者が見つかった際の経緯についてはあまり知られていません-それは、ある病院の先生がA型インフルエンザ発生のピークが過ぎ、引き続いてB型インフルエンザ発生のピークも過ぎた時期(5月中旬)に、A型のインフルエンザ患者が複数発生したことに疑問を感じ、患者の検体を保健所に提出し、遺伝子検査を依頼した結果、新型インフルエンザであることが判明したそうです。
つまり、“季節はずれのA型インフルエンザ患者”が複数発生したことに疑問を感じた1人の医師が、新型インフルエンザを疑って、たまたま遺伝子検査を依頼したのが、きっかけだったそうです。これは裏を返せば、同じことが“インフルエンザの流行シーズン”に起きていたならば、“誰もが、通常の季節性インフルエンザであると考え、新型インフルエンザであるとは疑わなかったかもしれない”ことを意味します。

新型インフルエンザの診断は、①渡航歴、②患者との接触歴、③インフルエンザ様症状-通常のカゼ様以外に、突然の高熱(一般に38℃以上)、強い倦怠感、全身の関節・筋肉痛などの“全身症状”が特徴-、④通常のインフルエンザ迅速診断キットでA型陽性、⑤遺伝子検査による確定診断、という手順で行われます。

しかし、渡航歴の無い新型インフルエンザ患者が確認された時点で、水際で食い止める、いわゆる“水際作戦(空港検疫など)”の意義は以前と比べると薄れました。また、新型インフルエンザであることが確定した症例の約3割は通常のインフルエンザ迅速診断キットが陰性であったこと、唯一の確定診断である遺伝子検査には多額の費用がかかること、などの理由で、機内検疫の中止、遺伝子検査は同一の地域にて集団感染が認められた場合のみ行う、患者ならびに密接接触者の病院での隔離治療は中止され、軽症者は自宅にて治療する(タミフル服用等)、発熱外来・発熱相談センターの廃止、感染症専門病院以外の一般の病院やクリニックでも新型インフルエンザの診察を行う-といった方向にシフトしています。
つまり、日本における現時点での新型インフルエンザに対する対応は、限りなく、季節性インフルエンザに対する対応と変わりがなくなってきています。

当地大連においても、7月16日以降、空港における機内検疫は中止されました。
また、当院のような感染症指定病院においては、現時点では、①渡航歴、②患者との密接接触歴、③インフルエンザ様症状(特に高熱)に重点をおいた発熱外来でのスクリーニングにより、疑い患者を見つけようとしていますが、そもそも、①確定診断のためには遺伝子検査しかないが、遺伝子検査には多額の費用がかかること、②確定診断をしても、治療が同じであるならば(つまり、タミフルを服用するか、あるいは通常のカゼとして治療するかのどちらかしか選択肢が無いのであれば)検査自体、あまり意味が無い、③感染力ならびに死亡率が通常の季節性インフルエンザとほぼ同じであるならば、隔離入院の必要はなく、入院治療の対象は重症者のみとする、④通常の季節性インフルエンザ同様に、患者はマスクを着用し、解熱後、しばらく(おおむね2日間)は登校・出勤しないようにするなど-感染拡大の防止により重点を置く-というように、今後、医療機関ならびに関係諸機関の対応も変わっていくのではないかと思われます。

[追記] 中国製の新型インフルエンザワクチンが当地においても、今秋には接種可能になる見込みですので、通常の季節性インフルエンザワクチンと“二本立て”になるものと思われます。これにつきましては詳細がわかり次第、ニュースレター等でお知らせさせて頂きたいと思います。

(以上)